中国で個人が商標出願する方法(中国商標出願時の主体)
プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。
例えば、上海○×装饰装修行程有限公司という会社の社名を中国で商標を取得する場合、「上海○×装饰装修工程有限公司」の全体を商標として登録することが可能です。
社名は「○×」と言う識別力を有する部分が含まれるからです※1。
しかし、仮に、「上海○×装饰装修工程有限公司」が登録されたとしても、実際に保護される部分は「○×」に限定されます。
その理由は、「上海」は行政区画、「装飾装修工程」は、会社の業種、「有限公司」は会社の組織形態として、識別力を備えないからです※2。
また、実務的には、「上海○×装饰装修工程有限公司」は長いため、登録後に使用が不便のため、「○×」で登録することが一般的なやり方になります。
上記の理由で、「○×」の部分だけで商標登録すると、第三者による例えば、北京○×などによる同一若しくは類似商標の登録を防げることができます。
例えば、「北京○×」においても、「北京」は行政区画の地名として登録できないため、識別力を有する部分はやはり「○×」となります。
このため、「○×」が中国商標として登録できた場合、第三者が無断に同一若しくは類似役務について同一若しくは類似商標を使用すると、侵害行為になり、侵害行為の停止、損害賠償などを請求できます。
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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<参考>
※1 上海など地名のみの社名は、中国商標では登録されません。また、国務院が設立を決定する企業以外には、中国、中華、全国、国家、国際などの字句で始まる名称は、使えません(企業名称登記管理実施弁法第10条)。さらに、名称の中間に中国、中華、全国、国家などの字句を使用する名称(第5条(2))、行政区画を含まない名称(第5条(3))は、国家工商行政管理総局の許可が必要になります。
※2 中国の企業名称は、基本的に行政区画・屋号・業種・組織形態の順に構成されます(企業名称登記管理実施弁法第9条)。