予約が取れない・折り返しが来ないとき|次にとるべき行動

若井亮

若井亮

テーマ:一般

法律事務所に電話をしたのに、折り返しが来ない。問い合わせフォームを送ったまま数日が過ぎた。ようやくつながったと思ったら、相談日は来月だと言われた——。弁護士に相談しようと動き出した人が、最初につまずきやすいのがこの場面です。

 このとき困るのは、連絡が来ない理由が自分の側からは分からないことです。そもそも届いていないのか、届いているが手が回っていないのか、受けられないという判断なのか。外からは区別がつきません。区別がつかないものを推測しながら待っていると、待った日数だけが積み上がっていきます。

 この記事では、「折り返しが来ない」場合と「予約が取れない」場合を分けたうえで、次にとるべき行動を順に整理します。判断の軸は一つです。どれだけ待つかは、相手の事情ではなく、自分の期限で決める。この考え方に切り替えると、迷う時間がかなり減ります。

「折り返しが来ない」と「予約が取れない」は別の問題


 どちらも「相談にたどり着けない」という点では同じですが、原因も次の一手も違います。まず、自分がどの状態にあるのかを分けてください。

状態起きていること次の一手の方向
折り返しが来ない届いたかどうか自体が分からないまず「届いているか」を確認する
予約が取れないつながったが、日程・分野・条件が合わない経路を変える/期限を伝える
予約は取れたが日程が先枠は決まったが、期限に間に合うか分からない期限に間に合うかだけで判断する


連絡が来ないことは、事案の軽さとは関係がない


 「こんな内容だから後回しにされたのだろうか」と受け取る方がいますが、問い合わせの順番や返信の速さは、相談内容の重さで決まるものではありません。後で述べるとおり、単純な通信上の行き違いであることも珍しくありません。まずは、自分の相談を軽く見積もらないでください。

折り返しが来ない理由は、大きく三つに分かれる


 連絡が来ない状態は、およそ次の三つのどれかです。そして、どれに当たるのかは、待っている側からは判別できません。だからこそ、理由の推測に時間を使わず、確認できるところから順に潰していくのが早道になります。

①そもそも届いていない


 実務的にはこの割合が小さくありません。よくある原因は次のようなものです。

  • フォームの送信が完了しておらず、送信完了画面まで進んでいなかった
  • 自動返信メールが迷惑メールフォルダに振り分けられていた、または受信設定でブロックされていた
  • 入力したメールアドレスや電話番号に打ち間違いがあった
  • 事務所からの折り返しが非通知や知らない番号として着信し、受け取れなかった
  • 留守番電話にメッセージを残しておらず、事務所側が誰からの着信か分からなかった


 法律事務所のサイトの中には、問い合わせフォームに「送信後、数日経っても返信がない場合は通信上のエラーが考えられるので、改めてお問い合わせください」と案内しているところもあります。行き違いは、事務所側でも起こり得るものとして想定されています。

②届いているが、まだ動けていない


 弁護士は日中、裁判所の期日、警察署での接見、依頼者との打ち合わせなどで事務所を離れていることが多くあります。電話を受けるのが事務スタッフの場合、法的な内容には答えられないため、返答は弁護士の手が空いてからになります。

 また、新規の問い合わせは、その場で「受けます」と答えられる性質のものではありません。取り扱う分野かどうか、日程が確保できるか、相手方との関係で受けられない事情がないかといった確認を経る必要があるためです。この確認に数日かかることもあります。

③受けられないという判断が出ている


 弁護士には、持ち込まれた事件を受ける義務が一般的に課されているわけではありません。分野、見通し、日程、そして利益相反など、受けられない事情はいくつもあります。

 このうち利益相反にあたる場合は、断る理由そのものを説明できないことがあります。理由を告げること自体が、別の相談者の秘密に触れてしまうためです。詳しくは、相談を断られる理由を扱った記事をご覧ください。

 ただし、連絡が来ないという一事から「断られた」と決めつけることもできません。①や②の可能性が残っているからです。

「何日待てばよいのか」に一般的な答えはない


 インターネット上では「一週間返事がなければ別の弁護士へ」といった目安を見かけます。分かりやすい反面、これは制度上の根拠がある基準ではありません。

返信期限を定めた一般的なルールはない


 弁護士職務基本規程には、事件の依頼を受けたときは速やかに諾否を通知しなければならない、という定めがあります。ただしこれは「依頼」の段階についての規律であって、まだ相談も始まっていない問い合わせに何日以内に返信すべきかを定めたものではありません。

