SSD・NVMeのクローンに失敗する原因とは?起動しない・エラーの対処法

古賀竜一

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テーマ:機器と端末の管理と保守

SSD換装で問題発生!実は難しいクローン作業

Windows10のサポート終了問題の影響もあり、「HDDをSSDに換装すればまだまだ現役で使える」という理由で延命する需要はいまも根強くあります。

実際、HDDをSSDへ換装すると動作速度は大幅に向上します。以前はパソコン高速化といえばメモリ増設が主流でしたが、現在ではストレージ性能がボトルネックになっているケースも多く、費用対効果の面でもSSD化のメリットは非常に大きくなっています。

今のPC市場はSSD搭載機種が大半を占めています。しかし、コストの関係からSSDの搭載容量が少ないものも多く、「容量不足を解消したい」「もっと高速なSSDへ交換したい」という理由で、SSD同士の換装やクローン需要も増えています。

ところが、SSD化は単純な部品交換だけでは終わらない場合があります。ネットの情報を頼りにクローン作業をしたけどパソコンが起動しない、認識しないなど思わぬトラブルが発生することがあります。

クローン作業の際は、ストレージの換装作業だけでなく、元ディスク(特にHDD)の劣化状況といったハードウェア的要素、パーティション構成、起動方式(UEFI/Legacy)、暗号化、RAID構成など様々なソフトウェア的な要素も絡んできます。

特に、古いSATA SSDから高速なNVMe SSDへの移行や、小容量SSDから大容量SSDへの交換でも同様です。

また、NVMe SSDではPCIe世代や発熱問題も関係してきます。高速なSSDほど発熱が大きくなる傾向があり、ノートパソコンでは冷却不足によって性能低下が発生する場合もあります。そのため、単純に「速いSSDへ交換すれば良い」というわけではなく、パソコン側との相性や仕様確認も重要になります。

つまりクローン作業は単にコピーすればいいという単純な作業ではなく、ストレージ構成全体を理解したうえで行う必要があるのです。環境によってはある程度の知識や準備が必要です。

いきなりクローン作業をしてしまうと失敗する

SSD換装で失敗する原因のひとつが、事前準備を行わずにいきなりクローン作業を始めてしまうことです。

クローン作業の前には、元のHDDやSSDのWindows環境に問題がないか確認する必要があります。

例えば、ファイルシステムの破損、不良セクタ(HDD)、システムファイル異常、BitLocker暗号化、Intel OptaneメモリやRAID構成などが存在すると、クローン中や換装後にエラーや起動不能が発生することがあります。

特にIntel Optaneメモリが有効なパソコンでは、ストレージ構成がRAIDモードになっていることがあります。この状態を理解しないまま単純にクローンを行うと、起動しなくなるなどのトラブルにつながる場合があります。

また、元のHDDに問題がある状態でクローンを行うと、その問題をSSD側へそのまま引き継いでしまうことになります。ですから、クローン前には元ディスク側の状態をできるだけ正常化しておくことが重要です。

具体的には、

・Windowsシステムファイル修復
・ディスクチェック
・SMART診断
・不要なTEMPファイル削除
・不要データ整理
・BitLockerなど暗号化状態確認
・セキュリティソフトの干渉確認


などを事前に行っておくと失敗リスクを下げられます。

また、クローン時の接続方法やディスク形式にも注意が必要です。GPTとMBRの違い、UEFIとLegacy起動方式、USB-SATA変換アダプタや外付けケースの相性、USB給電不足など、環境によっては様々な要因が影響します。

ネット上では「簡単にSSD化できた」という事例も多く見られます。

しかし、それは元環境に問題が少なかったり、構成の相性が良かったことで偶然スムーズに進んだケースもあります。ですからすべてのパソコンで同じように成功するとは限りません。

クローン作業を成功させるために必要な作業のフロー

SSDへのクローン作業は、事前準備を怠るとクローン失敗や起動不能などのトラブルにつながることがあります。

特に重要なのは、クローン作業を始める前に必ずバックアップを作成しておくことです。万一クローンに失敗した場合でも、バックアップがあればデータやシステムを復旧できます。

