おひとり様の終活は「集活」から

寺田淳

寺田淳

テーマ:終活全般


【はじめに】

 最近は60代、それも65歳以下のまだ若い世代から
終活についての相談が目立っています。

 テレビを始め新聞や雑誌で紹介されることが多くなったことで
若い段階で注意喚起を促されたものではないでしょうか?

 ですが多くの場合終活相談の中心は「断捨離」に関する事です。
生活のダウンサイジングから趣味の品の取扱いや資産整理といった
モノに焦点を当てた内容に関心が向いているようですが、
本当に必要な終活は「自身の生活=健康な生活」の為の備えです。

 今日は自分に関する健康管理面からの終活を紹介します。 

【終活の優先順位を考えましょう】

 実例として65才のおひとり様のケースとして採り上げてみましょう。
現在は心身ともに健康で特に暮らしにも問題も支障もないとします。

 ですが、事故や病気は年齢や健康状態に関係なく襲ってきます。
緊急搬送され、入院・手術が必要となった場合、必ず身元保証人を
求められます。

 病院以外でも賃貸に暮らす場合は保証人が欠かせませんし
おひとり様の場合緊急連絡先も確保しておきませんと
自分の身に何かあった場合の対応が非常に困難となります。

 まずおひとり様が考える終活の第一位と私が思うのは
「身元保証人・緊急連絡先の確保」です。

 仮に断捨離を実行中に転倒事故を起こし
一人では動けなくなった場合、先に書いたように病院では
緊急連絡先と身元保証人が求められますし、
入院が叶ったとしても身体一つで搬送された場合、
保険証や現金、スマホといった必需品を自宅から
持ち出すことも一人では叶いません。

 今の貴方に自宅という個人の生活圏に入ることを
許せるような人物で、自宅近くに暮らしていて
即時の対応が可能な友人知人がいますでしょうか?

 更にアクシデントは自宅だけで起こるものではありません。
通勤途上、仕事先への移動中、旅行先など自分を知る人の皆無な環境で
何かあっても誰に連絡をすればいいか? 誰を頼ればいいか?

 健康な方ほどこういった設定をあまり真剣に考えません。
ですが、明日は我が身であり対岸の火事ではないのです。

 身元保証人には一定の負荷をかけます。
緊急時の連絡は深夜早朝、土日祝日を問いません。
自分の予定を変えてでも駆け付けるような事態も無いとは言えません。
そこまでの信頼がおけるような人物、今日明日探して見つかるでしょうか?

 仮にいたとしても65才の貴方より年上の方では適当とは言えません。
絶対ではありませんが概ねその方の方が先に亡くなるか保証人の責を
負えなくなる状態になることが少なくないのです。

 自分より年下で健康な、最寄りに暮らす人物…

 最優先で取り組みべきは、こういった存在を確保することです。

【生活の支援の為に】

 例えば、再発のリスクはある疾病に罹った、
 事故の後遺症で不定期に行動に支障が生じる。

 こういった場合に定期的に安否確認=生存確認を頼める存在。
保証人とは言いませんが、定期的な連絡が取れる存在も欠かせません。

 個人的に出来る対策として私が実践しているのが
朝刊の配達時に事前に不在の連絡なく(店舗に取り置きの依頼なく)
前日の新聞が残されていたら管理人に連絡して欲しいと依頼してます。

 行きつけの喫茶店や飲食店のスタッフに1週間顔を見せなかったら
メールでも電話でもいいので連絡を入れて欲しい、返答なかったら
マンションの管理人宛に連絡をして欲しいと依頼してます。

 FacebookなどのSNSで気心の知れた複数のメンバーに
2日間更新がされていなければ、またはメッセージに返信しなければ
同様に安否確認の連絡だけでいいので入れて欲しいとしています。
また、何か異変があればまずここでその旨を発信し
誰かにアクシデントの事を知ってもらうというメリットもあります。

 加えてメンバーには同じようなおひとり様もいるので
「相互監視体制」でお互いが生存確認するという構造にもなっています。

 ただ、当然これでは十分な備えとは言えません。
新聞配達や行きつけの店に部屋の鍵を預けることは難しいですし
管理人に毎日安否確認の連絡をというのも迷惑な話でしょう。

