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液ぬれによるダメージとはどのようなものか?
●前回は飲み物こぼしの際の対処法をご紹介しましたが、今回は、その後にパソコンが一体どうなるのか、どうすればよいのかをお話したいと思います。
①キーボード
●パソコンに液体をこぼした場合、耐液性のないキーボードは構造的に一撃でダメになります。ノート用キーボードはそれ自体が一体型(ユニット)になっていて分解が出来ず、外から乾かしてみても一旦内部に浸入した液体は構造的に抜けにくくなります。
●それに、そもそもキーボードの仕組みはキー全体が電気接点ですから、浸入した液体で壮大なショートを起こしているようなものです。絶対に乾かないということはありませんが、一度細部に液体が入り込めばコーヒー、ジュースなどの不純物まで取り除くことはできません。よってユニットごとアセンブリ交換になります。
●乾いたから平気なのではないか?ということでそのまま使用すると、接点不良で特定のキーが利かなくなったり、キー接点が導通状態になったままになり、起動時にエラーが出る、パソコンが立ち上がらなくなる、文字が連続的に入力されるなどの症状が出たりすることがあります。
ノートPCキーボードの液濡れ実験
●交換後のノートパソコンの壊れたキーボードユニットを使って、飲み物こぼしが実際にどうなるか実験してみました。
状況をわかりやすくするためにオレンジ色の水性塗料を
水に溶いて着色したものを用意。
実際にかけてみる
キーボード裏面を拡大したところ。フィルム基板に染み込んでいるのがわかる。
こうなれば排出は容易ではない。
②メイン基板
●対処が遅れたり、液体の量が多すぎたりした場合はメイン基板は既にショートしていたり、パターン(回路)に浸透、腐食などしてほぼ助からないようです。
●液体がコーヒーやジュースの場合、成分などで汚損したり、糖分でべたついたりしますので復旧はほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。メイン基盤の交換は、古くてパーツが無かったり、費用的に新品が買える位になります。事実上修理は不可能に等しくなります。
●その時は動いている様でも後日、悪影響が出たりしますので、水ぬれの場合のダメージ評価としては「全損」扱いにならざるを得ません。
●以下は実際の事例です。
キーボードの黄色い丸の部分ににかかった水分(カップラーメンのスープ)が影響を及ぼした例です。
キーボードの隙間から入ったスープが運悪くその真下にある本体パネルに開いていた無線LANのアンテナ配線用の溝から下に落ちました。
本体パネル裏には塩分を含んだスープで腐食した後が残っています。
マザーボード(メイン基板)にしたたり落ちたため量はわずかでも塩分の影響でコンデンサ周りでショートし、周辺も損傷しました。
以下は状況の模式図です。
●この事例では、こぼした際にすばやくパソコンを裏返しにしていればキーボードの損傷だけで済んでいたものと思われます。
③HDDハードディスク、SSD(内部データ)
●水分の回り具合によってHDDやSSDにも被害が及んだ場合は当然データも助かりませんが、意外とストレージデバイスは基板とは隔離された位置にあったりしますのでノーダメージの場合もあります。データ復旧は十分望みがあります。専門家の診断を受けてください。
●HDDやSSDはどちらかというとノートパソコン本体の底部に位置している事が多く、上からの液体には影響が回避できていることがあります。しかし、テーブルにこぼした液体が本体下にまで回り込んだ場合などの際には危険度が高くなります。底部の隙間などから本体内に入ってストレージ格納スペース内にまで浸入すると影響を受けることがあります。上からかぶってなければ大丈夫・・という判断は危険です。SSDであっても端子に浸み込むとショートしますので安心というわけではありません。
●以上、飲み物こぼしなど起こしてしまった場合は最善の措置とその後のケアを適切に行うことで被害が最小限に留まることもあります。
ITの知識を正しく理解して知る事は緊急時の間違った判断、対処を防止する・・ということにつながります。
●しかし、飲み物こぼしの最強の予防策、対策は・・・「パソコンの周辺で飲み食いしない!」・・・ということに尽きます。
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