バックアップ方法の例

① ファイル単位のバックアップ
写真や文書などの重要なデータだけを保存する方法です。手軽で失敗のリスクが少なく、最低限のデータ保護になります。

② イメージバックアップ
ディスク全体を丸ごと保存する方法です。クローンに失敗した場合でも、元の環境をほぼそのまま復元できます。

③ 回復ドライブの作成
Windowsが起動しなくなった場合の修復用USBメモリです。バックアップと併せて作成しておくと安心です。

※Windows標準の「システム イメージの作成」について
Windowsでは現在は旧来機能(非推奨)となっていますが、フリーソフトを導入できない企業環境などでは現在でも利用されています。

【HDD → SSD クローン時の事前準備フロー】

【バックアップ作成(最優先)】
(ファイルバックアップ・イメージバックアップ・回復ドライブ作成)
 ↓
【不要データの整理】
(TEMPフォルダー、ゴミ箱、大容量不要ファイル、不要ソフトの削除)
 ↓
【HDDの健康状態確認】
(SMART情報、異音、不良セクタ、代替処理済みセクタ数などを確認)
 ↓
【Windowsシステムの整合性確認】
(DISM → sfc /scannow → chkdsk の順に実施)
 ↓
【BitLocker・デバイス暗号化の確認】
(一時停止を推奨。暗号化されたままクローンすると、起動時に
回復キーの入力を求められる場合があり、
環境によっては起動トラブルの原因となる)
 ↓
【Intel Optane構成の確認】
(H10・H20などのOptane搭載モデルやIntel RSTキャッシュ構成では、
一部のクローンソフトが正常にコピーできない場合があるため、
必要に応じてIntel公式ツールで解除、またはBIOSでOptane機能を
無効化する)
 ↓
【UEFI/Legacy起動方式の確認】
 ↓
【GPT/MBRパーティション形式の確認】
(必要に応じて起動方式との整合性も確認)
 ↓
【SSD容量の確認】
(使用容量が移行先SSDの容量を超えていないか確認)
 ↓
【USB変換アダプター・ケースの確認】
(UASP対応製品を推奨。USBポートの給電不足や相性により
クローン中に接続が切断される場合がある)
 ↓
【BIOS(UEFI)の最新版確認】
(メーカーがBIOS更新を提供している場合は、
適用することでストレージ互換性が改善されることがある)
 ↓
【クローンソフトの準備】
(SSDメーカー純正ソフトが利用できる場合は優先的に使用する)
 ↓
【新SSDを接続して認識確認】
 ↓
【クローン作業実行】
 ↓
【旧ドライブを取り外す】
 ↓
【SSD単独で起動確認】
 ↓
【BIOS起動順位・Windows起動・正常動作確認】


【SSD → SSD(NVMe含む)クローン時の事前準備フロー】

【バックアップ作成(最優先)】
 ↓
【空き容量・不要データ整理】
(TEMPフォルダー、大容量不要ファイル、不要ソフトの削除)
 ↓
【現在のSSDの健康状態確認】
(SMART情報、温度、使用率、異常の有無を確認)
 ↓
【BitLocker・デバイス暗号化の確認】
(一時停止を推奨)
 ↓
【UEFI起動方式の確認】
 ↓
【UEFIファームウェアのNVMeブート対応確認】
(重要:UEFI対応でもNVMeブートに対応していない機種がある。
特に2015年前後以前のPCでは、M.2スロットを搭載していても
NVMe SSDから起動できない場合がある)
 ↓
【GPTパーティション形式の確認】
 ↓
【M.2スロット仕様の確認】
(SATA専用・NVMe対応・PCIeレーン数などを確認)
 ↓
【PCIe世代の確認】
(Gen3/Gen4/Gen5。下位互換はあるが、
古い世代では転送速度が上限までに制限される)
 ↓
【SSDの発熱・冷却対策確認】
(高速SSDではヒートシンクの有無やエアフローも確認)
 ↓
【USB-NVMeケース・変換アダプターの相性確認】
(UASP「USB Attached SCSI Protocol」対応製品を推奨)
 ↓
【新SSDのファームウェア確認】
(メーカー公式ツールで最新版を確認し、必要に応じて更新する。
互換性や安定性が改善される場合がある)
 ↓
【BIOS(UEFI)の最新版確認】
(NVMe互換性や起動安定性が改善される場合がある)
 ↓
【クローンソフトの準備】
(メーカー純正ソフトが利用できる場合は優先)
 ↓
【新SSDの認識確認】
 ↓
【クローン作業実行】
 ↓
【旧SSDを取り外して単独起動確認】
 ↓
【温度・転送速度・安定性を確認】


