大きく様変わりしたシニア向けビジネス
【はじめに】
先日夜の店で知り合った新進の成長会社の経営者と
仕事に関しての姿勢や人材の確保についての考え等、
貴重なお話を伺う機会に恵まれました。
必要とする人材に関して、
彼曰く、必要とする人材は大きく分けて2つ、
「使える人材と任せられる人材」だそうです。
【起業後のスタートダッシュ】
彼は満を持して起業・開業して計画通り、あるいはそれ以上に
好調なスタートダッシュを図れたことで人出不足が顕著になり
とにかく「使える人材」を確保することが急務となったそうです。
この方の考えでは「私の指示にまずは100%従って行動出来る事。」
極言すればまずは手足となって働けるといったタイプを必要としたそうです。
その為、いくら前職が大企業であっても、有名大卒であっても
頭でっかちで理屈先行型のようなタイプは眼中になかったそうです。
「指示待ち・言われたことしか出来ない」タイプは
一般的には否定的にみる傾向が強いのですが、彼の場合は
「まずは自分の考えを忠実に履行してくれればそれで良し」
の考えだったのです。
その考えから、採用面接時のポイントは以下のようだったそうです。
「常に眼を見て応対し続けた、下を向くことが無かった」
「行動力、フットワークの軽さを感じた」
「発言には積極性と意欲が感じられた」
「とにかく面接を通じて一緒に仕事をしてみたいと思わせた」
だったそうです。
【使える人材から任せられる人材に】
起業4年を経過して全国規模のビジネス展開が視野も入ってきた時から
もはや自分ひとりでは全てに目が届かなくなったと判断し、次の人材として
「任せられる人材」の育成と中途採用に舵を切ったとのことでした。
本人はまだ40代半ばでバリバリの現役世代と私は思ったのですが
その本人曰く「そろそろ私の思考も経年劣化し始めた」
という自覚を持ったそうです(この考えを持つこと自体素晴らしい才能ですが)
「私が斃れたら会社も脳死状態では世間にも社員にも顔向けできない」
といった想いはしっかりと伝わってきました。
しかしながらこちらの人材確保にはかなり難航したそうです。
4年の間に自分の考えを提案する、改善案を具申する人材は育ったそうですが
さすがに組織としての行動や視点を持つまでには至っておらず
全体を俯瞰出来るような人材の確保が急務となったのです。
それまではよくダメ面接の典型とされた「管理職なら出来ます」といった
シニア世代の応募の動機も全てがダメ、ではないという事例に遭遇したそうです。
彼が求めていたのは当然ながら「営業マンの指導」が最優先だったのですが
これ以外にも「報・連・相」のシステムの一本化や社員教育全般も重要課題でした。
これまではこの分野も全て自分ひとりに集約化し、迅速な判断と指示を
自負して来たそうですが、ここも限界に達したという事で「攻める人材」に加えて
「守りを固める人材」の必要性を感じたそうです。
当初は話題が豊富で快活で対人折衝力に秀でた人材ばかりに注目したそうですが
口下手でも、引っ込み思案でも、組織管理等の分野の仕事には得難い能力を発揮する
といった管理能力に秀でた人材の重要性に気付き、そこには年齢の壁はないと
判断したそうです。
【経営者が今求める人材は?】
ですが問題はここからだったそうで、自身が「まだまだ無名に近いわが社に」
経験豊富で優秀な人材が応募してくれるだろうか?といった不安が払拭出来ず、
募集の要綱の作成に数か月かかったそうで、どんなコピーがシニア層に刺さるかが
全くイメージ出来ず、かといって社内は殆ど自分より年下で採用経験者は皆無、
最後はいわゆるコピーライターの力を借りて完成させたとのことでした。
さらにいざ募集といった時に、
「この分野を本当に部外者に任せていいのか?」
「自分より年上になる部下とどう接すればいいか?」
「自分の理念に100%従ってくれるだろうか?」
といった疑念が次々と湧いてきて募集までさらに数か月を要したそうです。
ある意味今までは「自分だけの会社」だったものが
「自分たちの」会社となることの踏ん切りが出来ない、
未練がたっぷりで「まだ時期尚早では?」といった未練の想いを
持ったこともあったそうです。
この点は他の創業者の方との会話でも聞き及んだことがありました。
やはりゼロから生み育ててきた我が子の命を一部とはいえ第三者に委ねるという行為、
これには相当な葛藤があったそうです。
でも、いざ実行した後は多くの場合業務効率の改善が明らかで、今となっては
「なんでもっと早く決断出来なかったのか後悔した」とのことでした。
今回話を伺った経営者の方は、最後に
「次は生え抜き社員から任せられる人材を育成する事、
さらに登用のタイミングに関して苦悩してます。」とのことでした。
経営者の苦労は恐らくは現場を去るその時まで永遠に付きまとうのでしょうね。
【終わりに】
今も再就職や転職の話題になると
応募と募集の間の「ミスマッチ」が採り上げられます。
確かに営業の即戦力が欲しい会社に同じ業界だからと
事務職の管理部門での採用を希望しても噛み合うはずもありませんし、
今も若手と同様の営業活動が出来ると強調しても新卒で色のついていない新人を
欲しがる会社であれば結果は同じことです。
さすがに
中途採用のシニアが新卒と同じ待遇とはいきませんから、
コスト面からは同じ業績しか期待出来なければ
採用は若手優先にするのは当然です。
この逆に社内組織の構築や業務の流れの効率化を求めるような企業、
特に新興企業の場合は社内の人材をゼロから育成している時間がない事で
経験豊富な中堅を早急に求める傾向があります。
ところが肝心のシニア層は求人情報ではこういった若い会社を敬遠する
傾向も少なくないようで、ハロワの窓口のスタッフからも
募集要項から見ても適性がある様なシニアに応募を勧めても即断せずに
持ち帰ってそのまま音信不通というケースもあるそうです。
どうも私が体験した平成時代のミスマッチの状況は令和の今でも
継続しているのではと感じました。
若い経営者はシニア層に訴えるポイントを知らず、
シニア層は最初から新興企業には目を向けないで就職活動を続ける
実に勿体ない状況ですが、お互いがこの点を認識しない限り
マッチングの確率は低いままではないでしょうか?
特にシニア層においては
自分の現役時代の売上実績といった数字のデータだけをアピールするよりも
チームとしての活動履歴やバックアップ役に徹しての貢献といった
エピソード、あるいは多少の自慢話?を客観的に主張することの方が
却って採用側の求めにより合致するかもしれません。
嘘や誇張はいずれバレますが、意外に自分の履歴をていねいに
振り返ってみれば自分だから解決できた、物事が前進したといった
形にならない実績は出てくるはずです。
加えて採用条件などの募集要項を熟読し、
どういった人材を求めている会社なのかを自分なりに把握することも
スムースな面談や次に繋がるやり取りとなる可能性が増大するのです。
当然ですがハロワ等の第三者的立場からのアドバイスは欠かせません。
とにかく、独りよがり、独断だけは避けた方が自分の為なのです。
次に募集する会社側も求める人材像を募集要項には
明確で分かりやすい表現をすることが求めらます。
今回は偶然40代の若手経営者と語らう機会を得て
改めて企業の求める人材というものを考えさせられました。
この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。



