風俗トラブルの無料相談で聞かれること|相談前に準備すべき情報
風俗トラブルに強い弁護士の見分け方|表示の読み方
風俗店やキャストとの間でトラブルになり、弁護士を探し始めると、どのページにも似た言葉が並んでいることに気づきます。「風俗トラブルに強い」「風俗案件の実績多数」「即日対応」。並べて見比べても違いが分かりにくく、結局は最初に目についたところへ連絡してしまう、ということが起こりがちです。
この記事では、そうした表示から何が読み取れて、何が読み取れないのかを、風俗トラブルに固有の事情に絞って整理します。費用の見積書の読み方、解決実績の数字一般の読み方、口コミの使い方は、それぞれ別の記事で扱っています。ここでは立場・型・言い回しの三つに絞ります。
「風俗に強い」は分野名であって、立場ではない
風俗の法律問題には、少なくとも三つの立場があります。店(経営者)、キャスト、そして客です。同じ一つの出来事でも、依頼者がどの立場かによって、弁護士のすることは正反対になります。店側であれば客に請求する側に立ち、客側であれば請求される側に立ちます。
ところが、サイトに出ている表示の多くは「風俗トラブル」という分野名だけです。分野名は、どの立場の依頼を受けているかを示しません。ここが、他の分野と比べたときの読みにくさの中心にあります。
実際、風俗店やナイトワーク事業者の顧問業務を扱う事務所もあります。店のホームページや求人広告に顧問弁護士の名前を掲げているという運用も、事務所側の紹介ページで説明されています。つまり、風俗の分野で経験を積んでいる弁護士が、あなたの相手方の側にいることもあるということです。
| 立場 | その立場で弁護士が主に行うこと | サイト上での表れ方の例 |
|---|---|---|
| 店(経営者)側 | 規約や誓約書の整備、客への損害賠償請求、従業員対応、行政対応 | 「顧問」「業界」「店舗運営」「経営者の方へ」といった語 |
| キャスト側 | 店との契約や報酬の問題、客から受けた被害の申告、示談の受け方 | 「働く女性」「セラピスト」「夜職」といった語 |
| 客側 | 請求された金銭への対応、捜査や刑事手続への対応、被害を受けた場合の請求 | 「請求された」「呼び出された」「逮捕」など、客の状況を主語にした語 |
一つの事務所が複数の立場を扱っていることもある
立場ごとにページを分けている事務所もあります。この場合、どのページから入ったかによって受ける印象が変わります。気になる事務所が見つかったら、そのページだけでなく、サイト全体に店側向けの案内や顧問サービスの紹介がないかを見ておくと、全体像がつかめます。
立場が違うと、そもそも依頼を受けられないことがある
これは好みの問題ではなく、ルールの問題でもあります。弁護士には、利害が対立する相手の側に立つことを制限する決まりがあり、日本弁護士連合会の弁護士職務基本規程に定められています。
たとえば、顧問先のように継続的に法律事務の提供を約している相手を「相手方」とする事件は、原則として扱えません(同規程28条2号)。あなたが請求を受けている店が、その事務所の顧問先である場合が、これに当たり得ます。
また、相手方が先にその弁護士に相談していて、具体的な法的手段を教えてもらう段階まで進んでいた場合も、原則として扱えません(同27条1号)。ここでいう「事件」は、手続の種類で細かく区切られるものではなく、事実上の利害の対立が生じるおそれのある場面を広く含むと理解されています。民事の請求と刑事の手続にまたがっていても、一つの事件として見られることがあるという点は、風俗トラブルにそのまま当てはまります。
さらに、こうした制限は、同じ事務所に所属する別の弁護士にも及ぶのが原則です(同57条)。「担当を替えてもらえばよい」とは限りません。
相談の予約をするときに、相手方の店名や源氏名を聞かれることがあるのは、この確認のためです。答えられる範囲で伝えておいたほうが、話が進んでから受けられないと分かる事態を避けられます。
理由を説明されずに断られることがある
弁護士には守秘義務があるため、断る理由を具体的に説明できないことがあります。「お受けできません」とだけ伝えられると突き放されたように感じますが、これはあなたの事案の見込みが低いという評価ではありません。別の事務所に相談すれば、通常どおり扱われます。
「風俗」より一段細かい粒度で読む
風俗トラブルと一口に言っても、中身は大きく違います。その事務所が何を想定しているかは、分野名より一段下の記述に表れます。
- 店やキャストから金銭を請求されている場面。
- 被害届が出され、警察から連絡が来ている場面。
- その場で囲まれる、脅されるなど、自分が被害を受けた場面。
- 撮影や録音をめぐって問題になっている場面。
- 店が摘発され、客として事情を聞かれる場面。
- 家族や勤務先に知られることを避けたい場面。
「風俗トラブル全般に対応」とだけ書かれたページより、こうした場面まで下りた記述があるページのほうが、想定している中身を読み取れます。ただし、書かれていない=扱っていない、ではありません。守秘義務や広告のルールがあるため、書けることは限られています。表示だけで結論を出さず、後の章の確認と組み合わせてください。
数字の表示は、数え方が書いてあるかを見る
「解決◯件」「示談金の平均◯万円」といった数字は目を引きます。読むときは、何を一件と数えたのか、いつからいつまでの集計か、誰の数字か(事務所全体か、担当する弁護士個人か)が書かれているかを見ます。書かれていれば、その数字は比べられる形になっています。
