ワード・エクセルが消えた!Officeのライセンス認証が外れた!事例と対処法

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:ITで今起きている問題と課題


ワードもエクセルもなくなっている

連休明けにパソコンを立ち上げたら、ワードもエクセルもなくなっている。そんな問い合わせが私のもとに入りました。対処に向かおうとしたところ、今度は別のユーザーから「Officeがライセンス認証を求めてくる」との連絡です。

ネットで調べると、全国から同様の報告が相次いでいるようです。主にOffice 2019・2016・2013で、認証が外れたりアプリ自体が消えたりする事例が出ています。再インストールとプロダクトキーの再入力で復旧したという報告も多く見られます。

ただし、私が現場で見た2件は、それだけでは直らないケースでした。今回は、その現場での事例とわかっている情報について整理します。

※本記事は2026年9月24日時点の情報です。今後状況が変わる可能性があります。

事例1:Officeが完全に消えていた

PC付属の永続版Office 2019が、プログラムの一覧から完全に消えていました。起動しないのではなく、そもそも存在しません。

そこでMicrosoftアカウントにログインしてライセンス情報を確認しようとしましたが、アカウントの入力時点で「該当するアカウントがない」と表示されます。

Microsoftは、2年以上サインインしていないアカウントは自動削除され、再開できないと案内しています。普段はローカルユーザーでの使用で長期間サインインしていませんでした。

ならば新規に作り直せば上書きできないかと、同じアカウント名で登録を試すと、今度は「既にアカウントが存在する」と表示されます。アカウントは削除されているといっているのに、登録もできない宙に浮いた状態です。

このアカウントはOfficeの導入時に使ったプロダクトキーと紐づいていることは間違いないものです。アカウントに入れない以上、少なくとも現時点では、私の手元の手段でOfficeを復旧する方法は見つかっていません。

事例2:ライセンス認証を求められた

別のユーザーのOfficeは、「ライセンスのない製品」と表示されライセンス認証を求める画面が出ていました。「数日以内にすべての機能が無効になる」という趣旨の表示もあります。

Microsoftアカウントで認証しようとしましたが、こちらも古いアカウントで、登録以来サインインしておらず、ロックされた状態でした。

2つの問題が重なっている

今回の件は、性質の違う2つの問題が重なっていると私は見ています。

問題①:全国で同じ日に一斉に起きている

アカウントの長期放置による失効は、本来ユーザーごとにバラバラの時期に起きるものです。全国で同じ日に起きるということは、Windowsアップデートなどの影響でMicrosoft側で何かが変わった可能性が高いと考えます。

問題②:古いアカウントが失効していて、復旧の入口がない

こちらはMicrosoftの以前からのルールによるものです。問題①をきっかけに、長年放置していたアカウントの問題が表面化したと考えると、辻褄が合います。

原因について、確かなことと推測

確かなこと

● 影響が報告されているのは、Office 2013~2019です。

●私の知る限り、Office 2016と2019は2025年10月14日に、2013は2023年4月にサポートが終了しています。つまり、対象はサポート切れのバージョンに集中しています。

有力な推測

● Windowsアップデートに伴う不具合、あるいはサポート終了版のライセンス検証まわりの変更が引き金になった可能性があります。

●前例として、Mac版Office 2019では、ライセンス検証用のデジタル証明書が期限切れになり、サポート終了のため更新できず、2026年7月13日以降は閲覧専用になると発表されています。Windows版が同じ原因だとは言えませんが、サポート切れ製品のライセンス検証に問題が起きうる、という点では似ています。

わからないこと

●真の原因はMicrosoftの発表待ちです。新規アカウント作成でエラーが出る点も、混雑なのか不正登録対策の判定なのか、外からは判断できません。

個人的な憶測

●再インストールとやプロダクトキーの再入力で復旧できたという報告もあります。Officeの設定時に使ったMicrosoftアカウントに、日ごろからサインインしていた、または最近サインインしたことがある場合は問題なく復旧できているようです。

●Office2024などは、サポート期間が2029年までとあと3年ほどしかなく短い上に、高額でライセンスの利用方法が複雑化するなどしています。サポート切れOfficeへのこれらの対応を見るとおそらく、サブスクへの移行を促すための下地作りとも考えられます。

●近年のAIによる脆弱性の発見・攻撃の激化が、サポート切れOfficeの扱いに影響している可能性もゼロではないと考えています。サポート期限切れのOfficeへの影響が顕著なことから、何らかの壊滅的欠陥が見つかり強制的な手段に打って出た可能性も考えられます。ただし、これは現時点で何の根拠もない憶測です。

