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自律神経の乱れで体温調節がうまくできない(不妊症の現場から)

谷津吉美

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テーマ:漢方薬で赤ちゃんを考える




自律神経の乱れで体温調節がうまくできない

不妊で相談にいらっしゃるかたの基礎体温表を見せていただいていると、高温期にしっかりと体温が上がっていない方がとても目立ちます。もちろん、妊娠するしないは基礎体温表だけ
ではわかりませんが、あまりに高温期が低いと心配になります。基礎体温は自律神経のバランスと深く関係しています。なぜ自律神経のバランスがうまくいかないのでしょう。現代の生活で、自律神経のバランスを乱すいちばんの要因はエアコンです。日本には四季があり、暑い夏は毛穴を開いてしっかり汗をかき、寒い冬は毛穴をキュッと締めて体温が奪われるのを防ぐということを、体は自然に行ってきました。しかし、汗をかくべき夏にガンガン冷房を使い、寒い冬に半そ
ででも過ごせるぐらい暖房を使っているのでは、もともと持っている体温調節機能がうまく働きません。冷暖房の効いた室内で長時間過ごすと、なんとなく体がだるく感じることはありませんか? それは自律神経が乱れている証拠。自律神経は体温調節だけでなく、血液の流れ、心臓の動き、免疫機能にまで影響するので、自律神経のバランスが乱れるとさまざまな体の不調を実感するのです。

毎日30分のなわ跳びとタンパク質摂取で体温アップ

しかし唯一、運動だけは短時間で自律神経をととのえる効果があります。基礎体温が低いかたは、ぜひ毎日30分程度のジョギングやなわ跳びをしてみてください。また、魚や大豆などの良質なタンパク質をたっぷりとるのもよいでしょう(きちんと育てられたものならよいのですが、抗生物質などを使って育てられた動物の肉はおすすめできません)。
タンパク質は、消化されるときに自然に熱をつくります。そして基礎体温を上げるためには、
冷えを解消することも大事です。体を冷やす食べ物は避ける、薄着をしない、腹巻をするなどして体を冷やさないよう気をつけてください。ダイエットでも「○○だけをすればやせる」ということはないように、基礎体温を上げるのも「○○だけをすればだいじょうぶ」というわけにはいきません。体に合った漢方薬を飲むだけではなく、できることはなんでもあれこれ試すとよいでしょう。では、乱れた自律神経のバランスをととのえ、基礎体温を上げるには、どうしたらいいのでしょうか。まずいちばんにおすすめしたいのが、運動です。いったん自律神経が乱れ、基礎体温が上がらなくなってしまったかたに、そのかたの症状に合った漢方薬を処方しても、体温の上がりにくいときがあります。自律神経が乱れるのはあっという間なのですが、乱れたものをもとに戻すのには時間がかかるのです。

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谷津吉美
専門家

谷津吉美(薬剤師)

有限会社むつごろう薬局

漢方医学を専門に23年。不妊症をはじめ各種女性の悩み・アレルギー・皮膚病・自律神経失調症などの症状に、深い知識で丁寧に対応。また静岡県立高校の進路指導講演会や不妊専門雑誌などで漢方薬を広めています。

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