死別ステップファミリーだからこそ大切にしたいこと①

平田えり

平田えり

テーマ:ステップファミリー

亡くなった親を大切にしながら、新しい家族になる方法


「忘れなくていい」が、新しい家族のはじまり


「再婚したのだから、亡くなったお母さん(お父さん)の話は控えたほうがいいのでしょうか。」
「子どもが亡くなった親のことばかり話すので、前に進めていないように感じます。」
「私は継親ですが、本当の親にならなければいけないのでしょうか。」

死別後に新しい家族を築き始めた方から、このような相談を受けることがあります。

そこには、「新しい家族になるためには、過去を手放さなければならない」という思い込みが隠れていることがあります。

しかし、本当にそうでしょうか。

亡くなった親を大切に思うことと、新しい家族を大切にすることは、どちらか一方を選ぶものではありません。

その両方を大切にできることこそ、死別ステップファミリーの大きな強みなのです。

「忘れること」が前に進むことではない

大切な人を亡くした悲しみは、時間がたてば消えるものではありません。

悲しみの形は変わっても、その人への愛情や思い出は、人生の一部として残り続けます。

子どもにとって亡くなった親は、世界に一人しかいない存在です。

「お母さんが好きだった歌を覚えている。」

「お父さんと行った公園を思い出す。」

そんな記憶は、子どもの成長を支える大切な心の財産です。

だからこそ、「もう忘れなさい」「新しいお父さん(お母さん)がいるでしょう」と言われると、子どもは「思い出してはいけないのかな」「今の家族を大切にするには、亡くなった親を忘れなければいけないのかな」と葛藤してしまうことがあります。

本当は、忘れる必要などありません。

思い出を大切にしながら、新しい毎日を生きていくことは十分にできるのです。

「親」になろうと頑張りすぎなくていい

一方で、継親にも悩みがあります。

「本当の親のようにならなければ。」

「子どもに愛されなければ。」

「早く家族にならなければ。」

そんな思いから、一生懸命頑張ってしまう方が少なくありません。

もちろん、その気持ちはとても自然です。

家族になりたいからこそ、努力を重ねるのでしょう。

しかし、家族とは「役割」を演じることで生まれるものではありません。

毎日の食事を囲み、一緒に笑い、困ったときに支え合う。

そんな日常の積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。

継親が目指すのは、「亡くなった親の代わり」ではありません。

子どもにとって、「この人といると安心できる」と思える大人になることです。

それだけでも、子どもにとっては大きな支えになります。

子どもの心には、二人の親を大切にする場所がある

子どもは、一人しか愛せないわけではありません。

亡くなった親を愛しながら、継親との信頼関係を育むことはできます。

それなのに、大人が「どちらを選ぶの?」という空気をつくってしまうと、子どもは板挟みになります。

「継親と仲良くすると、亡くなった親を裏切るような気がする。」

「亡くなった親の話をすると、継親を傷つけるかもしれない。」

そんな罪悪感を抱えながら生活することは、子どもにとって大きな負担です。

だからこそ、大人が伝えてほしい言葉があります。

「お父さん(お母さん)のことを大切に思っていていいんだよ。」

「そのうえで、今の家族との時間も大切にしていこうね。」

この一言が、子どもの心を軽くしてくれることがあります。

家族の歴史は「上書き」ではなく「つながっていくもの」

死別ステップファミリーでは、「新しい家族になったのだから、過去はしまっておこう」と考えたくなることがあります。

けれど、家族の歴史は消せるものではありません。

むしろ、消そうとするほど苦しみが大きくなることがあります。

私は、家族の歴史は一本の長い物語のようなものだと思っています。

亡くなった親と過ごした時間があり、その続きとして、新しい家族との時間が始まる。

ページを破って書き直すのではなく、新しいページを書き足していくのです。

だから、写真があってもいい。

思い出話をしてもいい。

命日に好きだった料理を囲んでもいい。

そして翌日には、新しい家族で旅行の計画を立ててもいいのです。

過去を大切にすることと、未来を楽しむことは、決して矛盾しません。

実親にできる大切なこと

死別ステップファミリーでは、実親の役割もとても重要です。

子どもの悲しみに寄り添うことはもちろんですが、継親の孤独にも目を向けてほしいと思います。

継親は、「家族になりたい」という思いと、「亡くなった親にはかなわない」という思いの間で揺れています。

だからこそ、

「あなたがいてくれて本当に助かっている。」

「子どもも少しずつ安心しているよ。」

「焦らなくて大丈夫。一緒に家族になっていこう。」

そんな言葉が、継親にとって大きな支えになります。

子どもだけでなく、継親も安心できる環境があってこそ、新しい家族は育っていくのです。

「両方大切」が許される家庭を目指して

死別ステップファミリーに必要なのは、「どちらかを選ぶこと」ではありません。

亡くなった親を大切に思う気持ち。

今一緒に暮らしている家族を大切に思う気持ち。

その両方があっていいのです。

「忘れなさい」でもなく、「代わりになりなさい」でもない。

「どちらも大切にしていい。」

そんな空気が家庭の中にあると、子どもも、実親も、継親も、自分の気持ちを安心して表現できるようになります。

おわりに

新しい家族になるということは、過去を消すことではありません。

亡くなった親への愛情を胸に抱きながら、新しい家族との思い出を一つずつ増やしていくことです。

焦らなくても大丈夫。

完璧な親になろうとしなくても大丈夫。

亡くなった親を忘れなくても大丈夫。

家族は、「誰かの代わり」が集まってできるものではありません。

それぞれが、それぞれの立場で大切にされながら、新しい関係を育てていくものです。

私は、死別という大きな喪失を経験した家族が、「過去」と「今」を対立させることなく、それぞれの思いを大切にしながら、新しい家族の物語を紡いでいけるよう、これからも寄り添い続けます。

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平田えり
専門家

平田えり(カウンセラー)

NPO法人M-STEP

自身もステップファミリーやシングルマザー当事者であるカウンセラーが、「100日間カウンセリング」を実施。自信を持って自分の行動を選べる人になれるようサポートをします。不登校の悩みにも対応しています。

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