18才からは新成人ということ
【はじめに】
昭和の時代には考えられなかったことが可能になった、
令和の今は我々昭和生まれのシニア世代からすれば
想像以上の便利さが実現しています。
その中でも最も腰が重い?と思われた
公的な申請や手続きの変化は特に注目に値します。
今回はその中からまだ予定のものも含めて
身近な公的手続きの変化を紹介したいと思います。
【コンビニで証明書交付】
今や住民票や印鑑証明はコンビニ交付が一般的になるまで浸透しています。
マイナカードが必須となりますが、その簡便性は言うまでもありません。
従来はお役所の窓口が空いている「平日の昼間」に出向いての手続き、
サラリーマンにとっては非常に厄介な手続きのひとつでした。
昭和の時代には外回りの営業マンは活動の中で出向くことが可能でしたが
内勤の部署の方はわざわざ有給休暇を利用しなくてはどうにもなりませんでした。
私の時代では大学入学で田舎から上京した学生が地理不案内の中
訳も分からず当該の役所を何往復もして住民票を入手したとか、
面倒に思って何年も実家の住民票のままで過ごし後で問題になったとか、
転勤族も限られた時間の中で住民票や印鑑証明の交付を受ける必要に迫られて
本来業務にまで支障を生じたなど等、苦労話に事欠きませんでした。
居住地によっては役所まで別途交通費(駐車場代・電車やバス代等)も発生し、
余分な費用まで負担するケースも少なくありませんでした。
それが今では自宅や職場近くのコンビニで簡単に入手出来、
さらに殆どの場合朝の6時半から深夜の23時まで交付が可能になりました。
おまけに手数料自体、窓口での交付より安く設定されているので
費用面でも大きなメリットとなっています。
時間と場所の制約が大きく緩和され、費用も軽減したことは
利用者にとってまさに痒い所に手が届く制度ではないでしょうか?
【成年後見の改正】
今月3日の政府閣議で成年後見制度の利用を促進すべく
民法の改正案を決定し国会に提出しました。
これが成立した場合、
2028年度中に新制度の運用が開始されるという事です。
制度の概要は認知症発症等で判断能力が不十分な人に代わって
預貯金管理や契約の支援を行う制度で後見人として親族、士業従事者が
就くものとなっています。
ただ2024年12月の時点では利用者は僅か25万人ほどで
制度活用は不十分な状態が続いています。
その理由としては原則終身利用となることから
契約の解除は当人の死亡か後見人の死亡と言ったケースに限られ
中途解約が難しく、契約期間中は毎月利用料が発生することで
長期にわたる場合の金銭的負担が無視出来ないといった
使い勝手の悪さが指摘されてきました。
これを受けて今回の改正案では遺産分割や不動産の売却時と言った
特定の行為に限って支援出来る様な仕組みを盛り込んでおり、
従来は本人が望まない行為にまで後見人の権限が及ぶ仕組みだった点を
利用しやすい仕組みに変更することが盛り込まれています。
また支援のレベルによって「後見・保佐・補助」の3段階を
「補助」に一本化することも盛り込まれています。
※こうなると、将来後見人という名称自体が変更されるのでしょうか?
