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経営者の言葉が「空文化」するメカニズム【コンサルの視点13】

橋本貢

橋本貢

テーマ:コンサルの視点


経営者は、会社の未来について語ります。

目指す方向。
大切にしたい価値観。
社員への期待。

その言葉は、最初は新鮮に受け取られます。

ところが、時間が経つにつれて、だんだんと反応が薄くなっていくことがあります。

聞いてはいる。
理解もしている。

けれど、心は動いていない。

そんな状態です。

私はこれを、「空文化」と呼んでいます。

言葉がなくなるのではなく、
言葉の中身が空になってしまう状態です。

では、なぜそうなるのでしょうか。

最も多いのは、「繰り返されるだけ」になっているケースです。

どれだけ良い言葉でも、
同じ形で何度も聞かされると、人は慣れてしまいます。

そして慣れは、関心を薄めます。

言葉そのものが悪いのではなく、
新しい意味が加わらなくなることが問題なのです。

また、言葉と現実が結びついていない場合もあります。

例えば、

「挑戦しよう」と言っているのに失敗が許されない。
「お客様第一」と言っているのに数字ばかりが評価される。

こうした状態が続くと、人は言葉よりも行動を見るようになります。

そして次第に、

「あれは建前だ」

という受け取り方に変わっていきます。

さらに、経営者自身が言葉を使わなくなることもあります。

理念発表のときだけ話題になる。
年度方針のときだけ登場する。

それでは、組織の中で生きた言葉にはなりません。

本来、経営者の言葉は、

会議の中で。
判断の場面で。
日々の対話の中で。

何度も使われることで意味を持ちます。

では、どうすれば空文化を防げるのでしょうか。

答えは意外とシンプルです。

「言葉を使うこと」です。

新しいスローガンを作ることではありません。

既にある言葉を、実際の判断や行動に結びつけて使う。

「あの理念なら、今回はどう考えるか」

「この方針に照らすと、どちらを選ぶか」

そうした会話が増えるほど、言葉は生き返ります。

言葉は、掲げられているだけでは力を持ちません。

使われて初めて意味を持ちます。

そして、その意味が共有されていくことで、
やがて組織の文化になっていきます。

もし最近、理念や方針があまり話題に上らなくなっていると感じるなら、
それは言葉が空文化し始めているサインかもしれません。

新しい言葉を探す前に、
今ある言葉を、もう一度使ってみる。

そこから組織は、少しずつ変わり始めるのです。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

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