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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

スーパーの仕入原価アップ、値上げラッシュ対策        ➤コストリーダーシップ戦略「競争力をアップして戦いを楽にする方法!」

2022年3月10日 公開 / 2022年6月16日更新

テーマ:スーパーの業務改善

コラムカテゴリ:ビジネス

店舗で販売している商品や包装資材の仕入れ価格が上昇し、それらは多くの商品に広がっている。

また、仕入れ原価だけでなく、ガソリン価格の上昇や、パート社員の時給アップと人手不足などの問題も横たわる。

そして、ドラッグストアやディスカウントストアの進出と価格競争。
少子高齢化や社会階層の二極化からくる消費の二極化も進む。

このように、スーパーマーケット(SM)企業にとって、今後厳しい経営環境が続くことになる。残念ながらそれが現実であるし継続する。

そして、消費の二極化が進むのと同じように、企業の生産性という観点からも二極化が進む。
生産性を高めて戦略を実現し、消費者に価値を届け続けて利益を拡大する会社。
反対に、ムダが多く生産性が低く、売上も利益も低迷する会社。

このような多くの課題を抱える中小SM企業に対して、「どこに解決の糸口があるのか」を、業務改善のコンサルタントの立場から解説したい。

実績数字の本質を「どこまで理解しているか」で、行動と結果

コストは、売上に沿って上がったり下がったりする変動費と、売上に関係なく月々一定に掛かる固定費に分けることができる。

食用油や小麦粉など商品原価は変動費であり、人件費(変動費とみる部分もある)や水道光熱費、販促費や地代家賃などは固定費である。

そして、現場の判断で調整が可能な管理可能費と、調整ができない管理不可能費。
人件費や販促費などは、現場が調整することができるので管理可能費であり、地代家賃などは勝手に調整できないので、管理不可能費と考える。

別に、話をややこしくしようと言うわけではない。
「生産性を高めて競争力を付けていこう」と考えるときに、各数値の持っている意味と活用方法を解っていれば、戦略策定の幅が広がり、高い成果を出すことの出来る確率は高まる。

スーパーの現場に立つと、数字を正しく理解していない人は少なくない。活用して成果に繋げていると言うことになると、経営者でも多くないのが中小SM企業の現実である。

売上と粗利益だけを追っかけていては、この厳しい競争の中で勝ち残ることの確率は低くなってしまう。

競争に勝つために外せないポイントFLコスト  勝負を決め

レストランのメニューの製造原価を考えるとき使うのが、FLコストである。

メニューに使う食材の原価と、美味しく仕上げるシェフたちの人件費だ。この2つを足したものがFLコストである。
F(食材の原価)とL(レイバー:製造のための人件費)を足して考える重要な数値だ。

スーパーマーケットの現場で考えてみると、レストランと同じような総菜部門と、グロサリー部門のように商品の加工作業が無い部門(カテゴリー、単品)に分けられる。

私は、業務改善の現場では、商品の入荷から、加工や補充・陳列を経て、お客が買い上げるまでの「一連の作業に関わる人時数(人件費)を正しく理解する」ことが重要であるとクライアントには伝えている。

もうピンと来た人も多いと思う。
バイヤーの交渉力で商品原価を少しぐらい安く抑えたとしても、経費の中でダントツに高い人件費のマネジメント(コントロール)が出来ていなければ、FLコストは高位に安定してしまう。
このことを正しく理解してもらいたい。

生産性の高いSMと低いSMの差は、ここの部分の差が大きい。
具体的な内容や改善方法などは、私の他の記事を読んでいただき理解してもらいたい。

ローコストオペレーションの実現方法

競争に勝ち残るための簡単な方法 ➤安く売れる体質に改善する!

人気商品をチラシの目玉で販売したり、野菜の相場下落で、昨日までの売価から大幅に値下げして販売したりした経験を持っている人は多いと思う。

陳列している補充担当者の目の前で、お客が次々に買い物カゴにその商品をー入れていく。実に気持ちが良い。そして楽しい。

これらのことが日々出来るようになるためには、損益計算書の構造を正しく理解して、問題点に対して地道に改善を加えて、その仕組みを構築していくことだ。

実践的マーケティングのレベルを上げて、売上と粗利益をアップさせることも重要だ。
人気商品の価格を抑えて、その回転率を上げて、粗利益高をアップさせること。そして、その時に作業のムダ(作業工数)を減らして、投入人時を減らすことが出来れば、営業利益は確実にアップする。

当然のことながら、仕入れ過ぎ、作り過ぎ、出し過ぎというムダを削減する。
欠品という、お客の不満を招き、機会損出というムダを削減する。

売場で大して売れていない、陳列棚の肥やし状態の商品を無くす。また、売れるであろう物と差し替える。

商品管理だけ考えても、そのレベルがアップすれば、安く販売するための原資は確実に生まれてくるのだ。

オペレーション面では、先ず何と言ってもムダな在庫だ。これがムダな作業を発生させて、確実に商品ロスと人時ロスを発生させてしまう。
そして、店内作業の工程、手順、道具、動作、スピードなどの改善だ。
企業によって、生産効率に大きな差が生まれている部分である。レベルが低ければ、FLコストを確実に押し上げてします。

ここで紹介したのは、「安く売れる体質に改善する」ための方法の一部であるが、改善活動の全てが、安く販売するための原資に変わる。
そして、それらは血肉化することによって、会社の大きな財産となるのである。

いたってシンプルな戦略 業界標準以下のコストを実現する!

ローコストオペレーションの企業体質を実現すると、
第1に、売価を下げて集客の目玉を作り、客数アップと売上アップに繋げられる。
第2に、差し迫って価格戦略を打ち出さなければならない状況でなければ、
高い営業利益率を実現できる。
第3に、資金の余裕から、経営戦略の選択度が確実に増える。
などのことを実行できる様になる。

ローコストオペレーションを実現すると
どれを選択するかは、企業のビジョンや環境などによって変わると思う。
どちらにしても、将来の発展のことを考えながら優先順位を付けることが重要だろう。

価格戦略、差別化戦略、集中化戦略などどれを実行するにしても、ローコストオペレーションは、その土台となり、企業の成長のためには必須の課題である。
そして、戦略遂行をよりスムーズにしてくれる重要な課題であることは間違いない。

「競合他社よりも低いコストを実現することにより、競争優位を確立する」という、シンプルなコストリーダーシップ戦略。

3つの基本戦略
「お客に、良いものを、少しでも安く提供する」という精神の上からも、決して怠ってはいけない課題であると私は思う。

何時も買い物に来てくれるお客のため、そして、何時も現場で頑張ってくれている従業員のためにも。


さてあなたは、この重要課題、重要戦略にどの様に取り組んでいるだろうか?
そとて、その成果はどの様なものになっているだろうか?

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