プロフェッショナル仕事の流儀
プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。
先週参加した著作権のセミナーで紹介されていた判例です。
平成20年(ネ)第10008号(日めくりカレンダー事件)
<概要>
1。写真家Aさんは、花の写真による日めくりカレンダーを携帯電話の待ち受け画面用に配信することを思いついた。そこで、365枚の写真を、季節ごと、配色ごとになるように工夫して、365枚の画像データを作りました。
2。写真家Aさんは、配信業者に画像に関する権利を譲渡しました。その際に、配信業者からは配信サイトの更新が金曜日(週1回)と説明を受けました。写真家Aさんは、毎日更新することは可能かという質問をしたところ、技術的には可能(約束はしていない)という回答を得ました。
3。配信業者は、他の待ち受け画面同様に、週1回写真家Aさんの写真を配信しました。
4。写真家Aさんは、365枚の配信のタイミングや、順番に意味があるとして、配信業者を編集著作物の同一性保持権侵害で訴訟を提起しました。
<編集著作物か否か>
裁判所は、
「控訴人が撮影した花の写真を365枚集めた画像データである本件写真集は,1枚1枚の写真がそれぞれに著作物であると同時に,その全体も1から365の番号が付されていて,自然写真家としての豊富な経験を有する控訴人が季節・年中行事・花言葉等に照らして選択・配列したものであることが認められるから,素材の選択及び配列において著作権法12条にいう創作性を有すると認めるのが相当であり,編集著作物性を肯定すべきである」と認定しました。」としました。
編集著作物として認めました。
<同一性保持権の侵害か否か>
裁判所は、
「著作権法20条は同一性保持権について規定し,第1項で「著作者は,その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してこれらの変更,切除その他の改変を受けないものとする」と定めているところ,前記2認定のとおり,平成15年5月27日ころまでに控訴人から本件写真集の個々の写真の著作物及び全体についての編集著作権の譲渡を受けた被控訴人が,別紙4記載の各配信開始日に,概ね7枚に1枚の割合で,控訴人指定の応当日前後に(ただし,正確に対応しているわけではない)配信しているものであって,いわば編集著作物たる本件写真集につき公衆送信の方法によりその一部を使用しているものであり,その際に,控訴人から提供を受けた写真の内容に変更を加えたことはないものである。
そうすると,著作権法20条1項が「変更,切除その他の改変」と定めている以上,その文理的意味からして,被控訴人の上記配信行為が本件写真集に対する控訴人の同一性保持権を侵害したと認めることはできない
」としました。
一方で、同一性保持権の侵害を認めませんでした。
<写真画像の一部>
※画像は判決から
平成20年(ネ)第10008号(日めくりカレンダー事件)
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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