後見人に問題ありと判断された場合には交代も可能なようにする等
利用を検討している方から見ればかなり踏み込んだ改正となっています。
※いずれ詳細が公表された時点で改めてこのテーマは採り上げたいと思います。
【デジタル遺言書】
民法改正案にはこの事案も盛り込まれていました。
これまでは遺言書は大原則として自筆の作成が求められていましたが
改正案では「デジタルデータ」でも有効な遺言書作成を認めるものです。
現時点の情報では法務局が利用者から遺言書の提出を受けて
本人確認を経てデジタル遺言書を保管するという流れです。
また、間違いなく本人が本人の意思で作成したことの確認として
申請の際には本人による遺言書全文の口述が求められるそうです。
【金融機関の相続手続き共通化】
これもまだ稼働していない制度ですが、4月8日の日経新聞で紹介されました。
これによりますと、SMBC日興証券主導で大和証券グループ本社、野村HD、
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が参加し、三井住友フィナンシャルGや
三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行の大手7社が参加し、
遺産の相続手続きを一括対応する新会社を設立、これまで各金融機関ごとに
必要とされてきた書類の提出が新会社への1回の提出で済むというものです。
これも準備期間を経て2028年の秋にサービス提供を開始する予定だそうです。
今後も参加する金融機関を募るとされていますので今回名前の挙がっていない
金融機関に口座をお持ちの方も2年後には対象になっているかもしれません。
経験した方はお分かりでしょうが、ひとたび相続発生となれば
亡くなった名義人の死亡した旨を各社宛てに届け出て口座凍結し、
その後相続の為に死亡した人の戸籍謄本、印鑑証明等を提出、
各社ごとの相続手続きの様式に従って資料を用意、作成し
各社ごとに同じような手続きを繰り返す手間が発生していました。
さらに、故人がどこに口座を持っていたかも
事前に把握出来ていなければ相続人が各社に確認するという
余計な手続きも負うようなケースもあり、かなりの時間と労力が
避けられませんでした。
これが新制度で発足する新会社に参加する各社の場合、
一回の連絡で全て判明することとなるようです。
さらに参加している各社に遺族が知らなかった口座等があった場合には
その存在も一発で判明するというものです。
またよく苦労話で出てくるのが故人の居住地と相続人の居住地が
別々で遠方にある場合に先の提出手続の為に時間と旅費をかけて
出向くことが面倒だったというものがありました。
下手をすれば故人が転勤族で複数の遠隔地に口座があった等
面倒極まりないケースもあったのですが、この制度によって
資料提出の手続きは新会社への提出のみで済むということになります。
加えて戸籍謄本等の必要書類もWeb上へアップロードするだけで
完了と言うさらに手間が省ける仕組みになるそうです。
ただ各社での相続手続きは当然ながら一社毎の手続きとなるので
この新会社の利用だけで全ての手続きが完了という訳ではない点は
注意が必要です。
まとめておきますと、
・各社ごとに提出していた必要書類が新会社の提出だけで済む
・遺族も知らなかった故人の口座情報が全て把握出来る
・遠方に居住していても書類提出の手続きがこれだけで済む
これだけでも実際の手続きに要する手間と時間は大幅に短縮出来るのです。
但し、現時点では冒頭で紹介したこの制度に参加している金融機関での話
という事もお忘れなく!
【終わりに】
最初のコンビ二での証明書書類の交付以外は
これから始まる新制度であり手続きです。
実現すれば従来よりかなり利用しやすく
時間を有効に活用出来ると思われます。
ただ現時点ではまだ不明瞭な箇所も残されていることも事実です。
例えば新しい成年後見制度についてはこの制度の適用が2028年の施行以降
の契約に関するものなのか、現在契約している利用者にも適用されるのか?
この点が気になるところです。
デジタル遺言についても、本人が法務局に出向き「口述」と言う点は
発話が困難な方の場合や、事故や病気で外出困難な、特におひとり様の様な
家族の協力が期待出来ない立場の方にとっては利用は出来ないと考えられます。
こういった「例外」にどう対応するかは今後の推移をみるしかありません。
またこの手の手続きの代行を主として扱ってきた士業従事者にとっては
どんどん一般人が自ら手続を行えるようになる訳です。
今までのように平日の昼間しか手続きを受け付けてくれないことで
手続きの代理や代行と言う業務で商売が成り立ってきましたが、
これだけを主業務としている場合は今後失業状態に陥るのは必至でしょう。
今はおカネになる仕事も、明日には誰もが出来る手続きになる…
我々にとっても常に社会のニーズやウォンツに注意を払い新たな仕事の
可能性を追求していかなくてはいけない時代が来たという事です。