なお、訴訟の勝訴率は、弁護士の広告では表示できない事項とされています(業務広告に関する規程4条1号)。ですから、勝訴率という数字はそもそも広告に出てきません。また、「◯◯率100パーセント」「◯人ゼロ」といった書き方は、結果を保証したり確信させたりする用語として、日弁連の指針で注意すべきものに挙げられています。
示談金の平均額も同じです。それはその事務所が扱った事件の集計であって、あなたの事案の見込み額ではありません。どんな事件を分母に入れたかで平均は動きます。数字の読み方そのものは、別の記事で詳しく扱っています。
「家族に知られずに」型の表示をどう読むか
風俗トラブルでは、金額よりも「知られたくない」が最大の関心事になることがあります。表示もそこに集まります。
ただし、知られるかどうかを左右する要素の多くは、弁護士の外側にあります。相手方が誰にどう連絡するか、捜査が動いた場合にどの手続が取られるか、郵便物が自宅に届くか、といった事情です。弁護士ができるのは、結果を言い切ることではなく、連絡や書面の扱いを設計し、相手方との窓口を一本化して、伝わる経路を減らしていくことです。
弁護士の広告については、事実に反する表示や誇大な表示が問題となる旨が指針に定められています。結果を断定する表示は、それ自体では判断材料になりにくいと考えたほうが実際的です。表示を読み比べるより、次のような運用を具体的に聞くほうが役に立ちます。
- 書面の送り先を自宅以外にできるか。
- 郵便物の封筒に事務所名を出さない扱いができるか。
- 電話をかけてよい時間帯や、留守番電話の残し方をどう決めるか。
- 面談の場所と、予定として説明しやすい日程の取り方。
「24時間対応」の中身を聞く
夜間に事態が動くことが多い分野なので、受付時間の表示は気になるところです。もっとも、その体制がないのに「24時間365日相談対応」と表示することは、指針で誤解を招く例として挙げられています。夜間につながるのは受付だけなのか、弁護士に取り次がれるのか、翌朝の折り返しになるのかは、そのまま聞いてかまいません。
表示から読み取れること・読み取れないこと
| よくある表示 | 読み取れること | 読み取れないこと |
|---|---|---|
| 風俗トラブルに強い | この分野の相談を受け付けていること | どの立場(店・キャスト・客)を主に扱っているか |
| 解決実績◯件 | 一定の件数を扱ってきたこと | 何を一件と数えたか、自分と同じ場面の事件が含まれるか |
| 即日対応・24時間受付 | 問い合わせを受ける窓口があること | 夜間に弁護士本人が動くかどうか |
| 秘密厳守 | 守秘義務に従って扱われること | 家族や勤務先に伝わらずに済むかどうか |
表示では分からないことは、相談で確かめる
問い合わせの段階、あるいは最初の相談で、次の五つを聞いておくと、表示だけでは埋まらない部分が埋まります。
- 今回の相手方(店名や源氏名)との間に、これまでの関係がないか。
- 客の側で、どの場面の事件を扱ってきたか。
- いまの状況では、民事の請求と刑事の手続のどちらが先に動くと考えられるか。
- 誰が担当し、日常のやり取りは誰が窓口になるか。
- 連絡方法と書面の送り先について、どこまで希望に合わせられるか。
答えの中身だけでなく、答え方も見ておきます。分からないことを分からないと言い、次に何を確かめれば分かるのかを示せるかどうかは、その後の進め方にそのまま表れます。
サイトの外で確かめられること
弁護士の広告には、氏名(法人の場合は名称)と所属弁護士会を表示することが求められています(業務広告に関する規程9条)。この表示があれば、日本弁護士連合会のウェブサイトの弁護士検索で、登録されているか、どの弁護士会に所属しているかを確かめられます。
一方、弁護士会の検索サービスに載っている取扱業務は、弁護士本人の申告に基づくもので、登録も任意です。載っていないから経験がない、載っているから経験が豊富だ、とは読めません。
また、電話やメールなどの通信手段だけで受任する形態の広告には、受任する事務の範囲、報酬の種類や金額、途中で解除できることと清算方法を表示することが求められています(同9条の2)。遠方から依頼する場合は、この表示があるかどうかも手がかりになります。
表示で絞れるのは、候補までです
ここまで見てきたことは、優劣をつけるための採点表ではありません。表示は候補を絞るための道具で、最後の判断は、話してみて分かることと組み合わせて決めるものです。
ただし、支払期限が切られた書面が届いている、警察から呼び出しの連絡が来ているといった場合は、比べ続けるより先に、一度どこかに相談したほうがよい場面です。相談したからといって、その事務所に依頼しなければならないわけではありません。
おわりに
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 「風俗に強い」は分野名であって、どの立場の依頼を受けているかは示していない。
- 店側の顧問業務を扱う事務所もあり、同じ言葉が正反対の立場を指していることがある。
- 立場の違いは好みの問題ではなく、規程上、依頼を受けられない場合がある。
- 相談の予約時に相手方の店名などを聞かれるのは、その確認のため。
- 数字と秘匿に関する表示は、言い切りの強さではなく、数え方と運用で読む。
- 表示で絞れるのは候補まで。最後は、聞いたことと答え方で決める。
風俗トラブルは、相談すること自体に抵抗を感じやすい問題です。だからこそ、最初の一件をどこに相談するかで、その後の負担が変わります。表示を読む目を少し持っておくだけでも、選び直しの手間は減らせます。


