【人事トラブル】辞めてもらいたい社員がいるときの対応
今日もありがとうございます。
人事トラブルを整理する「人の専門家」
ハーレー好きの社労士 キャプテン ヒデです。
先日、3年ぶりにハーレーで柳沢峠を走ってきました。
横浜を朝5時に出発。
奥多摩湖を抜けて、柳沢峠へ向かいました。
柳沢峠に着いたのは、朝7時40分頃。
まだ車も少なく、空気も涼しい時間帯でした。
奥多摩湖を過ぎ、山道に入っていくと、街中とは空気が変わります。
少しひんやりした空気。
峠道らしい緊張感。
カーブに入るたびに、昔の感覚が少しずつ戻ってきます。
「ああ、この感じだな」
そんなことを思いながら走っていました。
柳沢峠は、私にとってかなり思い入れのある道です。
これまで30回以上は走っていると思います。
ただ、今回は3年ぶりでした。
そして走りながら、すぐに気づきました。
山梨側の道が、昔とずいぶん違うのです。
同じ柳沢峠でも、見え方はまったく変わる
実は、この柳沢峠。
バイクに乗る前、自転車でも何度か越えています。
若い頃の話です。
当時は体力だけを頼りに走っていました。
奥多摩側から峠を越えて山梨側へ下り、今度は反対方向からまた上り詰めて戻る。
今考えると、よくそんなことをしたなと思います。
自転車で峠を越えると、道の記憶が体に残ります。
勾配がきつくなる場所。
路面が荒れていて気を使う場所。
下りでスピードが出るけれど、気を抜けない場所。
「まだ上るのか」と思いながら、黙々とペダルを踏んだ感覚。
正直、楽しいというより「大変だった」という記憶の方が強いです。
その後、オートバイに乗るようになり、さらにハーレーに乗るようになりました。
同じ柳沢峠でも、見え方はまるで変わりました。
自転車のときは、勾配と体力との勝負。
若い頃のバイクでは、カーブと路面と対向車への緊張。
そして今は、道路の変化も、自分自身の体力も含めて見るようになっています。
同じ場所でも、年齢、経験、乗り物によって、見え方はまったく違う。
今回、3年ぶりに走ってみて、そのことをあらためて感じました。
40年近く前の記憶と、現在の柳沢峠
40年近く前、初めてオートバイで柳沢峠を走った頃の山梨側は、かなり気を使う道でした。
狭い道。
曲がりくねったカーブ。
見通しの悪い場所。
路面の状態。
対向車との距離感。
大型バイクで走るには、それなりに緊張する峠道でした。
ハーレーのような重量のあるバイクでは、ただ楽しいだけではありません。
カーブの入り方、ブレーキのタイミング、道路の端の状態、対向車の動き。
いろいろなことに気を配りながら走る必要があります。
ところが今回、3年ぶりに走ってみると、山梨側の道路改良が進み、驚くほど走りやすくなっていました。
もちろん、峠道であることに変わりはありません。
油断していい道ではありません。
ただ、昔の記憶にある「狭くて曲がりくねった、かなり気を使う山梨側」という印象とは、明らかに違っていました。
走りながら、こう思いました。
昔の記憶のままでは、今の姿は分からない。
これは、単に道路の話ではありません。
会社経営や人事労務にも、まったく同じことが言えます。
「昔からこのやり方でやってきた」は、安心材料とは限らない
経営者や人事担当者の方と話していると、次のような言葉を聞くことがあります。
「昔からこのやり方でやっています」
「前の会社では、これで問題ありませんでした」
「うちは小さい会社だから、そこまでしなくても大丈夫です」
「昔は、これくらい普通でした」
もちろん、経験は大切です。
長く会社を経営してきた方の判断力。
現場を見てきた管理職の勘。
人事担当者として積み上げてきた実務感覚。
これらは、簡単に得られるものではありません。
むしろ、経験は会社を守る大きな財産です。
ただし、気をつけたいのは、経験が昔のまま止まってしまうことです。
道路が変わるように、会社を取り巻く環境も変わります。
社員の意識も変わります。
採用市場も変わります。
労働法令も変わります。
行政や裁判所の見方も変わります。
その中で、昔の経験だけを頼りに判断すると、現状を見誤ることがあります。
柳沢峠を、40年前の記憶だけで走るようなものです。
ベテランほど「知っているつもり」に注意が必要
私はハーレーに乗って23年になります。
ライフタイムマイルも10万マイルを超えました。
それなりに走ってきたという自負はあります。
ただ、だからこそ危ないとも思っています。
「この道は知っている」
「この程度なら大丈夫」
「昔も走ったことがある」
こういう気持ちが出たときほど、慎重になる必要があります。
今回の柳沢峠でも、走る前は「よく知っている道」という感覚がありました。
しかし、実際に走ってみると、道路は変わっていました。
変わっていたのは、道だけではありません。
自分の体力も、判断の仕方も、若い頃とは違います。
これは、人事労務の世界でも同じです。
