アゲハ幼虫・サンショウを食す〜生薬のお話「山椒」
今回紹介する生薬は、『麻黄(まおう)』です。今日は11月11日ですが、1がたくさんあるように見えてきませんか?万が一、風邪をひいてしまった場合に漢方薬でよくお世話になる生薬が麻黄です。
麻黄は、マオウ科の草本状の小低木の地上茎を用います。細い円柱状の茎で節があり、色は淡緑色~黄緑色です。味は、初め渋く後にわずかに苦く、口に麻痺感が残ります。麻黄という名前は、この植物の味が麻のようで、舌を麻痺させ、色が黄色であるため麻黄と呼びます。節を去るには、切符を切る道具を使うといいと聞いた事があります。
薬効は、発汗、解熱、鎮痛、去痰、利尿作用などです。主成分はエフェドリンで、鎮咳、喘息治療薬として用いる医薬品エフェドリンの原料でもあります。主成分のエフェドリン類には、交感神経興奮作用、気管支拡張作用、末梢の毛細血管拡張作用などがありますが、それ以外に麻黄には他のアルカロイドやタンニン質が含まれ、駆水作用や表位上部の水を和する働き、発汗、利尿などの働きがあります。麻黄を用いる漢方薬には、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯などがあります。
葛根湯は風邪薬として有名ですね。風邪のひき初め、寒気があるとともに首筋から肩、背中が強ばり凝る場合が多いです。汗が無く、このような症状があれば葛根湯の証です。葛根湯は、桂枝湯(桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草)に葛根と麻黄が加わった漢方薬です。麻黄は桂枝と組んで皮膚筋肉の緊張を緩和し、毛孔を開いて発汗放熱します。また、麻黄は葛根と組んで、首肩背中の血液が水分を失ってねばって凝ったものを緩め水気を散じる発表作用に働き、麻黄は甘草と組んで表位、上部の水邪を除き、急迫症状を緩めます。
葛根湯は急性の風邪薬として有名ですが、それ以外にも慢性の肩こり、筋肉痛、五十肩、鼻炎、結膜炎に用いる場合もあります。
もともと漢方薬の聖典と呼ばれる「傷寒論」は、コロナのようなインフルエンザ対応としてつくられました。証が合えばよい方向に向かうことができます。