欧州特許庁のEspacenetでの中国専利検索
プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。
新型コロナウイルスに効果があるかもしれないと言われているファビピラビルの物質特許が中国で切れているという話が話題になっていました。
ファビピラビルは、インフルエンザ以外にもエボラやSFTSウイルスにも効果があるという研究結果があるそうです。
今回話題になっているファビピラビルの物質特許と思われる「含窒素複素環カルボキサミド誘導体またはその塩並びにそれらを含有する抗ウイルス剤(特許第3453362号)」は、日本や中国の出願日が1999年8月18日です。
特許権は日本でも中国でも原則として出願から20年で期間が満了しますので、この特許権は原則的には2019年8月18日に切れてしまいます。
しかし、日本の特許法では、医薬品などは承認に時間がかかるため、期間の延長が5年を限度に認められています(特許法67条4項)。
このため、日本国内ではこの手続きを使ってこの特許権の存続期間が延長され今でもこの特許権は有効です。
一方、中国では特許権の期間延長の規定がないため、この特許の期間は満了しています。
中国でも特許権の期間延長の制度を入れるか否かについては議論がされていますが、現状ではまだ導入されないようです。
ただし、薬の場合、有効成分の化合物以外にも、用途や、剤型などを特許権で保護している可能性もあるため、化合物の特許が切れたからといって、すぐにその化合物を使用した薬が使えるとは限らないです。
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