外国人社員の受入。採用活動から定着させるまで
当事務所の小冊子
「外国人と一緒にビジネス!!在留資格「技術・人文知識・国際業務」を中心に」
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5119428/
を送信した後、一定期間を置いて、
「外国人と一緒にビジネス!! 付録 外国人のワーキング・ホリデー」
という付属レポートの希望の有無のメールにてお尋ねすることにしました。
(あらかじめ、
「外国人と一緒にビジネス!!在留資格「技術・人文知識・国際業務」を中心に」
とは、一緒に送信しませんのでご了承ください)。
「ワーキング・ホリデーで働いてもらっている外国人の若者を雇いたいのだけれど・・・」
という相談があるのですが、
注意してほしいのが、日本政府と相手国政府との間で話し合って、
制度設計をしているので、
在留できる期間が決まっていて、期限になったら帰国しなければならない等
の制限されている人もいますし、
大学などの高等教育機関を卒業していなくても利用できる、
という利点もありますので、
働く在留資格の要件である学歴や実務経験が無い、
こともあるので、安易に正社員としての労働契約を結ぶことができないです。
知られているようで知られていない制度なので、
海外の外国籍の若い人向けの日本のワーキング・ホリデー制度
まとめました。
「外国人と一緒にビジネス!!在留資格「技術・人文知識・国際業務」を中心に」を読んで、
“読んでみたいな”と希望される場合は、返信していただければ、
A4で ページ程度のPDFファイルにて送信します。
どうぞ、よろしくお願いします。
目次の紹介です。
[はじめに]
[外務省のウェブサイトから、制度の理解に必要かな、と思える部分の紹介]
1 概要
2 ワーキング・ホリデー査証発給要件
3 申請手続
4 就労に関する注意事項
5 届出等に関する注意事項
6 その他
[正式に雇う場合の地方出入国在留管理局への申請手続きでの注意事項]
[研究例 ワーキング・ホリデー外国人材を「インターネット通販」の会社で正社員採用できるか?]
[はじめに]
[外務省のウェブサイトから、制度の理解に必要かな、と思える部分の紹介]
1 概要
[研究例 ワーキング・ホリデー外国人材を「インターネット通販」の会社で正社員採用できるか?]
の部分を紹介します。
[はじめに]
ワーキング・ホリデーの印象は?と尋ねられたら、
「若者が海外に行って、若い世代ならばこその国際交流をする」
「世界の見聞を広げる」
「単なる旅行ではなく、訪問先で、しばらくの間、働きながら生活できる」
という印象を持つのではないかな、と思います。
そもそも、ワーキング・ホリデーとは?
ざっくり言えば、
日本と各々国/地域との二国間の取り決めに基づいたもので、
相互理解の促進として、相手国の青少年に対して、自国の文化、
生活様式を理解してもらう機会を提供しようとするものです。
また、一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認めています。
・「青少年」ですので、年齢制限はあるのか?
原則として18歳から25歳。30歳まで可能なこともある。
・手続きは?
在外日本大使館又は総領事館で、ワーキング・ホリデーのビザを申請。
・働く職種に制限があるか?
入国後の在留資格は「特定活動」。原則として1年を超えない範囲です。
必要な旅行資金を補うための報酬を得るための働くことは認められていますが、
具体的な基準は無いみたいです
(ただし、風俗営業または風俗営業関連の仕事に従事することは認められていないです)。
それゆえ、
「一時的にフルタイムで働くことはあり得る」ことまでは否定されていない、
と解釈することは可能ではあるので、
偶然、「ワーキング・ホリデーで在留している」若い外国人材を
アルバイトやパートで雇っているケースは、少ないながらもあります
(気を付けたいのが、在留期間中、絶え間なく働かせることは、否定される可能性はあります)。
そして、ワーキング・ホリデーを利用して日本に入国している人は、
日本に親しみや好意、興味を持っている人、そして、日本語の勉強も熱心、と推測されるので、
「こういう人に働いてもらいたいな」と感じるのは自然のことでしょう。
次ページから、ワーキング・ホリデー制度がより理解が深められるよう、簡潔に紹介します。
[外務省のウェブサイトから、制度の理解に必要かな、と思える部分の紹介]
1 概要
日本では、昭和55年(1980年)にオーストラリアとの間で
ワーキング・ホリデー制度を開始しましたが、
26か国・地域との間で同制度を導入しています(令和2年4月1日現在)。
日本のワーキング・ホリデー査証を取得する相手国・地域の青少年は,
合計で年間約1万5千人に上っているとのことです。
国・地域名・・・・制度開始年----年間発給枠
1オーストラリア・・・・1980--------無
2ニュージーランド・・・1985-------無
3カナダ・・・・・・・・ 1986------6,500
4韓国・・・・・・・・・ 1999----- 10,000
5フランス・・・・・・・ 2000------(注) 1,500
6ドイツ ・・・・・・・ 2000-------- 無
7英国・・・・・・・・・ 2001------- 1,000
8アイルランド・・・・・ 2007---------800
9デンマーク・・・・・・ 2007--------- 無
10台湾・・・・・・・・・ 2009--------10,000
11香港・・・・・・・・・ 2011------- 1,500
12ノルウェー・・・・・・ 2013------ 無
13ポルトガル・・・・・・ 2015-------- 無
14ポーランド・・・・・・ 2015-------- 500
15スロバキア・・・・・・ 2016-------- 400
16オーストリア・・・・・ 2016------ 200
17ハンガリー・・・・・・ 2017------- 200
18スペイン・・・・・・・2017-------- 500
19アルゼンチン・・・・ 2017---日から亜:200 亜から日:400
20チリ・・・・・・・・・2018-------- 200
21アイスランド・・・・ 2018---------- 30
22チェコ ・・・・・・・ 2018 ---------- 400
23リトアニア・・・・・ 2019 ---------100
24スウェーデン・・・・ 2020------------無
25エストニア・・・・・ 2020-----日からエストニア:無 エストニアから日:100
26オランダ・・・・・・ 2020--------------200
(注)平成11年(1999年)12月に暫定導入開始。
[研究例 ワーキング・ホリデー外国人材を「インターネット通販」の会社で正社員採用できるか?]
