突然の停電!そのときパソコンはどうなってしまうのか、想定される事態とその対策

古賀竜一

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テーマ:機器と端末の管理と保守

現代でも様々な原因で起きる停電

最近、首都圏では施設や設備の老朽化やトラブルにより、停電が発生するケースが散見されます。しかし、最も頻繁に起きるのは自然災害による停電です。落雷、地震、大型台風、豪雨、豪雪、さらには火山噴火による影響など、自然災害による停電は季節や地域を問わず各地で発生しています。

自然災害による停電は広範囲かつ大規模なものが多い一方で、家庭や事業所で契約アンペア数を超えた使用や電力の過負荷によるリミッタ・ブレーカーの作動といった局所的な停電もあります。このように停電は発展途上国だけの問題ではなく、先進国でも日常的に発生し得る現象と言えるでしょう。

特に電力に依存する先進国では、突然の停電が生活や産業に与える影響は深刻です。現代社会の基盤となるIT機器、特にパソコンやネットワーク機器は物流や医療システムの維持に欠かせないため、停電による被害が広範囲に及ぶ可能性があります。

デスクトップパソコンのウィークポイント

●バックアップ電源が無いデスクトップPCやファイルサーバー、ネットワーク機器などは停電の復旧後にさまざまな影響が出ることがあります。

●ノートパソコンならば、停電しても本体そのものにバッテリーを備えていますので自動的にバッテリー駆動へ切り替わるため大きな影響はありません。しかし、UPS(無停電電源装置)がないデスクトップパソコンの場合はいきなり電源が落ちるとブラックアウトしてしまいます。バッテリーに寿命が来ていて普段から機能していないノートパソコンも同様に電源が落ちてしまいますのでデスクトップと同様の影響を受けます。

●電源のブラックアウトで起きるパソコンへの影響は様々です。編集中のデータが消えるのはもちろんのこと、特に影響があるのはインストール中の更新ソフトウェアなどが不完全に終わって、OSやPC自体の起動に問題が出る、稼働中の電源遮断でHDDに異常が発生してしまうことなどがあります。

●このような問題を回避するには、停電時に端末PCを終了させるための時間を稼ぐバックアップ電源装置、「UPS」(無停電電源装置)の導入が必要です。

●このUPSは複数台のパソコンに対応可能な大型のものから、デスクトップPCのベイに納まるような小型のものまであります。価格も手ごろですから、データや環境保全を最優先するPCでは必需品と言っても良いでしょう。



※UPSは複数台対応の据え置き型の大型のものから稼動時間が数分程度のPCスロット内蔵型もある。

停電の影響を受けた場合の対処法

●停電によってブラックアウトしてしまったパソコンは電気の復旧後に様々な影響が現れるとがあります。起動しないとか、エラー表示が出るなど深刻な状態になっていることもあります。

●UPSがないデスクトップPC、バッテリーが機能していないノートパソコンが停電後に受ける具体的な影響として、主に以下のようなことがあります。

  1. BIOSのCMOS用内蔵電池が消耗していたため設定がリセットされ、OSが起動しない。
  2. PCは起動するが、正常終了とならなかったためにOSの起動に失敗する
  3. HDDに影響が出て深刻なトラブルになってしまう

●1の場合は再度BIOS設定で時刻や内容を再設定すれば問題なく起動します。停電で設定時刻がリセットされている場合は、内蔵のCMOSバックアップ電池が消耗していますのでこれを機に交換が必要でしょう。また、BIOS上で起動ストレージのデフォルト設定がRAIDになっているようなPCの場合は手動でAHCIに設定し直さなければOSは起動できません。

●そのほか良くある事例で、停電時の瞬間断続の際にサージ(高圧の突入電流)が発生してPCに流れ込み、メイン基板が故障してしまう事もあります。電源スイッチを入れても、うんともすんとも言わなくなるなど全く反応が無くなった場合はその疑いもありますので、専門家へ相談しましょう。

●2の場合はOSのエラー表示や回復メニュー表示(いわゆる青い画面)が出ると思います。表示する指示の通りに復旧措置を行う、または回復オプションを起動させて手動で修復をすることによって解決すると思います。回復しない場合は以前からHDDに不良クラスタなどが発生するなど問題を抱えていて、トラブルを機にその影響が出てしまい起動できなくなることもあります。その場合はあまり無理をせず、直ちに専門家に相談するなどしてデータ復旧に移行したほうがいいでしょう。

●3の場合ですが、HDD記録面やヘッドなどに深刻なダメージが出た場合、通常の回復措置では復旧しないことがあります。また、このような場合も無理な回復措置はせず、2の場合と同様直ちにデータ復旧に移行したほうがいいでしょう。

●編集中のデータについては、Office文書の場合、日頃からバックアップ設定を行っておくことで、停電直前までの作業状態を復元できます。設定はOfficeの"オプション"設定で"自動回復用データ保存"の時間設定をしておきます。あとはバックアップフォルダから復元するだけです。

●日頃からデータのバックアップやバックアップ設定をしておくことで停電時のリスク回避に役立ちますので、是非心がけるようにしておきましょう。

九州インターワークス
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

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