何が起きたか、公式からの情報

※9月27日追記
原因は、Microsoftが配信したオプションの更新プログラム「KB5002907」(「古い Microsoft 365 Apps インストールに対するオプションの更新プログラム」/クイック実行更新サポート)です。 9月23〜24日頃から配信が始まり、主にOffice 2016・2019(買い切り版/永久ライセンス)の環境で問題が発生しました。(Support microsoft)

対象:主にWindows版のOffice 2019・2016(Home & Businessなど)、一部でOffice 2013も報告あり。Microsoft 365のサブスクリプション版ではなく、買い切り版に影響が出やすいです。

症状:
1.Word/Excelなどを起動すると「ライセンス認証を求められる」「ライセンスのない製品」と表示される、またはMicrosoft 365購入画面が出る。

2.アプリ自体が消える(スタートメニューから消えたり、完全にアンインストールされたように見える)。

Microsoftは9月26日にこの問題を認め、KB5002907の配信を一時停止しました。公式サポートページにも「Office 2016またはOffice 2019を実行している一部のデバイスで予期しない結果が出ている報告を調査中」「修復アクションにより一部のデバイスが機能しない状態になったため、ロールアウトを一時停止」と記載されています。(Support microsoft)

Officeライセンスへの影響

2016/2019以降の家庭向け買い切り版Officeは、プロダクトキーを一度引き換え(登録)するとMicrosoftアカウントに永久的に紐付きます。

以降はキーを再入力する必要はなく、そのアカウントでサインインしてインストール・認証する仕組みです。

アカウントが永久削除されると、紐付いたライセンス情報も一緒に失われるケースがほとんどです。サポートに連絡しても「アカウントが存在しないため、キーを別アカウントに移行できない」と断られる事例が報告されています。

結果として、再インストールしようとすると「該当する製品が見つからない」「この製品はすでに使用済み」などのエラーになり、正規の方法では認証できなくなる可能性が高いです。

要するに「詰んだ」可能性が高くなります。

対処法

1. まず慌てない

Windowsの初期化などは絶対にしないでください。Word・Excelで作成したファイル自体はPC内に残っているのが通常ですが、念のためバックアップを取っておきましょう。

また、古いプロダクトキーを新しく作ったMicrosoftアカウントに登録するのは避けてください。Officeのライセンスは、いったんアカウントに登録すると、別のアカウントへ移せないとされています。

それからパスワードを何度も変更したりすることは錯誤のもとになります。
アカウントを変にいじるのはお勧めではありません。

2. プロダクトキーを探す

PC付属Officeの場合は、同梱のカードや購入時の書類に記載されていることがあります。

3. 再インストールとキーの再入力

アカウントにサインインできる場合は、そのままライセンス認証に移って認証させます。プロダクトキーを求められたら入力します。
Office自体が消えている場合、Microsoftアカウントのページから再インストールし、プロダクトキーを入力して認証します。他の地域の報告では、これで復旧した例が多く出ています。

Microsoftアカウントにサインインできない場合は、最終アクセスからの期間が長期になったことでアカウント自体が無効化されている可能性があります。その場合は認証やインストールにたどり着けない、要するに「詰んだ」状態です。

4. 解決しない・急ぎ使いたい場合

新しいOfficeを購入する方法があります。複数人、複数台で使用する場合は「Microsoft 365 Personal」(1人5台まで利用可能) や「Microsoft 365 Family」(6人でそれぞれ5台、計30台利用可能)などのサブスクがコスパ的にお勧めです。

一人で1台しか使用していない場合は、代替ソフトで凌ぐのが現実的です。オープンソースソフトウェアの無料互換ソフト「LibreOffice」で十分というユーザーも多いので、以下のコラムを参考にしてください。

買ったパソコンにワード、エクセルがない!安全無料の互換ソフト「LibreOffice」で代替しよう!
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4007150/


なお、Officeのインストール条件については、以前のコラムに詳しくまとめています。

Microsoft Officeの再インストールができない、失敗する原因と対応策
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5056788/

まとめ:

●今回の不具合は、Office 2013~2019で全国的に発生しています。
●キーの再入力で直るケースが多い一方、古いMicrosoftアカウントが失効していると、復旧が難しい場合があります。
●原因は現時点ではMicrosoftが配信したオプションの更新プログラム「KB5002907」と公式からアナウンスが出ているようです。今後の推移についてはMicrosoftの発表を待ちつつ、まずはバックアップを取り、慌てずに対処しましょう。
●Officeの設定時のMicrosoftアカウントにまだサインインできる方は、この機会にサインインしておきましょう。2年以上サインインしないとアカウントが削除される可能性があります。
●以下のコラム記事を参考に今後、同様の問題に巻き込まれない対策を行ってください。

問題が続くWindows11アップデート、適用延期でトラブルを回避
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5201381/

私の周りでもまだ動きが続いています。新しい情報が入り次第、この記事を更新します。

筆者の実績 :https://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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