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海外で大きな話題となったハードウェアBAN
自作PCのコストを抑えるには、「中古パーツ」という選択肢が最も効果的です。フリマアプリやネットオークションで人気のハイエンドCPUをお手頃価格で手に入れることができれば、その分を高価になったメモリやSSD、グラボへ資金を回すことが可能になります。
そこで、早速落札して中古構成で組み込みが完了。ベンチマークテストも無事に完走し、「いい買い物をした!」と満足していた矢先--特定のオンラインゲームだけが起動直後に強制終了(キック)されてしまう。
一見すると初期不良や設定の不備に思えるこのトラブル。検証の結果、特定のゲームだけで症状が出ることで「ハードウェアBAN」の疑いが浮上します。
実は物理的な故障ではなく、「前の持ち主がやらかしたチート行為の巻き添え」という、極めて特殊な原因である可能性が実際に存在します。
今回は、海外で大きな話題となった事例をもとに、中古CPU購入時に知っておくべき「ハードウェアBAN(HWID BAN)の引き継ぎリスク」について解説します。
異常なし・ベンチOKなのにゲームから即キックされる謎
事の発端は、X(旧Twitter)や海外掲示板(Reddit)に投稿されたあるゲーマーの報告でした。
フリマサイトで中古の「Ryzen 7 5800X3D」を購入したユーザー。PCに組み込んで起動してみると、CPU自体は正常に動作し、各種ベンチマークソフトも完走。ほとんどのゲームが何の問題もなくプレイできたそうです。
しかし、人気オンラインFPS『VALORANT』を起動した瞬間、即座にエラーメッセージ(VAN 152)が表示されてゲームから追い出されてしまいました。
以前使用していたCPUでは問題なく遊べていたため、ゲームの運営元(Riot Games)にサポートを依頼。そこで返ってきたのは驚くべき回答でした。
「そのCPUの識別番号(シリアル)は、前の所有者がチート行為を行ったため、すでにハードウェアBAN(HWID BAN)リストに登録されています」
パーツ固有の識別番号をブラックリスト化する「HWID BAN」とは?
オンラインゲームのチート対策といえば「アカウントBAN」が一般的でした。しかし、基本プレイ無料のゲームでは、アカウントをBANされても新しく作成すればいくらでも復帰できてしまいます。
そこで採用されているのが「ハードウェアBAN(HWID BAN)」です。
アンチチート領域(Vanguardなど)は、OSの深部(カーネルレベル)で稼働しており、PCを構成する各パーツのシリアル番号や基板情報を組み合わせて「そのPC固有の指紋」を作成しています。
| BANのタイプ | 制限対象 | チーター側の回避策 |
|---|---|---|
| アカウントBAN | ユーザーID | 新規アカウントを作成する |
| IP BAN | ネットワーク環境 | VPNやルーター再起動で回避する |
| ハードウェアBAN | パーツの物理シリアル番号 | 該当パーツを交換する以外に回避不可 |
チートを行った前の持ち主は、BANされたパーツ(今回の場合はCPU)だけを市場に売り抜け、自分は新しいパーツに買い替えて制限を回避したと考えられます。その結果、何も知らない新しい購入者が「チートの前科が付いたパーツ」を掴まされてしまったのです。
最悪のケース:自前のマザーボードやストレージにも「感染」するリスク
この問題の最も恐ろしい点は、「BANされたCPUを取り付けただけで、自分のPC全体に汚染が広がる可能性がある」という点です。
アンチチートシステムは、ブラックリストに登録されたパーツが組み込まれた状態でゲームを起動すると、回避行為とみなして接続されているマザーボードやSSD/HDD、ネットワーク機器などの情報も新たにブラックリストへ追記登録することがあります。
実際、今回の事例でもユーザーは「問題のCPUを載せてゲームを起動したことで、自分のマザーボード等までブラックリスト入りした」と主張しており、運営側も個別での手厚いBAN解除を拒否したと伝えられています。
つまり、試しに中古CPUを取り付けただけで、手持ちの正常なパーツまでゲームが遊べなくなるという「二重の被害」に遭うリスクがあるのです。
トラブルを防ぐための中古パーツ購入術

こうしたHWID BANの引き継ぎ事例は非常に稀であり、発生確率自体は決して高くありません。しかし、一度ハマると被害が大きく、自力での解決(BAN解除請求)は絶望的です。
特に人気オンラインタイトル(VALORANT、Apex Legends、Call of Duty、Fortniteなど)をメインで遊ぶユーザーは、以下の対策を意識しておくと安心です。
1. 対戦型ゲームメインのPCなら「重要パーツは新品」が無難

ゲーマーに人気の型式の中古CPUでは、確率的にリスクに遭遇する可能性が高くなります。CPUやマザーボードなど、HWIDの主軸となりやすいパーツは新品で購入するのが最も確実な防衛策です。
2. フリマ・オークションでの個人売買を避ける

出品者がどのような用途でパーツを使っていたかを確かめる術はありません。「動作確認済み」と書かれていても、HWID BANの有無まで確認・保証されているケースは皆無です。
3. 保証・返品制度のある大型中古ショップを利用する

PCパーツ専門の大型リユースショップであれば、万が一の初期不具合やゲームの起動不能リスクに対して、一定の返品・返金保証が受けられる可能性が高くなります。
一見すると「動作確認済み・状態良好」と表記された格安の中古パーツ。しかし、目に見えない罠が潜んでいる時代になりました。自作PCのパーツ選びでは、物理的な動作状態だけでなく「前所有者の利用環境リスク」も頭の片隅に置いておく必要がありそうです。
筆者の実績 :http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss


