池袋の変化
プロシード国際特許商標事務所の弁理士の鈴木康介です。
元旦の新聞記事に、中国の千人計画に対して、政府が規制強化という記事がありました。
どうも日本では技術の流出を防ぐために規制という手段を取りがちです。
例えば、この間行われた不正競争防止法の改正もそうです。
ただ、北風のように厳しくするだけで技術流出が防げるかという難しいと思います。
少し古いですが、H18年度 科学技術振興調整費「円滑な科学技術活動と成果還元に向けた制度・運用上の隘路調査」成果報告ですが、
【研究者が移動の時に重視すること】
(図はH18年度 科学技術振興調整費「円滑な科学技術活動と成果還元に向けた制度・運用上の隘路調査」成果報告より)
研究環境(設備やスタッフ)や自由に使える研究費を重視しています。
【研究者の不満】
(図はH18年度 科学技術振興調整費「円滑な科学技術活動と成果還元に向けた制度・運用上の隘路調査」成果報告より)
そして、満足度の調査では、上記で重視していた
研究環境(設備やスタッフ)や自由に使える研究費で不満を持っていることがわかります。
また、
・研究時間が勤務時間内に取りにくい。
専門分野の教員が学内にほかに
いないので相談や共同研究などがしにくい。
他の機関の研究者との協力体制がとりにくい
・ほとんどの任期付きの若手研究者がそうだと思われるが、
次の就職活動に追われ、研究活動に専念できる環境にいない。
・学生がいない・少ない。研究室の非常勤スタッフ・ポスドクを雇用する資金不足。
・研究施設が狭すぎる。研究室の大きさが大学で決められているので、
機器の多い研究室は必然的に狭い研究環境を強いられている
・文献(雑誌、書籍の両方)が不足している。
また、研究に必要なデータベースも十分には整備されていない。
研究にもっとも必要なものは時間であるが、研究支援体制が整っていないために、
事務的な作業に時間をとられ、その分研究のための時間が減ってしまう。
・一昨年、現在の職に公募で着任したが、
着任に伴う研究室の立ち上げ予算が全く措置されず、
机もない状態からスタートした。
着任した昨年度の予算は実質35万円程度しかなく、
卒業研究の指導すら満足に行えない状況であった。
などなど数多くの不満が同成果報告に挙げられています。
これらの不満を解消して、研究者が日本で研究したいと思う環境を作ることが
海外への技術流出を防ぐために大事なのではないでしょうか?
結局旅人の上着を脱がしたのは北風ではなく太陽だったですから。
参考:H18年度 科学技術振興調整費アンケート結果
H18年度 科学技術振興調整費成果報告本文
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