長く経営している社長ほど、社員対応について独自の経験則を持っています。
長く総務を担当している方ほど、社内のやり方に慣れています。
現場の管理職ほど、「うちの現場はこういうものだ」と考えがちです。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、経験がある人ほど、知らないうちに「知っているつもり」になっていることがあります。
ここが怖いところです。
人事労務は、ここ数年で大きく変わっている
人事労務の世界は、ここ数年だけを見ても大きく変わっています。
ハラスメント対応。
年次有給休暇の管理。
労働条件通知書や雇用契約書の整備。
パート・契約社員の待遇。
社会保険の適用拡大。
育児・介護と仕事の両立。
メンタルヘルス対応。
退職代行。
カスタマーハラスメント対策。
以前は、そこまで問題にならなかった対応でも、今は大きなトラブルにつながることがあります。
たとえば、ハラスメント対応です。
昔であれば「少し厳しく指導しただけ」で済んでいた言動も、今はそう単純ではありません。
言い方、場所、回数、相手との関係性、周囲への影響まで見られます。
退職対応も変わりました。
社員から退職の申し出があれば、淡々と処理して終わり。
そう考えていると、思わぬ問題につながることがあります。
退職代行を通じて連絡が来る。
未払い残業代の請求がある。
在職中のハラスメントを指摘される。
体調不良や労災申請の話が出てくる。
こうしたことは、実務上、決して珍しくありません。
パート・契約社員の管理も同じです。
「パートさんだから」
「扶養の範囲内だから」
「短時間だから」
こうした感覚だけで処理していると、社会保険の適用、有給休暇の比例付与、労働条件通知書、契約更新の管理などでズレが出ることがあります。
特に、入社日や勤務日数が人によって違う会社では、年次有給休暇の付与日数や基準日の扱いでミスが起きやすくなります。
会社としては良かれと思って運用していても、後から確認すると、必要な付与日数に足りていなかった。
あるいは、雇用契約書の内容と実際の勤務実態が合っていなかった。
こうしたケースは、現場では十分起こり得ます。
今は、社員も情報を調べられます。
行政の相談窓口、労働局、労働基準監督署、インターネット上の情報、退職代行サービス。
以前よりも、社員側が外部に相談しやすい環境になっています。
会社側が「知らなかった」「昔からこうしていた」では済みにくくなっています。
道が良くなっても、リスクが消えるわけではない
今回、柳沢峠の山梨側は、以前よりかなり走りやすくなっていました。
道路が改良されること自体は、ありがたいことです。
走りやすくなれば、疲れも少なくなります。
ただ、走りやすくなったからといって、リスクが消えるわけではありません。
むしろ、走りやすくなった分、スピードが出やすくなる。
見通しが良くなったことで、気が緩む。
昔より安全そうに見えるからこそ、別の危険が出てくる。
人事労務も、これに似ています。
システムが便利になる。
ネットで情報が取れる。
書式も簡単に手に入る。
クラウドで勤怠や給与を管理できる。
一見すると、昔より楽になったように見えます。
しかし、その分、会社に求められる管理責任や説明責任も重くなっています。
勤怠データが残るからこそ、労働時間の説明が必要になる。
雇用契約書があるからこそ、実際の働き方とのズレが問題になる。
相談窓口を設けたからこそ、相談が来たときの初動対応が問われる。
「便利になったから安心」ではありません。
便利になった分だけ、会社側の管理の甘さも見えやすくなっている。
この感覚は、持っておいた方がよいと思います。
無理をしない判断も、経験のうちです
今回のツーリングでは、甲府の市場で朝食を取ることも少し考えていました。
せっかく山梨まで来たのだから、少し寄り道してもよいかな。
そんな気持ちもありました。
ただ、今回は無理をせず、早めに帰ることを優先しました。
帰路は中央道に入り、談合坂サービスエリアで朝そば定食を食べました。
豪華な食事ではありません。
でも、朝のツーリング後にはちょうどよく、十分満足できる内容でした。
コストパフォーマンスも良かったです。
若い頃なら、もっと欲張って走ったかもしれません。
「せっかくここまで来たのだから」
「あそこにも寄ってみよう」
「もう少し走れるだろう」
そう考えていたと思います。
でも今は、自分の体力や時間帯、道路状況を見て、無理をしない判断をすることも大切だと感じています。
これは、中小企業の経営にも重なります。
「せっかくだから、これもやっておこう」
「多少の無理はいつものことだから」
「今までも何とかなってきたから」
こうした判断を経営側だけで重ねていくと、現場にしわ寄せがいきます。
総務担当者が疲弊する。
管理職が抱え込む。
社員が不満をためる。
ミスが増える。
突然の離職という形で表れる。
