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中国特許のマルチクレーム

鈴木康介

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テーマ:中国法

プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。

中国特許出願の実務で、「出願時点では、意図的に少なくとも一つは「マルチ×マルチ」を残しておいた方がよい。一発特許査定を防止して、特許査定となりそうなクレームが明確になったときに語訳がないことを確認するため(逆翻訳的な効果を狙う)。」という話を聞いたらしく、以下の質問を受けました。

質問1.
中国特許実務では、「マルチ×マルチ」“だけ”の拒絶理由(新規性等の特許性の判断なし)がくるケースが多いため、拒絶理由対応が1回増えることになる。  出願時点から「マルチ×マルチ」を解消しておいて、「マルチ×マルチ」の拒絶理由を回避した方がいいのではないか?

回答1.
現行中国専利法実施細則第22条第2項によれば、「2つ以上のクレームを引用する多項従属クレーム(multiple dependence of claim)は、他の多項従属クレームの基礎としてはならない」と規定されています。

中国専利局は「マルチのマルチクレーム」の書き方を認めていないため、修正する必要があると認められることが一般的です。

意図的に請求項の範囲に少なくとも一つの「マルチのマルチクレーム」を残しておく方法を通じて、誤訳がある場合、そのタイミングで解消できるかも知れませんが、拒絶理由への応答手続きも1回増えます(このため、コストがかかります)。

ただ、この方法にリスクもあります。理由は、2010年2月1日から施行された新規「審査指南」(審査ガイドライン)では、中間処理の段階において、出願人が明細書の記載に基づいても、自発的に出願時の請求の範囲に記載のない従属項を新たに追加してはならない、と規定されているためです。

質問2.
語訳がないことを具体的にどうやって確認するのかよくわからない?
審査段階で逆翻訳するのか?それとも、単なる時間稼ぎか?

回答2.
時間稼ぎの可能性が高いです。

誤訳を防ぐには、以下の方法が有効です
1.ダブルチェックを行う。
2.実力のある事務所や代理人に依頼する
3.中国代理人に参照させ、誤訳を回避するため、日本語の明細書と共に、英語の明細書(又は、誤訳しやすいところの英語版)も提供する。


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お読み頂きありがとうございました。
弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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専門家

鈴木康介(弁理士)

プロシード国際特許商標事務所

国際特許事務所での業務を通じて、実践的な知識とネットワークを培ってきました。また、中国人と国際結婚したため、現地の生活習慣などを経験を通じて理解しています。

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