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人の死の告知に関するガイドライン

2021年12月18日

テーマ:不動産コラム

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 不動産相続 手続き相続問題不動産管理

2021年5月に書いたコラム「事故物件」に関する指針案の後、2021年10月に新しいガイドラインが国土交通省よりでました。

「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」というものです。これは人の死が発生して「心理的瑕疵あり」とされた不動産(事故物件)取引に対し、国土交通省が示した判断基準となります。


「心理的瑕疵(かし)」とは

そのそも不動産取引の心理的瑕疵とは、対象物件で自殺や殺人事件などがあった場合などで住み心地を欠く状態をいいます。
(民法の改正で「瑕疵)という言葉はなくなって「契約不適合責任」となりましたが、このコラムでは「瑕疵」と記述します)
人によって事件・事故による感じ方は違うと思います。
また、自殺と殺人事件(他殺)とでは感じ方も大きく異なるという方も多いと思います。
裁判では時間の経過と共に心理的瑕疵は希釈され、やがて消滅するとの判例もあります。

賃貸物件の場合

賃貸物件でのこのガイドラインの運用では、上記のような人の死が発覚してから概ね3年間経過した後は、原則としてこれを告げなくてよいとの事です。
また、自然死(老衰や病死等)や自宅の階段からの転落、入浴中の溺死、転倒事故、食事中の誤嚥など日常生活での不慮の事故は基本的に告げなくて良いとなってます。


売買物件の場合

自然死や不慮の事故など以外については売買物件の場合、告知義務があります。
買主へ売主が書面で発行する「物件状況報告書(告知書)」に事件事故等の有無に記載します。
その際、故意に記載しなかった場合は民事上の責任を問われる場合があることも宅建業者が説明して書類を作成します。
告知内容は、事故の発生時期、場所、死因、特殊清掃の有無などとなります。
亡くなった方や遺族への配慮の為プライバシーを侵害する内容については告げる必要はありません。
(具体的には亡くなった方の氏名、年齢、家族構成、発見状況、死の態様などは必要ありません。)

実際の運用は

告げなくて良いとしたものの中でも、事件性、周知性、社会に与えた影響が特に高いものは告知の必要がある。ガイドラインは新たな裁判例、社会情勢、人々の意識の変化に応じて適時見直しを行う、となっています。

私自身も色んな物件を取り扱ったことがあります。。
・老衰で何日も発見されず畳に亡くなった方の形跡が残ったマンション。
・土地のみの売買で敷地中で焼身自殺のあった物件。
・自殺があった中古住宅。 などなど。

もちろん全て告知して売買しましたが、購入した方はみなさん「生きてる人間の方がよほど怖い」と言ってました。
(購入されたお客様はお医者さん、看護婦さんなどが多かったです。)
そもそも地球上で昔から人が住んでる地域などいくらでもあちこちで人が亡くなってますしね。

これからますます高齢化社会になりますしガイドラインが更に明確になると良いと思います。

この記事を書いたプロ

藤本忠昭

物件の価値を高める不動産のプロ

藤本忠昭(エフステージ株式会社)

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