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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

認知症対策としてのMCI検査

2022年9月15日

テーマ:最近の話題から

コラムカテゴリ:医療・病院

 

【今日のポイント】

 今でもコロナへの用心の為、
電話やメールだけでやり取りをしている
旧友や知人は少なくありません。

 そういったメンバーとのやり取りの中で
前回解決済みの話題を繰り返してくるケースや、
当の本人から聞いた話をこちらが口にしたら
初めて聞いたといった反応を返すケースがちらほらと出てきたのです。

 そんな時に、
「そろそろ始まったか?」
「遺言書くなら相談に乗るぞ」
等と茶化し半分の返答すると、
ごく一部ですが「実は、最近よく言われるんだが…」と、
一気にシリアスな展開になったことも。

 今回は60代ならば、一度は必ず経験したであろう
「物忘れ」「顔と名前の失念」等に潜む危険性について紹介したいと思います。

【認知症とMCI】

 認知症発症によって日常生活をはじめ、
遺産相続時に生じる不都合については
既にかなり世間一般に浸透していることと思います。

 あと3年後の2025年には、
65才以上の5人に1人は認知症発症という
医療機関の予測データも出ていることからも
シニア世代にとっては無視出来ない課題と言えるでしょう。

 とはいえ、ある朝突然に判断能力が完全に喪失していた
等ということは、まずあり得ません。

 徐々に症状が顕在化して、重症化するのは多くの疾病と同じです。

 以前このコラムでも紹介したと思いますが、
今では 正常と認知症の間にMCI(軽度認知障害)が規定されています。

 いわば
「認知症の前段階」「認知症の入り口」
といった状態を指すと考えていいかと思います。

 普段の生活には特に支障をきたす程ではないものの、
度忘れや物忘れのレベルとは異なるような状態と言えるでしょうが、
なかなかこの時点で自ら検査に出向くというケースは
皆無に近いのが現状のようです。

【MCIの検査】

 現在は、MCI検査の方法のひとつに
MCIスクリーニング検査
というのがあります。

 検査自体はごくシンプルで、
当該の医療機関で採血し、
2~3週間後に結果が出るというものです。

 その結果によって、
即2次検査が必要というケースから
1~2年に1回は検査すればいいケースまで
レベル別に区分けされ、レベルに応じた対処方法が指導されるようです。

 但し、現在は自由診療なので健保の適用外となり、
費用面でも2~3万円台とかなり高額なのは
今後の課題と言えるかもしれません。

 他にも
ApoE遺伝子検査という遺伝子を調べることで
将来のアルツハイマー発症のリスクを調査する方法もあります。

 こちらも検査自体は採血のみ、
自由診療なので保険は適用外、費用も概ね2万円前後
内容的には先のスクリーニング検査とほぼ同じと言えそうです。

 正常な判断能力がある場合は
自らの判断で家族信託や任意後見契約の締結が可能です。

 既に認知症発症と診断された後の場合には
法定後見制度の適用しか選択肢はありません。

 これに対して,MCIの場合は
症状の程度や契約先の指針等でケースバイケースですが、
家族信託や任意後見契約も可能な場合があるそうです。

 当然早期(=軽度)のMCIであれば、
制度適用の可能性は高くなると考えていいでしょう。

 最近特に「そういえば」「もしかして」等など、
ある程度、身に覚えがある場合は積極的に検査を受けるようにしたいものです。

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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