 つまり、待つべき日数の正解が外側にあるわけではない、ということです。であれば、基準はこちらで決めることになります。

期限から逆算して、自分の締切を決める


 おすすめしたいのは、次の手順です。紙でもスマートフォンのメモでも構いません。

  1. 自分の事案で動かせない日付を一つ書き出す(書面に書かれた回答期限、裁判所から指定された日、契約や更新の日など)
  2. そこから、弁護士が資料を読み、方針を立て、書面を用意するのに必要な日数を差し引く
  3. 差し引いた日を「この事務所の返事を待つ期限」とする
  4. 期限が特に見当たらない場合は、「◯営業日待って連絡がなければ次に問い合わせる」と自分で区切りを決めておく


 期限が明確な事案ほど、待てる日数は短くなります。逆に言えば、急いでいるかどうかは、気持ちではなく日付で判断できます

最初にやること——「届いているか」を確認する


 理由の推測より先に、通信上の行き違いを消してしまいます。ここは自分の側だけで完結します。

  1. 送信控えや自動返信メールが残っているかを確認する。何も残っていなければ、送信できていない可能性がある
  2. 迷惑メールフォルダ、受信拒否設定、ドメイン指定受信の設定を見直す
  3. 携帯電話の非通知拒否・番号非通知の着信履歴を確認する
  4. 受付時間内にもう一度電話をかけ、つながらなければ留守番電話にメッセージを残す(氏名・用件・折り返しに出られる時間帯)
  5. 手段を変えて、一度だけ送り直す(電話で伝わらなければフォーム、フォームが不明ならば電話)


 送り直すときは、前回と同じ内容に、前回連絡した日時と手段を書き添えてください。事務所側で二重の問い合わせと扱われず、行き違いの有無をすぐ確認できます。

催促の伝え方——短く、責めずに、判断材料を渡す


 催促は失礼にはあたりません。ただし、伝え方によって返ってくる情報の量が変わります。次の項目を入れておくと、事務所側は「受けられるか」「いつ返せるか」を判断しやすくなります。

  • 前回連絡した日時と、その手段(電話・フォーム・メール)
  • 氏名と、連絡がつきやすい電話番号・メールアドレス
  • 相談したい分野と、ごく短い概要(一〜二行で足ります)
  • 期限のある書面が届いている場合は、その書類名と日付
  • 折り返しの電話に出られる時間帯、留守番電話やメッセージを残してよいか


 「いつまでに返事をいただけると助かります」と書き添えても差し支えありません。むしろ、期限が伝わっていれば、受けられない場合に早めに断ってもらえる可能性が高まります。

 一方で、対応の遅さを責める内容は加えないほうが得策です。返事が早くなる材料にならないうえ、②や③の事情が背景にある場合には、話が前に進みにくくなります。

予約は取れたが、日程が先すぎるとき


 この場合の判断は一つだけです。その日程で、自分の期限に間に合うか。間に合うなら、待って構いません。

間に合わないと思ったら、そのまま伝える


 「◯日までに回答期限のある書面が届いている」と具体的に伝えると、事務所側で優先順位を検討できる場合があります。キャンセルが出たときに連絡してほしい、という希望を伝えておくことも可能です。

 また、来所の面談にこだわらなければ、オンラインや電話での相談枠のほうが早く取れることもあります。予約の際に、対応している方法を確認してみてください。

予約を残したまま、他の事務所に相談してもよい


 先の日程で仮に予約を入れつつ、並行して他の事務所にも問い合わせることは、何ら問題のない進め方です。相談の結果、先に相談した事務所に依頼すると決めても構いませんし、その逆でも構いません。

並行して動くことは、失礼ではない


 複数の法律事務所に同時に問い合わせることに、後ろめたさを感じる方がいます。しかし、受けられるかどうかは、分野・日程・相手方との関係といった事務所ごとの事情で決まります。一件ずつ順番に当たっていると、断られるたびに日数だけが過ぎていきます。

 なお、早めに動いておいたほうがよい理由もあります。相手方が先に相談していると、その事務所は受けられなくなることがあるためです。この点は、相談を断られる理由を扱った記事で詳しく触れています。