現場の実態を見ずに、昔の感覚で会社を動かしていると、この負担感に気づきにくくなります。
だからこそ、現場に足を運ぶことが大切です。
制度を作る前に、現場を見る。
ルールを変える前に、担当者の話を聞く。
問題社員だと決めつける前に、何が起きているのか確認する。
ハラスメントだと騒ぐ前に、事実関係を整理する。
机の上では見えないことが、現場に出ると見えてきます。
「まだまだ乗れるな」と感じた理由
帰宅して、ガレージにバイクをとめたとき、少しうれしくなりました。
「まだまだ乗れるな」
そう感じたからです。
ただ、それは、若い頃と同じように走れるという意味ではありません。
若い頃のように体力任せで走るわけではない。
昔のように、無理に距離を伸ばすわけでもない。
今の自分の体力、バイクの状態、道路状況、時間帯を見ながら、無理なく走る。
それができたから、「まだまだ乗れる」と感じたのだと思います。
経営者や人事担当者の経験も、同じではないでしょうか。
昔の経験は、捨てるものではありません。
長く会社を守ってきた判断力や現場感覚は、本物の財産です。
ただ、その経験を今の環境に合わせて使う必要があります。
昔のままの経験ではなく、今に合わせて更新された経験。
それが、これからの会社を守る力になります。
今すぐ確認してほしい3つのこと
【1】社内ルールを「昔のまま」にしていないか
就業規則、雇用契約書、賃金規程、ハラスメント規程、休職規程などを、何年も見直していない会社は少なくありません。
法改正への対応だけでなく、実際の運用と規程がズレていないかも確認が必要です。
特に、次のような会社は要注意です。
社員数が増えた会社。
パート・契約社員が増えた会社。
テレワークを導入した会社。
短時間勤務者がいる会社。
休職者やメンタル不調者への対応が増えている会社。
管理職の指導に不安がある会社。
昔作った規程のまま、今の現場を動かしていると、いざトラブルになったときに対応しにくくなります。
【2】現場の「今の困りごと」を聞いているか
経営者が把握している課題と、現場が困っている課題は違うことがあります。
管理職が抱えている悩み。
総務担当者が処理に困っている手続き。
社員が不満を持っているルール。
実態と合っていない勤務時間。
あいまいなまま運用している休暇や手当。
制度を変える前に、まず現場の声を聞く機会を作ることが大切です。
現場の声を聞くというのは、社員の言い分をすべて受け入れるという意味ではありません。
今、何が起きているのかを確認するということです。
ここを飛ばしてしまうと、会社側の思い込みだけで制度を作ってしまうことがあります。
【3】「なんとなく経験則で判断していること」を書き出してみる
会社には、明文化されていない判断基準がたくさんあります。
遅刻した社員への対応。
欠勤が続く社員への対応。
退職申出があったときの初動。
ハラスメント相談があったときの対処。
試用期間中の評価。
問題行動がある社員への指導。
休職・復職の判断。
これらを、
「いつもこうしている」
「前からこうだから」
「その場で判断している」
という状態で処理している場合、トラブル時の対応がぶれやすくなります。
一度、会社としての判断基準を書き出してみるだけでも、見えてくることがあります。
どこまで現場で判断するのか。
どこから経営者に報告するのか。
どの段階で専門家に相談するのか。
記録をどのように残すのか。
この整理をしておくだけで、いざというときの動き方が変わります。
まとめ
柳沢峠は、昔と同じ場所にあります。
でも、道は変わっていました。
そして、走る自分自身も変わっていました。
会社も同じです。
同じ会社。
同じ仕事。
同じ社員対応。
そう見えても、環境は少しずつ変わっています。
「昔はこうだった」で止まらない。
「今はどうなっているか」を見に行く。
長く経営してきた方ほど、この目線の切り替えが会社を守ることにつながると、私は思っています。
経験は、会社にとって大切な財産です。
ただし、その経験は、今の環境に合わせて更新してこそ活きます。
ご相談について
「昔からこのやり方でやっているが、今も問題ないか確認したい」
「就業規則や雇用契約書をしばらく見直していない」
「現場の運用と規程が合っているか不安」
「問題が起きてから動くのではなく、事前に整理しておきたい」
こうした不安がある場合、いきなり大きな制度改定をする必要はありません。
まずは、今のルールと実際の運用がズレていないかを確認するだけでも、見えてくることがあります。
人事労務のトラブルは、起きてから対応すると時間も労力もかかります。
「まだ問題になっていないうちに、一度整理しておきたい」
そんな段階でご相談いただくのが、いちばん効果的です。
会社の実態を確認しながら、今の法令・職場環境に合った労務管理の見直しを一緒に整理します。
※本記事は一般的な実務整理であり、個別企業の状況により最適な対応は異なります。