インターネット通販を営んでいるA社で、総務・人事担当者のBさんは、
ウェブサイトの正社員とアルバイト募集を見て応募してきた、
外国人女性のCさんに期待をもちました。
Cさんは、ワーキング・ホリデー制度を利用して日本に来ており、
流暢ではないものの日本語の会話ができるようでした。
ワーキング・ホリデーで滞在している外国人を、
正社員として雇ってよいものなのか、どうか、わかりませんでしたが、
人手不足の折、応募してきたので、「外国人だから」と断ることはせずに、
来社してもらうよう約束しました。
そして、当日。
Cさんが来社しました。そして、面接のような堅苦しくない雰囲気で、
お話しをすることにしました。
「現在23歳。自国の高校を卒業。独学で日本語の勉強をした。
インターネットについては、職業訓練学校でITを学べるコースがあり、そこで勉強した」
「修了後、知り合いの商店からホームページの製作の依頼があり、
それをきっかけに、色々な会社からも請け負った。
その後の運営・管理も頼まれている。しかし、会社勤務の経験はない」
「子供のころ、日本のアニメをテレビで見ていて、以前から日本に行ってみたいと思っていたので、
ワーキング・ホリデー制度を利用した」
「自分のITの知識と経験を活かせそうな仕事も体験したかったので、応募した」
ということでした。
Bさんも、ワーキング・ホリデー制度を利用して、海外で働いたことがあるので、
「アルバイト」ということで、働いてもらうことにしました。
事前にインターネットで調べて、正社員としては無理だろう、と判断しており、
社長Dにも、「話をしてみて、アルバイトとして簡単な仕事をしてもらったらどうでしょうか」
と伝え、了解してもらっていました。
その後、1週間に2-3回、1日6時間程度働いてもらいましたが、社員の評判が良く、
「人手も足りないし、正社員として採用したら?」と勧める声も上がりました。
社長Dが乗り気になり、
Bさんは、顧問税理士から紹介された行政書士に電話で相談するよう言われました。
・・・・という内容です。
国によっては、大学生やその卒業生のような学歴を限定せず、
幅広く若い世代に
利用することを認めている国もあります。
ですので、中等教育修了者、日本では高校なのですが、大学に行っていなくても
職業訓練学校などで学んだ優秀な若者が、日本の文化、生活様式を知りたい、
理解したい、と考え、日本に来ています。
この例のケースでは、残念ですが、日本では正社員として、直ぐには雇用できないです。
まず、ワーキング・ホリデー目的の在留資格「特定活動」から他の在留資格への変更申請は認めていないからです(一部認められている国もありますが例外のように思います)。
そして、IT関連の企業で働くためには、在留資格「技術・人文知識・国際業務」
なので、本国で職業訓練学校ではなく、高等教育機関である大学を卒業する必要があります(もちろん、当該の職業訓練学校が、その国で高等教育機関に該当するか、どうか、調べる必要はあります)。
そうでなければ、IT告示と言われる特例があり、日本の国家資格の合格者や
外国の政府と取り決めている試験合格者には、IT人材として働くことは可能ですが、
相手国・地域は、現在のところ(令和2年7月20日時点)、
中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、
バングラディシュ、シンガポール、韓国
です。
ワーキング・ホリデーの対象国・地域と重なっているのは、
韓国と台湾なので、ワーキング・ホリデーで多数入国している、
オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ヨーロッパの国々とは重なっていないです。
ワーキング・ホリデー滞在中に、直ぐに正社員として雇用することは、なかなかハードルが高い、
と言えます。