TOKYO 2021の商標
プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。
商標権侵害を軽く考えていませんか?
商品に商標を付けて、販売しているだけとか、似たような名前でラーメン屋を経営しているだけなので、もしも言われたら誤ればいいや。など簡単に考えていませんか?
商標権者が商標権の侵害行為を発見した場合、最初に警告状を送ることが多いです。
その後、色々と書面などのやりとりをして、合意に至らない場合には民事訴訟を提起します。
その際に、販売行為の差止請求や、相手の販売による損害の賠償請求を行います。
このような民事訴訟が一般的な皆さんの商標権侵害のイメージだと思います。
(民事訴訟の被告で裁判所に行くのもだいぶストレスでしょうが……)
実は、商標権侵害した場合、刑事罰が科される場合があります。
10年以下の懲役、ならびに1000万円以下の罰金刑です(商標法第78条)。
法人の場合には両罰規定があるため、罰金額が最大3億円となります(同82条)。
なお、商標権侵害は知的財産権の中では、一番検挙されやすい事件です。
例えば、この5年間の検挙数です。
平成27年は、316件
平成28年は、304件
平成29年は、302件
平成30年は、309件
令和元年は、316件
となっています。令和元年の知的財産権侵害事犯の検挙数の合計が516件ですので、商標権侵害が全体の約61%を占めています。
特許権侵害は怪しい商品が特許権を侵害しているか否か判断することは技術的に難しいです。しかし、商標権侵害はその商品に登録商標がついているか否かのため、警察官などにも比較的判断しやすいのではないため、検挙数が多いのではないでしょうか?
自社の使用予定のブランド名をビジネス開始前に商標調査する企業は多いです。
また、多くの企業はその後に商標出願を行います。
他社の商標登録がなければ、自社は商標登録をしないでビジネスを開始する企業もごく一部にあると聞いております。
しかし、その行為にはリスクが伴います。
ビジネスを開始した後に、善意の第三者が似たような名称で商標登録をしたとします。
他社からすれば、自社は商標権侵害をしているように見えるため、他社の商標権に基づいて権利行使をしてくる可能性があります。
その際に、民事訴訟をするか、刑事訴訟をするかはその他社の気持ち次第です。
商標法には先使用権という制度がありますが、自社のビジネスが他社の出願前までにある程度有名になっていないとこの制度は使えません(同32条)。
一方、自社が登録商標を持っていれば、他社が商標権を持っていたとしても、自社の登録商標内の商願であれば、自由にビジネスを行うことができます(25条)。
このため、刑事訴訟のリスクを下げるためにも、早めに商標登録することをお勧めします。
参考:不正商品対策協議会ホームページ
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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