応用美術の関係の事件
プロシード国際特許商標事務所の弁理士の鈴木康介です。
著作権法には、時事の事件の報道のための利用という例外規定があります。
第四十一条
写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、
当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、
報道の目的上正当な範囲内において、複製し、
及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。
この規定がないと、事件の正確な報道ができなくなってしまいます。
著作権法の存在によって、報道の自由が損なわれるとしたら、
著作権法が守ろうとしている価値以上のものが失われてしまいますし、
著作物のマーケットと、報道のマーケットが競合することも考え難いです。
なお、報道において自由に利用できるものは、
「当該事件を構成」するものか、
「当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物」を、
「報道の目的上正当な範囲内」に該当するものになります。
例えば、公費が大量に投入されているイベントにおける
政治家などの関与の問題を説明する際に、
イベントの企画書のほんの一部を利用するのは、
「当該事件を構成」するものを「報道の目的上正当な範囲内」で
利用することに該当することになると考えられます。
また、この規定は利用できる著作物を公表著作物に限定していないので、
内部資料であっても該当すると考えられます。
なお、著作者人格権に関しては、形式上公表権(18条)の侵害に該当する可能性があります。
しかし、侵害とすると、事実上報道に未公表著作物が利用できなくなるため、
未公表著作物であるというだけで、この規定が使えないという解釈はすべきでないと考えます。
参考:著作権法 第三版 中山信弘 有斐閣
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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