病期による分類
認知症の種類は主に4つあります。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性型認知症、前頭側頭葉変性症です。その中でもっとも多いのが、アルツハイマー型認知症です。脳内に老人斑が見られ、老人斑の主成分のアミロイドβなど「脳のゴミ」と言われるたんぱく質が蓄積してしまうことが原因です。歯周病だと認知機能が低下しやすいのですが、うまく咀嚼できなくなることで刺激が少なくなり脳の血流量があまり増えなくなってしまうこと以外に、歯周病菌自体がアルツハイマー型認知症を引き起こすという研究があるので紹介します。
九州大学や北京理工大学(中国)の研究グループが、歯周病菌がアルツハイマー型認知症を引き起こす仕組みを解明しました。研究グループはこれまでに、歯周病患者の歯茎で、アミロイドβ(Aβ)が歯茎で産生されていることを発見しました。ヒトの歯周病の歯周組織を解析し、炎症・免疫機能を担う細胞の一種であるマクロファージからAβが産生されていることを発見したのです。歯周病の原因細菌であるジンジバリス菌を全身投与したマウスの肝臓でも、炎症を起こしたマクロファージにAβの誘発を認めました。Aβが体内で産生され、脳に蓄積することを解明していたのですが、蓄積する仕組みはまだ分かっていなかったのです。
2020年10月の朝日新聞デジタルによると…研究グループは、マウスの腹の内部に3週間、歯周病菌を直接投与して感染させ、正常なマウスと比較したところ、歯周病菌に感染したマウスの脳血管の表面では、Aβを脳内に運ぶ「受容体」と呼ばれるたんぱく質の数が約2倍に増えていた。脳細胞へのAβの蓄積量も10倍に増えた。さらに、記憶実験(暗い部屋に入ると電気ショックを受ける)では、正常なマウスは5分間明るい部屋にとどまり続けたが、感染マウスは約3分で暗い部屋に入ってしまい、記憶力低下が裏付けられた。Aβを運ぶ受容体の働きを阻害する薬剤を使えば、感染した細胞内を通るAβの量を4割減らせることも確認できたという。
かなり難しい話でしたね。最近、テレビで「歯周病菌がハグキ細胞にも侵入する」というのコマーシャルを見かけるようになりましたが、歯周病菌が歯茎に侵入すると炎症が起こり、マクロファージからアミロイドβが作られ、脳に運ばれ蓄積してしまうが、それにはアミロイドβを運ぶ受容体が増えることが関与し、認知症になりやすくなるということのようです。アルツハイマー型の認知症にならないためには歯周病にならないようにすることが大切です。サンゴくん歯磨きで歯周病菌を吸着させて外に出し、昔から歯槽膿漏(症状の重い歯周病)に使われているなすの黒焼きの歯磨きで歯茎をひきしめましょう。漢方では、枳実と芍薬が入った粉薬がよく使われます。気になった方は是非ご相談ください。