「外壁タイル」はく離で訴訟
「直張り工法」を採用する場合の「外壁タイル」の「接着不良(浮き):はく離」防止対策として、標準的な設計施工上の手引きとなる「設計施工基準」が整い活用されています。
以下、標準的な設計施工上の手引きとなる「設計施工基準」に「外壁タイル」の「接着不良(浮き):はく離」に基づく防止対策の要点と、標準的な設計施工上の手引きとなる各「設計施工基準」に関して記載します。これらを遵守した安全な建築物がつくられることを望む限りです。
(2) 「外壁タイル」の「接着不良(浮き):はく離」防止の要点
「外壁タイル」の「接着不良(浮き):はく離」を防止するための要点は、1)項,2)項のとおりです。
1) 「躯体(コンクリート面)」と「張り付けモルタル」や「下地調整モルタル」(【「下地コンクリ ート」の型枠精度の不良(平たんさの不良など)に伴う厚さ調整用の下地モルタル】)、「下地調整モルタル」と「張り付けモルタル」、および「張り付けモルタル」と「外壁タイル」の各接着面(界面)を確実に接着させなければなりません。そのために、「MCR工法」や「高圧水洗による目荒らし工法」等の採用により「コンクリート」表面の不要な凸凹をなくし《資料A参照》、ジャンカ・豆板・型枠の目違いなどを補修する下地調整を確実に行った上で、施工不良(たたき込み不足や押え込み不足/ドライアウト/オープンタイムの管理不良)が発生しないように留意して施工しなければなりません。
2) 「躯体(コンクリート面)」と「張り付けモルタル」や「下地調整モルタル」(【「下地コンクリート」の型枠精度の不良(平たんさの不良など)に伴う厚さ調整用の下地モルタル】)、「下地調整モルタル」と「張り付けモルタル」、および「張り付けモルタル」と「外壁タイル」の各接着面(界面)に繰り返し作用する直射日光・外気温・吸水乾燥等の変化に伴う膨張収縮(「ディファレンシャルムーブメント」)により生じる「せん断応力」を吸収するため、標準的な設計施工上の手引きとなる各「設計施工基準」に従い、規定する位置に規定する大きさの「伸縮調整目地」を設置しなければなりません。《資料B参照》
(3) 「外壁タイル」の「接着不良(浮き):はく離」防止対策(「設計施工基準」)
「直張り工法」を採用する場合の「外壁タイル」に関する「接着不良(浮き):はく離」防止対策として、「公共住宅建設工事共通仕様書」/「建築工事標準仕様書・同解説:JASS19 陶磁器質タイル張り工事2012年:日本建築学会」/「陶磁器質タイルのコンクリート直張り工事標準仕様書:社団法人本全国タイル業協会」/「外壁タイル張り 設計上の配慮事項 施工管理上の注意事項:社団法人本全国タイル業協会」/「INAX(現在LIXIL)の設計と施工」などの「設計施工基準」が整い、活用されています。
「公共住宅建設工事共通仕様書:12章タイル工事」、および「建築工事標準仕様書・同解説:JASS19 陶磁器質タイル張り工事2012年:日本建築学会」においては、「設計施工基準」として次の内容が規定されています。
1) 「公共住宅建設工事共通仕様書:12章タイル工事」の規定(抜粋)
① 規定された位置に規定された大きさの「伸縮調整目地」を設置する。
② 「ユニットタイル張り(50角二丁掛以下)」のタイル張り付け工法は、「マスク張り」とする。
③ コンクリート仕上面の平たんさは3mmとし、基準に達しない場合は、「グラインダー」で平滑に し、目違いは「セメント系下地調整塗材」をなでつけ平滑にする。
④ 『下地面の仕上げ(基本的にモルタル塗り)』は「木ごて押え」とし(平滑にしない)、下地面の精度は「2mにつき±2mm以内」とする。
2) 「建築工事標準仕様書・同解説:JASS19 陶磁器質タイル張り工事2012年」の規定(抜粋)
① 規定する位置に「伸縮調整目地」を設置し、タイル面の「伸縮調整目地」は、躯体および下地の「亀裂誘発目地」と必ず一致させる。
② 「モザイクユニットタイル張り(50角二丁掛)」のタイル張り付け工法は、「モザイクタイル張り」とする。
③ コンクリート表面は、はく離防止のための清掃および目荒しなどを確実に実施する。
④ コンクリート下地面の精度は、長さ3mにつき7mm以内とし、段差、不陸の著しい箇所はつけ送りするなどの不陸調整を行う。
また、「陶磁器質タイルのコンクリート直張り工事標準仕様書:社団法人本全国タイル業協会(1997年3月改訂)」、および「外壁タイル張り 設計上の配慮事項 施工管理上の注意事項:社団法人本全国タイル業協会」においては、「設計施工基準」として次の内容が規定されています。
①規定された条件で規定された大きさの「伸縮調整目地」を設置し、タイル面の「伸縮調整目地」は、躯体および下地の「ひび割れ誘発目地」と必ず一致させる。
②「モザイクタイル」のタイル張り付け工法は、「マスク張り」もしくは「モザイクタイル張り」とする。
③「コンクリート」と「張付けモルタル」、または「下地調整モルタル」間でのはく離防止のため、「MCR工法」または「高圧水洗による目荒らし工法」が奨励され、「コンクリート」表面の凸凹をなくし、ジャンカ・豆板・型枠の目違いなどを補修する下地調整を行う。
更に、タイルメーカーである「INAX(現在LIXIL)の設計と施工」においても、次の「設計施工基準」が示されています。
①規定された位置に規定された大きさの「伸縮調整目地」を設置し、タイル面の「伸縮調整目地」は、躯体および下地の「ひび割れ誘発目地」と必ず一致させる。
②「モザイクタイル」のタイル張り付け工法は、「マスク張り」もしくは「モザイクタイル張り」とする。
③「MCR工法」または「高圧水洗処理」により躯体に凹凸を設け、モルタルとの接着性能を向上させ、必ず「デッキブラシ」等でコンクリート表面の水洗いを行う。
〈資料A:建築工事標準仕様書・同解説JASS19陶磁器質タイル張り工事 引用〉
〈資料B:建築工事標準仕様書・同解説JASS19陶磁器質タイル張り工事 引用〉