※以上の情報を参考にして結果生じたいかなるトラブルも、当方は一切の責任を負いません。自己責任の上行ってください。

SSD化失敗と情報リテラシーは関係する

SSD換装で失敗するもうひとつの原因として、ネット上の情報を鵜呑みにしてしまうケースがあります。

「SSD クローン」などで検索すると、多数のクローンソフト紹介記事や解説サイトが表示されます。中には広告目的が強いものや、特定ソフトへの誘導を目的とした記事も少なくありません。

イラスト付きでわかりやすく、日本語で丁寧に説明されている記事も多いため、「これなら初心者でも簡単にできそう」と感じてしまう人も多いでしょう。

しかし、実際のパソコン環境は機種ごとに異なります。メーカー製PCでは独自のリカバリ領域や特殊なパーティション構成を採用している場合もあり、記事通りにやってもうまくいかないことがあります。

特に、HDD側に不良セクタやファイル破損などの問題がある場合、それがクローン作業中に表面化することがあります。その場合はSSDへの移行以前に、まずHDD自体の診断や修復が必要になります。

また、最近のWindowsではBitLockerなどのデバイス暗号化が自動的に有効化されていることもあります。これを把握せずに換装を行うと、回復キー要求や起動トラブルになる場合があります。

ネット上には成功例が多数ありますが、失敗時の対処や例外処理まで詳しく説明されていないケースも少なくありません。そのため、手順通りにやっているつもりでも、実際には環境差異で問題が起きてしまうことがあります。

さらに注意したいのが、ソフトウェアの入手元です。クローンソフト自体は便利なものも多いですが、「非公式配布サイト」「改変版」「広告誘導型インストーラ」などには注意が必要です。

特に「無料」「高速」「簡単」などを過度に強調するサイトの中には、不要ソフトの同時インストールや、不審な広告誘導を行うものも存在します。ソフトは必ず公式サイトから入手することが重要です。

情報リテラシーとは、単に検索する能力ではありません。検索結果の情報源を見極め、どの情報が自分の環境に適しているか判断する能力でもあります。

検索した怪しいフリーソフトではなく、信頼性の高いツールを使う

SSDクローンやイメージバックアップでは、出所不明のソフトや非公式配布サイトのツールを安易に使用することはお勧めできません。

ストレージメーカー各社では、公式サポートページで診断ツールや移行ツールを公開している場合があります。こうした公式ツールは安全性が高く、対応機種との相性も考慮されているため安心して利用できます。

中には、SSDメーカーによっては、Acronis True Image ベースの移行ツールを無償提供している場合もあります。こうしたメーカー公式提供版は比較的安心して利用しやすいでしょう。


使っているHDDやSSDのメーカーが不明な場合は、「デバイスマネージャー」の「ディスクドライブ」を開くと、メーカー名や型番を確認できます。

ただし、SSDへの移行や換装ではクローンが最善の方法とは限りません。長年使用しているようなWindows環境では不要なキャッシュファイルや肥大化したデータなどが蓄積している可能性があります。

そのような場合はクローンにこだわらず、SSD換装後にクリーンインストールしたほうが安全で、その後も安定動作が期待できます。

SSD換装は、単純な「コピー作業」ではなく、パソコンのストレージ構成や起動環境に関わる作業です。ネット上の情報をそのまま信じるのではなく、自分の環境に合わせて判断することがトラブル回避につながります。

筆者の実績 :http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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