死別ステップファミリーだからこそ大切にしたいこと③

平田えり

平田えり

テーマ:ステップファミリー

子どもは亡くなった親を忘れたいわけではない

悲しみは、何度でも訪れるものだから



「もう何年も経っているのに、急に泣き出すことがあります。」

「小さい頃は平気そうだったのに、中学生になってから亡くなった親の話をするようになりました。」

「私に甘えてくれたと思ったら、そのあと急によそよそしくなるんです。」

死別後のステップファミリーでは、このような子どもの姿に戸惑う継親や実親は少なくありません。

「まだ悲しいの?」

「もう前を向いていると思っていたのに。」

そう感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、子どもの悲しみは、大人が思うように一直線には進みません。

悲しみは、時間とともに消えていくものではなく、成長とともに形を変えながら何度も訪れるものなのです。

子どものグリーフは「終わるもの」ではない



大人は、死別を経験すると、その出来事を自分の人生の中で少しずつ意味づけながら生きていきます。

一方、子どもは違います。

子どもは、その時々の年齢や発達段階に応じて、「死」という出来事を理解し直していきます。

例えば、幼い子どもは「亡くなった」という意味を十分には理解できません。

「また帰ってくる」と思っていることもあります。

小学校に入る頃になると、「もう会えない」という現実を少しずつ理解し始めます。

思春期になると、「なぜ自分だけが親を亡くしたのだろう」「親がいたらどんな人生だったのだろう」と、自分の人生と重ねて考えるようになります。

つまり、子どもは成長するたびに、亡くなった親との別れを経験し直しているのです。

だから、何年経っても悲しみがよみがえることは、決して珍しいことではありません。

節目は悲しみが再燃しやすい

子どもの悲しみは、特に人生の節目で強くなることがあります。

入学式。

卒業式。

運動会。

成人式。

就職。

結婚。

子どもの誕生。

そのたびに、

「この姿を見せたかった。」

「ここにいてほしかった。」

そんな気持ちが込み上げてきます。

周囲から見ると、突然落ち込んだように見えるかもしれません。

でも、その子の心の中では、亡くなった親とのつながりを改めて感じる大切な時間なのです。

悲しみが再燃することは、前に進めていない証拠ではありません。

それだけ大切な存在だったということなのです。

継親に甘えたあと、罪悪感を抱くこともある

死別ステップファミリーでは、継親との関係が深まってきた頃に、子どもの様子が変わることがあります。

昨日までは一緒に笑っていたのに、今日は急によそよそしい。

甘えてきたと思ったら、距離を取る。

そんな姿に、「嫌われたのかな」と不安になる継親もいるでしょう。

しかし、その背景には罪悪感が隠れていることがあります。

「継親に甘えたら、亡くなったお母さん(お父さん)を裏切ることになるのではないか。」

「継親を好きになると、本当の親を忘れてしまう気がする。」

子どもは、そんな葛藤を抱えることがあります。

これは、継親との関係が悪いからではありません。

むしろ、安心できる関係が育ち始めたからこそ生まれる葛藤なのです。

「どちらも大切にしていい」と伝えてあげる

子どもは、一人しか愛せないわけではありません。

亡くなった親を大切に思いながら、継親を信頼することもできます。

それなのに、大人が無意識に、

「もう前を向こう。」

「今のお父さん(お母さん)がいるでしょう。」

という雰囲気をつくってしまうと、子どもは心の中で「どちらかを選ばなければならない」と感じてしまいます。

だからこそ、大人にできることがあります。

「お母さん(お父さん)のことを思い出していいんだよ。」

「その気持ちは大切にしていい。」

「そして、今の家族との時間も大切にしていこうね。」

このメッセージは、子どもの心に大きな安心感をもたらします。

「まだ悲しいんだね」と受け止めるだけでも十分

子どもが泣いたとき。

亡くなった親の話をしたとき。

命日に元気がなくなったとき。

何か特別な言葉をかけなければならないと思う必要はありません。

「まだ悲しいんだね。」

「思い出したんだね。」

「会いたくなったんだね。」

その一言だけで十分です。

悲しみは、励ましやアドバイスで消えるものではありません。

誰かに受け止めてもらうことで、「悲しんでもいいんだ」と安心できるものです。

子どもが求めているのは、答えではなく、気持ちを受け止めてもらえる安心感なのです。

大人も「急がせない勇気」を持つ

私たちは、「元気になること」をゴールだと考えがちです。

でも、死別の悲しみにはゴールはありません。

亡くなった人を忘れることが回復ではないからです。

悲しみを抱えながらも、笑える日が増えていく。

思い出を話しながら、新しい思い出も作っていく。

それが、グリーフとともに生きるということではないでしょうか。

だから、大人は子どもを急がせなくていいのです。

悲しい日は悲しんでいい。

笑える日は笑っていい。

その両方を認められる家庭は、子どもにとって安心できる居場所になります。

おわりに

子どもは、亡くなった親を忘れたいわけではありません。

忘れられないから苦しいのでもありません。

大切な人を大切な人として心に抱きながら、新しい毎日を生きようとしているのです。

その歩みは、ときに立ち止まり、ときに涙を流し、ときに笑顔を見せながら続いていきます。

そのたびに大人ができることは、「早く元気になって」と励ますことではなく、「その気持ちは大切なんだね」と寄り添うことです。

子どもの悲しみを急いで終わらせようとしなくても大丈夫。

安心して悲しめる場所があるからこそ、子どもは少しずつ未来へ歩き出す力を育んでいきます。

私は、子どもが亡くなった親への思いを大切にしながら、新しい家族とのつながりも安心して育めるような家族づくりを応援しています。

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平田えり
専門家

平田えり(カウンセラー)

NPO法人M-STEP

自身もステップファミリーやシングルマザー当事者であるカウンセラーが、「100日間カウンセリング」を実施。自信を持って自分の行動を選べる人になれるようサポートをします。不登校の悩みにも対応しています。

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