意外な盲点!木造住宅なのに高級ルータのWi-Fiが弱い?原因は漆喰壁かも

古賀竜一

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テーマ:ITサポートの事例と実例

木造の家屋なのにWi-F電波が届きにくい


先日のサポート依頼はWi-Fi接続設定でした。ルータが古いため買い換えたということで設定のご依頼です。

ルータの設置場所は家屋中央付近の廊下の天井近くで、Wi-Fi親機としては最適な設置環境条件です。

実際にパソコンやスマホを使用する場所は、2部屋隔てた書斎です。

早速設定を行おうとしましたがどうも電波が弱い。

PCのWi-Fiアイコンアンテナ表示で1~2本とかなりの弱さです。その上安定していません。Wi-Fiルータは最新機種で価格も高めの高機能ルータ。

戸建てなら3階建てまで余裕で届くというもの。ですから親機のパフォーマンス不足による問題ではないはずです。

鉄筋コンクリート造や鉄骨構造の建物内ではWi-Fiをはじめとした電波が届きにくいというのは良く聞きますが、今回の家屋は在来工法の木造住宅ですから影響はそれほどないと思われます。

Wi-Fiの子機に問題があるのかもしれないと思っていたところ、ご依頼者の奥様が廊下越しの部屋から「タブレットも設定して欲しい」ということでしたので、隣の部屋でタブレットの設定に移った時に、異変に気が付きました。

タブレットのWi-Fi受信状況もアンテナ表示で5本の内2~3本になっているのです。壁1枚を隔てた廊下のすぐそこが親機ですから距離には問題なく、アンテナはフル表示のはず。これはどう考えてもおかしいと思い、そこで改めて宅内を見渡してみました。

すると壁がどの部屋もすべて"しっくい"(漆喰)だということに気がついたのです。

特にPC端末を使用する部屋はルータとの間に壁4枚以上、裏表合わせて8枚の"しっくい壁"で隔てられていることになり、障害物となっています。けれども、3階まで届くという高級なルータですから、そのくらいで届かないのはおかしいわけで、このルータの表記は誇大表示か?と疑ってもみたくなりました。

とりあえず、ノートPCのUSB_Wi-Fi子機を延長ケーブルで伸ばし、少しでも電波状況を受信側で改善して対処するということに落ち着きました。

※無線LAN電波は親機から近いと快適だが、距離が離れると減衰が著しい。


"しっくい"壁はコンクリート並?

しかし、エンジニアとしては今回の件はどうも釈然としません。そこで事務所に戻り、"しっくい"(漆喰)の性質と電波の関係について詳しく調べてみました。

しっくいの主成分は水酸化カルシウムや炭酸カルシウム。日本では古くから城郭や蔵、民家の壁として使われてきた伝統的な建築素材で、耐火性や調湿性に優れているのが特徴です。

調べて驚いたのは、その「密度」です。乾燥した漆喰壁の密度は、製品や施工法にもよりますが、おおよそ 2.0g/㎤ 前後。これは一般的なコンクリート(約2.3g/㎤)に迫る硬さと密度です。

木造住宅とはいえ、間仕切り壁がすべてコンクリート並みの密度を持つ強固な物質で覆われていることになります。

Wi-Fiの電波(電磁波)は、物質の密度が高ければ高いほど、透過する際にエネルギーを吸収されて弱くなってしまいます(誘電損失)。

今回はPCとの間に壁が4枚。裏表合わせて8面の漆喰層、さらには伝統工法であればその中にある「土壁」の厚みも加わります。

土壁や漆喰は湿気を吸い込む性質(調湿性)があるため、電波を吸収しやすい「微量な水分」を保持していることも、電波状況を悪化させた大きな要因と考えられます。

さらに、もし漆喰の下地にひび割れ防止の「金網(メタルラス)」などが埋め込まれていた場合、それは電波を遮断する強力なシールドとして機能してしまいます。

「木造だから電波は通るはず」という思い込みが盲点でした。

カルシウム化合物の高い密度と、伝統工法ならではの壁の厚み。これらが重なれば、最新の高機能ルーターであっても電波が激減するのは当然の結果だったのです。

これでようやく謎が解けました。高級Wi-Fiルーターの箱書きで「3階建てまでOK」という表記も誇大表示ではなかったということで安心しました。

しっくい壁でないのに届きにくい家屋の無線LANの対処法は以下の以前のコラムで紹介いたしましたのでご参考ください。

自宅Wi-Fiでスマホ、タブレットの動画を快適に見る方法
http://mbp-japan.com/fukuoka/pc-pro/column/8955/

途切れる、接続しないを解消!快適無線LAN(Wi-Fi)、3つの方法
http://mbp-japan.com/fukuoka/pc-pro/column/8226/

最後に、日本の無線LAN規格は、電波自体が微弱で家屋内に限って使用する前提となっています。ですからあまりに多大な期待をしてしまうと落胆も大きくなります。導入や入替えの際は中継器等の利用も前提に、計画的に検討する必要があります。

「Wi-Fi中継機で失敗する原因は選び方と置き方にあった」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5057553/


九州インターワークス 注目のページ
「パソコンがおそい、固まる主な原因」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/osoi.htm

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