「ボストン美術館展」ジャポニズム

高塚哲治

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 アメリカの「ボストン美術館」は、印象派と日本美術の名品を数多く所蔵しています。その中から「ジャポニスム」をテーマに約150点の作品を集めた展覧会が東京の「世田谷美術館」で開かれています。
 展覧会の目玉は印象派の巨匠である「クロード・モネ」の「ラ・ジャポネーズ」です。「ボストン美術館」の至宝といわれていますが、世界の宝でもあります。古いニスを除去するなどして1年以上かけて修復し、鮮やかな色彩が蘇った名画が、日本で最初に公開されています。
 扇子を手に持ち、赤い派手な打ち掛けを羽織り笑顔でポーズを決める女性の姿で、打ち掛けの模様の武者の勇ましい顔と女性のやさしい顔が対照的に描写され、背後にも多くの団扇(うちわ)を配し、まさに「ジャポネズリー(日本趣味)絵画」です。
 モデルは「モネ」の最初の妻となった「カミーユ」で、この作品が1876年の第2回印象派展で発表された3年後に、32歳の若さで亡くなりました。実際には彼女の髪は褐色で、金髪のカツラをかぶせて描いたといわれています。
 「モネ」は大の日本びいきとして知られ、浮世絵を収集し、自邸の庭のハス池に太鼓橋を造ってしまったほどで、日本美術への憧れが画面からあふれているようです。
作品は縦が3m近くあり、間近で見るとかなり大きく、圧倒されてしまいます。
 展覧会では、こうした著名作品を紹介しているだけではなく、西洋の有名作品の横に浮世絵が並べて展示され、その影響を分かりやすく見せています。「喜多川歌麿」の「母子図 たらい遊」の隣には、アメリカの女流画家でパリで活躍した「メアリー・スティーヴンソン・カサット」の「湯浴みが展示されています。
 線描による平面的な描き方など「歌麿」からの影響は一目瞭然です。また、「カサット」は浮世絵の収集家としても知られているそうです。








《2014.08.14讀賣新聞》

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