あけましておめでとうございます。
プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。
知財部という仕事を読ませていただきました。
この本は、配置転換や新人で知財部に配属された人が読むには良いのはもちろんのこと、特許事務所に新卒で入った人にもお勧めです。
むしろ、特許事務所の人こそ読むべき本だと思います。
企業に勤務していて、その後に特許事務所に転職してきた方は、クライアントの社内の出来事を想像できるとは思います。しかし、新卒で特許事務所に入った場合にはなかなか企業内部の出来事を想像することが実感を持って想像することが難しいと思います。
一般的に、特許事務所では、クライアントから相談事項が来た場合、特許法や、商標法など法律や判例に基づいて判断して回答します。
つまり、法的にどうか、というのが回答や思考回路のメインになります。
この「知財部という仕事」という本は、法律論がメインではありません。
ある事案に関して、特許法の何条の問題で、判例では〇〇といったことが書かれている他の知財系の本とは書かれている内容が異なっています。
法律の条文の当てはめや、判例については多くの本がありますし、特許事務所に勤務していれば、事務所内で段々と身についていくものです。
しかし、企業の中の外部に相談に行く前の問題や、企業内の力学などについては特許事務所内では学ぶことは困難です。
この本で書かれている事例を、どの法律のどの条文で判断するかというのは、特許事務所勤務の弁理士や経験のある知財部員であれば、思いつくと思います。
しかし、知財部の人が、法律的に正しい主張をそのまま上司や他の事業部に説明したとしても、必ずしも上司に受け入れられるとは限りません。
また、いちゃもんに近いクレームが来た場合に、法律論を相手にしても必ずしも良い結果になるとは限りません。
では、どのようにすれば、良いのでしょうか?
この「知財部という仕事」という本には、友利さんの長年の企業勤務経験が書かれ、その中での様々な経験やノウハウが書かれています。
その中で、どのように上司や他事業部や他者とやり取りをするとよいかというヒントが書かれています。
業界の大御所の書く知財戦略本などと違って、派手さがある本ではありません。
しかし、知財部と、他の事業部との日々のやりとりが生き生きと描かれています。
この本は、知的財産法の本ではなく、知財部の仕事術というとてもユニークな観点で書かれた本です。
知財部の人たちがどのように日々仕事をしているのだという想像力を養うために一読をお勧めします。
参考:知財部という仕事(アマゾンのリンクです)
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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