死別ステップファミリーだからこそ大切にしたいこと④

平田えり

平田えり

テーマ:ステップファミリー

「こんなに頑張っているのに…」と苦しくなる継親へ

愛情は、すぐに信頼へ変わるとは限りません

「毎日お弁当を作っているのに、ありがとうと言ってもらえません。」

「誕生日を一生懸命お祝いしたのに、亡くなったお母さんの話ばかりでした。」

「こんなに頑張っているのに、どうして距離が縮まらないのでしょう。」

死別後に再婚したステップファミリーの継親から、このようなご相談を受けることがあります。

家族になりたい。

子どもに安心してほしい。

笑顔で過ごせる家庭をつくりたい。

そんな思いが強い人ほど、一生懸命頑張ります。

でも、その努力が思うような結果につながらないと、「私は受け入れてもらえないのではないか」と苦しくなってしまいます。

今回は、その苦しさの理由と、少し心が軽くなる考え方についてお伝えします。

「○○してあげたのに」と思うのは自然なこと

「こんなにしてあげたのに……。」

この言葉を口にすると、「見返りを求めているようでよくない」と感じる方もいるかもしれません。

でも、本当にそうでしょうか。

人は誰でも、自分の思いや努力が相手に伝わってほしいと願うものです。

家族であればなおさらです。

時間をかけて料理を作る。

学校行事に参加する。

体調を気遣う。

送り迎えをする。

一緒に遊ぶ。

こうした積み重ねは、「あなたを大切に思っているよ」というメッセージでもあります。

だからこそ、その思いが届いていないように感じると悲しくなるのです。

それは決して心が狭いからではありません。

家族を大切に思っているからこその自然な気持ちなのです。

愛情と結果は比例しない

私たちは、どこかでこんな期待を持っています。

「優しくすれば、優しく返してくれる。」

「愛情を注げば、愛情が返ってくる。」

もちろん、それが当てはまる場面もあります。

しかし、死別ステップファミリーでは少し事情が違います。

子どもは、継親の愛情がうれしくないわけではありません。

むしろ、安心できるからこそ甘えたり、反発したりすることがあります。

それでも、心の中では亡くなった親への思いを抱えています。

「継親を好きになったら、お母さん(お父さん)を忘れてしまう気がする。」

「笑ってしまうと、亡くなった親に申し訳ない。」

そんな葛藤を抱えていることも少なくありません。

つまり、継親への反応だけで「愛情が伝わっていない」と判断することはできないのです。

信頼は「返事」ではなく「時間」が育てる

ある継親の方が、こんなことを話してくださいました。

「最初の数年間は、話しかけても返事すらしてくれませんでした。でも、高校生になったある日、子どもが『お母さん、今日遅くなる』と自然に声をかけてくれたんです。その一言で、それまでの日々が報われた気がしました。」

信頼とは、劇的に生まれるものではありません。

毎日の何気ない積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。

そして、その変化は意外なほど静かに訪れます。

「ありがとう。」

「これ食べる?」

「今日こんなことがあった。」

そんな何気ないやり取りの中に、信頼の芽は育っています。

「親になろう」としなくてもいい

継親は、「本当の親にならなければ」と頑張りすぎてしまうことがあります。

でも、親という存在は、肩書きだけでなれるものではありません。

子どもにとって必要なのは、「本当の親の代わり」ではなく、「安心できる大人」です。

困ったときに話を聞いてくれる人。

体調が悪いときにそばにいてくれる人。

失敗しても味方でいてくれる人。

そういう存在は、子どもの心に深く残ります。

親になることを急がなくても大丈夫です。

まずは、「この人と一緒にいると安心する。」

そんな存在を目指してみてください。

「結果」ではなく「関係」を育てる

継親は、どうしても結果を求めたくなります。

「笑ってくれた。」

「ありがとうと言ってくれた。」

「お母さんと呼んでくれた。」

もちろん、それはうれしいことです。

でも、それだけを目標にすると、思うようにいかなかったとき、自分を責めてしまいます。

それよりも、

今日は同じ食卓を囲めた。

今日は一緒にテレビを見て笑えた。

今日は「おはよう」と言えた。

そんな日常を大切にしてみてください。

家族とは、特別な出来事よりも、何気ない日々の積み重ねでできていくものです。


継親にも休む時間が必要

一生懸命頑張る人ほど、自分の気持ちを後回しにしてしまいます。

でも、継親も一人の人間です。

疲れる日もあります。

「今日はもう頑張れない。」

そう思う日があって当然です。

無理を続けると、「どうして私ばかり」と苦しさが大きくなってしまいます。

だから、自分を休ませる時間も大切にしてください。

趣味の時間を持つ。

友人と話す。

同じ立場の人とつながる。

夫婦でゆっくり話をする。

継親自身が安心できる時間を持つことは、決してわがままではありません。

「安心できる大人」は、子どもの一生の財産になる

子どもは、すぐには気持ちを表現できないかもしれません。

感謝も伝えられないかもしれません。

でも、大人になってから、

「あのとき見守ってくれていた。」

「何も言わずに待っていてくれた。」

そんな記憶が、その子の支えになることがあります。

信頼は、目には見えません。

だからこそ、不安になることもあります。

けれど、今日の関わりは、必ず未来につながっています。

おわりに

「こんなに頑張っているのに……。」

そう思う日は、決してあなたが失敗している日ではありません。

それだけ家族を大切に思い、関係を築こうとしている証です。

死別ステップファミリーでは、愛情がすぐに形になるとは限りません。

でも、愛情が無駄になることもありません。

大切なのは、「親になろう」と力むことではなく、「この人といると安心する」と思ってもらえる存在でいることです。

その安心感は、一日では育ちません。

だからこそ、焦らなくて大丈夫です。

今日の「おはよう」も、一緒に食べた夕食も、何気ない会話も、すべてが家族の歴史になります。

結果を急ぐのではなく、それぞれの歩幅で信頼を育てていく家族を応援しています。

家族になることは、ゴールではありません。

毎日の暮らしの中で、少しずつ育ち続ける関係なのです。

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平田えり
専門家

平田えり(カウンセラー)

NPO法人M-STEP

自身もステップファミリーやシングルマザー当事者であるカウンセラーが、「100日間カウンセリング」を実施。自信を持って自分の行動を選べる人になれるようサポートをします。不登校の悩みにも対応しています。

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