備えておくべき最低限の個人情報とは?

寺田淳

寺田淳

テーマ:終活全般


【はじめに】

 このコラムでも何度か紹介してきたテーマですが
未だに個人に関係する情報の取扱いについての相談や
問題発生後の駆け込み相談は後を絶ちません。

 いざという時に最低限必要な情報とは何か?
それをどうやって家族や周囲に知ってもらうか?

 新年度を迎えて改めて紹介したいと思います。

【最低限必要な情報とは?】

 個人的に必要と思われるものは以下の通りです。

 1)かかりつけ医、常用薬
   通院先まで出なく主治医の名前も分かればベター
   おくすり手帳をまめに使用していれば手帳の在り処

 2)緊急連絡先
   ご近所さん、趣味の仲間等可能な限り至近距離に
   暮らしている方をリストアップ

 3)金融機関の情報
   銀行の支店名、口座情報、通帳、キャッシュカード
   証券会社の名称、口座情報等(ネット証券はパスワード迄)
   カードや貸金庫のキーなどあればその保管場所等

 4)公共料金の支払方法(口座引き落とし、振り込みの区分)
   使用している銀行口座等

 5)通販契約の有無
   支払方法(年契約で自動更新・引落し、毎月の振込等)
   先方の連絡先と契約内容

 6)各種保険証券
   生命保険、火災保険、マイカー保険等の有無と連絡先

 7)貴重品の明細
   マイナカード、保険証、通帳、実印、不動産の権利書類関係
   それらの保管場所等

 8)相続財産の概要
   自宅以外の不動産の有無、名義人と所在地等、全ての口座情報、
   貴金属や書画骨董、債務の有無は必須案件!

 ※ 介護時の希望等~入所施設の希望、介護方針、延命措置等
   本人が健康な状態でなければ確認や合意は不可能です!

 最低と言いながら、これだけのことを知る必要があるのです。
これらの他にもペットを飼っていればその後の処遇についても
検討する必要がありますし、万が一の際に絶対連絡して欲しい
友人知人のリスト等、個別案件を加えれば10個以上になるのも普通です。

 このレベルの情報でも
いざ本人が考えた場合に問題として発生するものもあります。

 近所に緊急連絡先として頼むことが出来る人物がいなかった!
 仲の良い隣人はいるものの最近入院してしまった! 他がいない!

 いざ権利証等重要書類の保管場所を確認したらもぬけの殻!
 いつ、どこに移動させたかが思い出せない!
 亡くなった配偶者が契約し今も継続してる宅配、通販の連絡先が分からない
 ガスや電気、水道料金も契約内容も連絡先も知らない! 

 肝心の本人に関する情報を本人が忘れた、知らなかったでは
より深刻な事態を招く恐れは十分にあるのです!


 さらに相続人が複数いる場合(大半はこれですが)
遺言書の有無や自分が思う遺産相続の考え等も判断能力あってのもの、
何も書かず、何も話さずのままで判断能力を喪っては
相続人の間に無用の争いを生じさせる事にもなり兼ねません。

【私が遭遇した父の緊急搬送時のこと】

 一昨年の春に父親が転倒事故で緊急搬送された際の経験談ですが
父が既にマイナンバーカードを取得していたおかげでおくすり手帳が無くとも
既往症や服薬の情報は搬送先の病院で把握出来たようで、
その後もおくすり手帳の提出は求められませんでした。

 また父は日記を長年つけており
その裏表紙に加入している各種保険の情報や
実印や通帳の保管場所、キャッシュカードの有無等も
記入されたメモを張り付けており、それ以外の情報については
屋内のどの場所に資料が保管されている旨までが記載されていました。

 また、搬送時には幸い意識があったおかげで
上記の日記や通帳にキャッシュカード、銀行印の入ったポーチを
持ち出して搬送されており、駆け付けた私にいの一番に手渡してくれました。

 これだけのこと(のおかげ)でその後の手続きがどれだけ
スムースに進められたことか、感謝しかありませんでした。

 日記に貴重な情報を書いたメモを挟んであるとか
常に持ち出し可能なように貴重品をポーチに集中させたという
話だけは事前に聞かされていたので仮に意識不明な状態で
搬送されていたとしても、自宅での捜索は容易だったでしょう。

 父の場合、事故の前までは健康に特に大きな問題はなく
日常生活を苦もなくこなしていた為、多くの場合がそうであるように
自ら個人情報を話すという姿勢ではありませんでした。

 ですが、父が90才の時に私から(やや)強い態度で
緊急時の対応の為と、情報管理と記録を行うよう
話し込みを徹底しました。

 相続人は一人っ子の私だけなので争族化のリスクはなく
父の身に何かあった時の初動対応の為の依頼というスタンスで
迫ったことが結果として良かったのかもと思っています。

 実際入院して僅か6日後には「せん妄」状態が始まり
まともな会話すら困難となりました、約半月後の回復後も
かなりの期間睡眠導入剤や痛み止めの投薬が続き
ほぼ1ヶ月は新たな情報の入手は叶いませんでした。

 日記に挟んだメモと手元から離さなかった貴重品、
これだけのおかげで私の負担は大きく軽減され、
父にとってもその後必要となった各種給付金や支援体制の
相談や申請手続きの手間も大きく省くことになったのです。

 結果的には、父が受けた「恩恵?メリット」の方が
かなり大きかったのでは?と思った次第です。

【終わりに】

 如何でしょうか?
上記のような備えをしていないままその時を迎えたら?

 入院したものの保険証の在り処が分からず子供の財布から
高額実費精算となった。

 肝心の親の通帳が見つからない、どこの通帳があるのかも知らない

 各種の申請に必要な書類が見当たらない、やり方が分からない

 意識が戻らず長期入院となったが親の口座は凍結で使えず
費用全て子供負担となった。

 遠方で入院した為自分の仕事や日常生活に多大のしわ寄せが生じている

 兄弟間での役割分担や費用負担を急遽決めることになったが
全員が集まる機会を作ること自体非常に難航している…

 など等、全てが後手に回り、誰を恨むわけにもいかず
特に長男長女であれば責任の優先順位は一番となるため
家族総出での対応を強いられる(特に配偶者に)ことに。

 これが嫌ならば、一時的には恨まれたとしても
親が元気なうちに実行しなくてはいけません。

 
 さて、最後に書いておきたいことは、
同じことを40代50代のシニア世代は自らの問題として認識しているか?
高齢の親のことだけ、と甘く考えていませんかという事です。

 突然の事故、急病、さらに若年性の認知症など
年齢には関係なく外部から遮断されることは当たり前の時代です。

 ネット上に全ての情報をまとめたと言っても
その事実を知らせていなければ? 
存在は知らせていてもパスワードを明かしていなければ?
 
 ただの自己満足に過ぎませんね。

 80代の親の心配と同じスタンスで自分と20代30代の子供への
情報共有を真剣に考えないといけないことを意識して欲しいのです。

 相続が発生した時には遺産分割を巡る争いも悩みの種でしょうが
その前に肝心の相続財産の明細を把握する作業が控えてます。

 さらには相続人調査も家庭の事情によっては精査する必要がある
ケースもあるのでこの点の情報も重要情報として認識すべきです。

 過去において、相続の悩みで来所された方から聞く「愚痴」
最大で最多なものは「こんなことなら早くに話し合う場を設けておけば」
といった情報難民となった我が身の不運を嘆く声でした。

 自分が経験したくなければ老親と向き合うことですし
子供たちに同じ苦労をさせたくなければ子と向き合う。

 さて、貴方は今、どういう状態にあるのでしょうか?

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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