 SNSの繋がりは殆どが「遠方、遠隔地」在住ですから
緊急対応は全く期待出来ません。

 日常生活の中での支援となれば、
やはり公的なサービスが浮かんできます。

 定期的な自宅訪問や電話等での連絡をする「見守り契約」
身体に支障を生じ買い物や銀行等での手続きが出来ない場合の
日常の金銭管理を託す「財産管理契約」

 いやな話ですが、この手の契約を結んであれば
死後放置という状況は最短の期間で済むことにもなり
周囲への迷惑も最小限で済ませることになります。

【最後の砦として】

 見守りが必須となった
 外出がかなり困難になった

 判断力は正常でも肉体的に支障が出てくれば
次に考えるべきは、やはり「遺言書の作成」
又は最低限でも「財産目録・親族関係」の記録作成です。

 おひとり様とは言え、実際には絶縁した親族がいたり
自分も知らされていなかった異母(異父)兄弟姉妹が
いた場合を考えればその後の煩雑な手続きを避けるためにも
この手の記録は判断力が正常なうちに用意したいものです。

 私見ですが内容の正確さを期するためには
公証役場での公正証書遺言の作成をお薦めします。

 最近物忘れや勘違いが多くなった
覚えのない買い物をしたといった行動が目につく場合は
やはり認知症のリスクにも向き合う必要があります。

 後見制度についての説明はここでは省きますが
自身が正常な判断力を有する時に結べるのが「任意後見契約」です。
何と言っても自分の生活看護や財産管理を託せる人物を自分が
選定できる点は大きなメリットと考えます。

 冒頭に挙げた身元保障や緊急連絡先にも対応可能な内容で
契約を締結できますし、生活支援や財産管理についても
事前に詳細な内容を詰めてから契約を結べるので安心感は
かなり高くなるでしょう。

 前項の見守り契約から財産管理契約、そして任意後見契約を
セットにして専門家と契約を交わせばかなりの支援が期待出来ます。

 またこれとは別に死後事務委任契約も作成しておけば
死後に発生する各種手続きや肝心の葬儀、埋葬に関しての
要望を叶えてくれる内容で契約が結べます。

 家財の処分や葬儀の際の参列者の要望、死亡通知の送り先など
細かな内容を自分の考えだけで決めることが出来ますので
これも出来れば判断力が正常なうちに用意することをお薦めします。

【終わりに】 

 さて、ここまで紹介してきた各種の備えですが
全て自ら情報を集めなくては何も始まりません。

 自宅の家財の処分や交際範囲の見直しなどは
ある意味取り組みやすい終活です。
ですが優先順位から見れば最優先ではないのです。

 分からない事、面倒なこと程先に手を付ける。
分からなければ調べる、面倒なことは公的機関に相談といった
行動を起こすことが大切なのです。

 何度も言いますが、
おひとり様は自分の生活の責任を自分一人で負うことが前提です。
自分だけでは背負いきれない案件は誰かに頼るしかないのです。

 その為には関連する情報を集めることです。
私が暮らす品川区では区報の中で不定期に終活に関する
セミナーの案内や相談窓口の案内を掲載しています。

 これらの貴重な情報も自ら収集しなければ(読まなければ)
何の意味も無いのです。

 地域にある社会福祉協議会や自治体の窓口等
公的な支援サービスの存在も自分で調べなくては
有効活用は出来ません。

 今暮らしているこの地域で受けられる公的支援は何か?
今の自分に必要な支援があるか?あればどうやって受けられるか?
サービスに該当するものがなければどうするか?
民間のサービスに該当するものは無いか?

 調べる項目、集める資料は少なくありません。

 何も手当たり次第に直接公的機関に足を運ぶことは無く
今やネット上にこの手の情報は豊富に掲載されています。
まずはここから情報を収集し、今の自分に必要なもの、
知るべき制度や将来への備えとして知っておくべきサービス等を
選別しその中から優先度合いを考慮して取り組んでいく。

 終活は「情報を集める活動=集活から」という意味が
分かっていただけたと思うのですが、如何でしょうか?  

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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