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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

財産調査 不動産の評価に気を付けましょう

2023年5月29日

テーマ:新橋事務所日記

コラムカテゴリ:法律関連


【はじめに】

 持ち家に暮らす方や、土地を保有されている方、
または暮らしてはいないものの、郷里の不動産の名義人である場合は
当然ながら固定資産税の納付は経験済みと思います。

 御上のやることですから、間違った金額などあり得ない。
言われるがままに税金を納めればそれでよし…

 ですが、貴方自身で具体的にその評価額の適否について
一度でも確認をしたことはありますか?

 今日は実際にあった事例として、(私自身も経験した)
土地の評価に関しての問題を紹介したいと思います。

【地目の評価に疑問】

 私自身も父親名義の郷里にある土地を早めの財産調査の一環で
管轄の自治体まで出向いて内容を調べたところ、
どう見ても「宅地」とは言い難いほどの地形の土地が「宅地」
の地目になっていたのです。

 土地の形状自体が雑木林そのものに加えて
人一人がやっとといった「けものみち」だけが歩行可能なほどの荒れ地。
しかも周囲より1m以上も高い土地だったのです。

 どうみても「山林」が妥当を思い、写真を撮り、
取って返して自治体に出向きました。

 その結果、数十年来自治体が現地調査をしておらず
(理由は慢性的な人出不足とのこと)
どこかで誤記したままの地目を最近まで用いていたことが判明しました。

 もともとがそんな土地ですから固定資産税自体は「雀の涙」でしかなく、
累計で算出しても目くじらを立てるほどの金額ではありませんでした。

 その結果、
即刻地目を修正し適正な評価額を算定し連絡してもらうことを
確約してもらい、過去の「過剰な納付額」は不問に付しました。

【不十分な実態把握】

 たまたまその程度の評価額でしたが、
これが無視出来ないほどの金額差であればどうなったことか?

 これもたまたま相続財産調査を行うことで偶然発見できた訳で
気にしてなければ未来永劫割高な納税をしていたのです。

 お役所仕事とは言いたくはありませんが、
納税額が過小な場合は必ず通知がされますが、
逆の場合はこちらからの指摘がない限り、ナシのつぶてです。

 ある雑誌の記事によれば
2028年度ですが東京23区と全国の政令指定都市だけで
固定資産税の評価ミスによる払い戻し件数と金額は
14万件で72億円だったとありました。

【ここでも自己責任が問われます】

 こちらで注意を払わない限り、
こうした見落としは次代に引き継がれていくのです。
仮に結果的にこちらサイドの思い違いや判断ミスであっても、
一度は精査すべきと思います。

 お役所と言えども、人のやることです。
故意にやらずともミスは必ず出てきます。
多くの手続きの場合、信頼は出来ますが、
全面的な信用はよく考えた方がいいと私は思っています。


 ちなみに、私のケースには続きがありまして
地目上は「農地」ながら実態は「山林」以上の「密林」
と言えるような状況だったことが同時に発覚したのですが、
こちらは「樹木を伐採して整地すれば十分農地に復元可能」とされ
地目変更は却下されました。 

 結果としては、1勝1敗? といった結末と言えるでしょうか? 

この記事を書いたプロ

寺田淳

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寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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