影の立役者 (芍薬の役割)
(写真は、薬草当帰の日干しの作業)
皆さん今日は。今回は最近増えている、‘めまい‘についてお話をいたします。
私事ですが、数年前、回転性のアトラクションに乗っているときに激しいめまいに襲われました。生れて初めてのことで、一日中雲の上を歩いているようなフワフワした状態でした。原因は、当時40歳を越えての激しい習い事に無理があったのかも知れません。
耳の奥には、蝸牛(かぎゅう)といって、カタツムリの様な形をした器官があります。ご存知の方も多いと思いますが、ここが悪くなるとめまいや耳鳴りが始まります。「メニエール氏病」という病気は聞いたことがありますか。めまいや、難聴や、耳のつまりが現れる病気です。命に別状はないのですが、経験されるとめまいの恐怖に直後は、外出が難しくなる方もいます。これは、カタツムリの中にあるリンパ液という水が増えすぎておこります。(内リンパ水腫)
また、最近増えているのが、耳石(じせき)が動いてしまう原因でおこる‘めまい‘です。難しい言葉で、「良性発作性頭位めまい症」といいます。この石はカタツムリの中に無数にあり、炭酸カルシウムという物質で出来ています。重力のセンサーの働きがあり体に上下の位置を知らせます。お肌のように、古くなれば垢の様にはがれ、新しい物が作られていくのですが、はがれた物(耳石)がカタツムリの角の部分(三半規管)の中に入ってしまいその中で動くと‘めまい‘になります。三半規管は回転移動のセンサーになっているからです。
原因は、私のような激しい習い事もあるかもしれませんが、逆にその多くは、運動不足にあるようです。また、デスクワークの作業姿勢、生活中での画面を見すぎる環境も指摘されています。
それでは、何故、カタツムリの中の水(リンパ液)が増えたり、耳石がカタツムリの角の部分(三半規管)の中に入ってしまうのでしょうか。これは私の持論ですが体内全体に水が増えすぎているからだと考えます。漢方医学で言う「水毒(すいどく)」です。先ほどの運動不足をはじめエアコン中の生活は、肺を弱らせ皮膚から発散する水分が少なくなります。また、甘いものは体内に余分な水を増やし、ストレスは新陳代謝を低下させます。水が多いと体は冷えてきますから悪循環が続くようになります。
小児のめまい(乗り物酔い)
小児のめまいは少ないのですが、耳の奥にある平衡感覚をとる臓器の働きが弱いため乗り物酔いが多くなります。これは、病気ではありませんが、なるべくなら薬を飲みたくない方は、漢方薬の乾姜人参半夏丸を飲ませてあげるとよいです。つわりの特効薬で、ひどい吐き気には功を奏します。
メニエル氏病のめまい
耳の奥のカタツムリの中の余分な水を除く目的で茯苓(ぶくりょう)や朮(じゅつ)と言った生薬が入った漢方薬を使います。茯苓桂枝白朮甘草湯、真武湯、沢瀉湯などがそれです。
良性発作性頭位めまい症
長期戦になる場合が多いのですが、耳石を排出させやすくし、リンパ液の流れをよくする目的で、柴胡剤、駆お血剤、腎気丸類をうまく組み合わせて改善をはかります。
女性のめまい
女性は、生理にまつわる状態の変化が多いため、血流を良くしホルモンバランスを整える漢方薬や、ストレスを緩和する薬草を中心に考えて生きます。当帰芍薬散、抑肝散、茯苓飲などがそれです。
めまいを改善するには、養生が大切です。先ずは甘いものをなるべく少なくして、汗をかくようにすることが大切です。先を考えすぎず一日一日を無理なく無駄なく生活していきましょう。