期限が迫っているときの経路


 折り返しを待つ余裕がない状況では、経路そのものを変える選択肢があります。それぞれ性質が異なるため、当てはまるものから当たってください。

状況検討できる経路性質
家族が逮捕されている当番弁護士(逮捕地の弁護士会へ連絡)無料で一回。呼べるのは初回の接見
裁判所から期限のある書類が届いた書類を持参して相談を申し込む記載された期限が最優先
すでに事件番号がついている民事家事当番弁護士(弁護士会の法律相談センター)初回三十分無料。分野の制限はない
収入・資産が一定以下法テラスの無料法律相談要件の確認と予約が必要。先の日程になることがある
今日、短時間でよいので話したい弁護士会の電話相談時間が限られ、その場で依頼はできない
どこに相談すべきか分からない法テラスのサポートダイヤル窓口や制度の案内が中心で、個別の法的判断はしない


 注意したいのは、弁護士会の紹介制度は即日の窓口ではないという点です。たとえば東京弁護士会の弁護士紹介センターでは、紹介できる場合は三〜五営業日、紹介できない場合でも三〜七営業日で連絡すると案内されています。急いでいるときの最短経路にはなりにくいことを、あらかじめ見込んでおいてください。

 各窓口の要件や費用は、無料法律相談の窓口を比較した記事にまとめています。

それでも連絡が取れないとき


まだ依頼していない段階なら、次の候補へ移るほうが早い


 催促を重ねるより、あらかじめ用意しておいた次の候補に移るほうが、結果として早く相談にたどり着けることが多いです。最初の問い合わせで整理した内容は、そのまま次の事務所にも使えます。無駄にはなりません。

弁護士会の市民窓口という窓口はある


 各弁護士会には、所属する弁護士の業務に関する苦情を受け付ける「市民窓口」が置かれています。たとえば東京弁護士会では、電話で内容を聞き取ったうえで、必要に応じて紛議調停や懲戒手続の案内をしたり、弁護士の仕事について説明したりする窓口だと説明されています。

 ただし、この窓口には次のような性格があります。

  • 事件そのものの法律相談を受ける窓口ではなく、セカンドオピニオンの窓口でもない
  • 主張や立証の内容の是非を判断する窓口ではない
  • 窓口担当者の氏名や、苦情の処理結果についての問い合わせには答えないとされている


 そもそも想定されているのは、依頼している弁護士や、相手方についた弁護士の業務に関する苦情です。まだ依頼していない段階で、問い合わせに返信がないという事柄が対象になるかどうかは、窓口で確認することになります。

すでに依頼している弁護士と連絡が取れない場合は別の問題


 委任契約を結んだ後は、事件の経過について報告を受ける立場になります。長期間にわたって連絡が取れない場合は、市民窓口や、弁護士法に基づく紛議調停といった手続が用意されています。相談前の段階とは対応が異なりますので、別の記事で改めて取り上げます。

次の事務所を選ぶときに確認しておきたいこと


 同じことを繰り返さないために、次の問い合わせでは、最初のやり取りの中で次の点を聞いておくと、その後の見通しが立てやすくなります。

  • 電話の受付時間と、受け付けるのは弁護士か事務スタッフか
  • 折り返しのおおよその目安を教えてもらえるか
  • 電話以外に使える連絡手段(メール、フォーム、メッセージ)があるか
  • 担当する弁護士が決まるまでの流れ
  • こちらから連絡してよい時間帯と、留守番電話を残してよいかどうか


 依頼した後の連絡の取り方も、相談の場で確認しておくとその後が楽になります。窓口は誰か、どの手段でやり取りするか、進捗の報告はどのくらいの間隔で受けられるか。ここを最初に決めておくと、途中で不安になる場面が減ります。

「二十四時間受付」の表示の読み方


 サイトに「二十四時間受付」と書かれていても、多くはフォームの送信を二十四時間受け付けているという意味で、二十四時間以内に折り返しが来るという意味ではありません。日弁連の業務広告に関する指針でも、実際にはその体制がないのに、いつでも直接対応してもらえるかのような誤解を与える表示は問題があるとされています。表示を見るときは、受付の話なのか、対応の話なのかを分けて読んでみてください。

おわりに


 連絡が来ない理由は、待っている側からは判別できません。判別できないものを推測して待ち続けるより、届いているかを確認し、自分の期限を決め、並行して次の候補にも当たる。この三つに置き換えるだけで、状況はかなり動かしやすくなります。

 折り返しがないことは、あなたの相談が軽いという意味ではありません。連絡が行き違っただけかもしれませんし、その事務所の事情かもしれません。いずれにしても、相談先はほかにもあります。期限のある書面が手元にある方は、なおのこと、早めに次の一手へ進んでください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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