死別ステップファミリーだからこそ大切にしたいこと⑦

平田えり

平田えり

テーマ:ステップファミリー

継親は「代わり」ではなく、「新しい存在」

子どもが求めているのは「本当の親」ではなく「安心できる大人」

「私は本当のお母さんじゃないから……。」

「亡くなったお父さんには、どう頑張っても勝てません。」

「私がいることで、子どもは複雑な気持ちになっているのではないでしょうか。」

私のところには、このような悩みを抱えた継親からの相談が数多く寄せられます。

子どもを大切に思うからこそ、「本当の親になれない自分」に苦しんでしまうのです。

けれど、私はいつもお伝えしています。

継親は、「代わり」にならなくていいのです。

なぜなら、子どもが本当に必要としているのは、「亡くなった親の代わり」ではなく、今ここにいて、自分を安心させてくれる大人だからです。

「代わりにならなければ」が継親を苦しめる

死別後に再婚すると、継親は無意識のうちに「親として認めてもらわなければ」と頑張り始めます。

お弁当を作る。

学校行事に参加する。

病院へ連れて行く。

誕生日をお祝いする。

子どもが困らないように、一生懸命毎日を支えます。

それでも子どもが亡くなった親の話をしたり、「お母さんだったら」「お父さんだったら」と口にしたりすると、

「やっぱり私は本当の親にはなれない。」

「何をしても足りない。」

そんな気持ちになってしまいます。

でも、それは継親として失敗しているからではありません。

「代わりにならなければ」という大きすぎる目標を、自分に課してしまっているからなのです。

子どもには「親を入れ替える」という発想はない

大人は、「新しい親」という言葉を使うことがあります。

でも、子どもの心はそんなふうには動いていません。

子どもにとって、亡くなった親は、これからもずっと親です。

その存在が消えることはありません。

だからといって、継親を受け入れられないわけでもありません。

子どもの心には、「亡くなった親」と「継親」の両方が存在できます。

それぞれ役割が違うからです。

亡くなった親を忘れないことと、継親を信頼することは、矛盾しません。

大人が思うほど、子どもの心は「どちらか一人しか大切にできない」ものではないのです。

継親だからできることがある

亡くなった親にはできなかったことがあります。

それは、「これから先の人生を一緒に歩むこと」です。

学校での出来事を聞く。

進路について話し合う。

失恋したときに寄り添う。

就職を応援する。

結婚式で笑顔を見守る。

孫の誕生を一緒に喜ぶ。

これから積み重ねていく時間は、継親だからこそ一緒に歩める人生です。

亡くなった親と競う必要はありません。

役割が違うのです。

だからこそ、継親には継親だけのかけがえのない存在価値があります。

「安心できる大人」は子どもの人生を支える

心理学では、子どもの成長に必要なのは、「安心できる愛着対象」がいることだと考えられています。

それは必ずしも実親だけではありません。

祖父母でも、親戚でも、先生でも、地域の大人でも構いません。

「この人なら話を聞いてくれる。」

「困ったら頼っていい。」

そんな存在がいることが、子どもの心の土台になります。

継親も、その一人になれるのです。

親と同じ役割を目指す必要はありません。

安心して帰ってこられる場所をつくる。

失敗しても受け止める。

困ったときに味方になる。

それだけで、子どもにとっては大きな安心になります。

「お母さん」「お父さん」と呼ばれなくてもいい

継親の中には、「名前で呼ばれると距離を感じる」という方もいます。

一方で、子どもも「お母さん」「お父さん」と呼ぶことに抵抗を感じることがあります。

それは亡くなった親への思いがあるからです。

呼び方は、家族の関係性を決めるものではありません。

名前でも、「〇〇さん」でも、「ママ」でも「パパ」でも、その家庭に合った形で構いません。

大切なのは、「何と呼ぶか」ではなく、「どんな関係を築いているか」です。

呼び方は、信頼関係が育つ中で自然と変わることもあります。

焦って答えを出す必要はありません。

「今ここにいる」が、何よりの愛情

子どもは、何年後かに振り返ったとき、意外なことを覚えています。

「毎朝、お弁当を作ってくれた。」

「風邪をひいたとき、一晩中そばにいてくれた。」

「受験の日、一緒に緊張してくれた。」

特別な出来事ではありません。

日々の暮らしの中で、「いつもそこにいてくれた」という安心感です。

その積み重ねが、やがて「家族だった」という実感につながります。

継親自身も、自分を認めてあげてほしい

継親は、自分に厳しい人が少なくありません。

「もっと頑張らないと。」

「もっと愛されないと。」

「もっと親らしくしないと。」

そう思えば思うほど、自分を追い込んでしまいます。

でも、継親という立場は、それだけでも十分に勇気のいる役割です。

誰かが築いてきた家族の中に入り、新しい関係を一つひとつ育てていく。

それは簡単なことではありません。

だからこそ、自分にもこんな言葉をかけてあげてください。

「私は私のままで、この子の力になれる。」

その気持ちが、継親自身を支えてくれます。

おわりに

継親は、「代わりの親」になるために家族になったのではありません。

新しい家族として、新しい関係を育てるために、その家に来たのです。

亡くなった親には、その人だけの大切な存在があります。

そして、継親にも、その人だからこそ築ける信頼があります。

比べる必要はありません。

競う必要もありません。

子どもが本当に必要としているのは、「本当の親」ではなく、今ここにいて、自分を大切に思い、安心させてくれる大人です。

その存在は、子どもの人生を支える大きな力になります。

継親が「代わりになれない自分」を責めるのではなく、「新しい存在として、この家族にいていい」と思える社会を目指しています。

家族は、誰かを置き換えてつくるものではありません。

それぞれが、それぞれの役割を大切にしながら、新しい絆を育んでいくものなのです。

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平田えり
専門家

平田えり(カウンセラー)

NPO法人M-STEP

自身もステップファミリーやシングルマザー当事者であるカウンセラーが、「100日間カウンセリング」を実施。自信を持って自分の行動を選べる人になれるようサポートをします。不登校の悩みにも対応しています。

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