スーパーの売上を上げる8施策まとめ 買い上げ点数を上げ、客単価向上を目指せ
新型コロナウイルス感染症の発生の影響を受けて、世界が、そして、日本中が大変な事態に陥っています。
※COVID-19 に関する最新の情報は、【内閣官房ホームページ】をご参照ください
■新型コロナウイルス感染症対策 ⇒https://corona.go.jp/
この様な大変な時に、スーパーマーケット企業のリーダーが、考えなければならないことは、目の前の対応に終始することなく、基本に立ち返って、行動することです。
ここで、強調しておきたいことが、『行動』です。
大手企業を除く企業の多くは、基本原則を勉強していない企業が多くあります。
また、勉強していても、現場の実行度となると、企業間格差は、相当なものです。
そこで、その基本を教えてくれることの一つが、『基本4原則』です。
・欠品をしない
・品質の良いものを提供する
・クリンリネスを徹底する
・笑顔で接客応対する
この4つのことです。
この4つのことを理解して、社員のために、そして、お客のために、そして、地域(関係者)のために、「何をするのか」、「何をすべきなのか」を、しっかり考えて行動することです。
これらのことの理解度の深さで、今回遭遇している新型コロナウイルス感染症の大変な時に、会社が、お店が、そして、従業員が、「どう行動するかの差」が、現場で出て来ると思います。
会社の信用と信頼に繋がる重要なことです。
今回は、新型コロナウイルス感染症に関係する、弊社のクライアントの活動事例などを交えて解説していきます。
欠品をしない(数量管理)
「有るはずの物が、売場に無い」
目的買いで来店した、お客の一番の不満は、欠品でしょう。
日々の数量管理と仮説(予測)設定の技術が、試されることになります。
そして、その制度を上げるための仕組みづくりも重要となります。
【事例1】
弊社のあるクライアントの社長は、新型コロナウイルス感染症対策で、行動自粛が現実となる前から、バイヤーに指示して、グロサリーや冷凍食品の特に『主食』となる商品を中心に、各ベンダーから、大量に仕入れを行いました。
結果的に、今現在も、パスタやラーメン類など、品切れも少なく、お客に提供できています。
10数店舗を展開する中小企業ですが、リーダーシップを十分に発揮しています。
品質の良いものを提供する(品質管理)
「鮮度の良いもの」「味の良いもの」そして、「安全なもの」を仕入れて提供するという、スーパーマーケットの商品政策の基本中の基本です。
『品質管理基準』と『数量管理基準』を社内で設定して、そのレベルを維持向上させることが重要です。
特に、今回のことで、学校給食が無くなり、外食することが極端に減るなど、その反動で、家庭内で食事を取る人が増え、その分、スーパーマーケットで買い物をする人が増えています。
今この時こそ、目の前で、ただ売れていく物を眺めているのではなく、コンセプトを持って、『鮮度』と『味』に拘り、仕入基準とその管理を厳格にして、自店の商品の価値をお客に解ってもらう戦略的行動が重要です。
そのことが、問題が終息した後の自店のファンの数を決定する、大きなカギになることでしょう。
クリンリネスを徹底する(衛生管理)
日々の清掃作業の徹底により、バックルームや売場を、常に清潔に保つこと。
従業員の身嗜みも、重要な要素です。
そして、それを維持する『仕組み』を、この機会に、高位レベルで正しく構築することが重要です。
また、クリンリネスは、従業員の身嗜みとも大きく関わります。
だらしない従業員のいる店は、お客に、クリンリネスの出来栄えレベルの低さを想像させてしまいます。
当然ですが、従業員全員が、マスクを正しく付けて作業をしていることは、言うまでも有りません。
そして、売場の要冷品の管理状態にも、しっかりとチェックを入れる必要が有ります。
ロードラインをオーバーした商品陳列も良く見掛けますが、絶対に遣ってはいけません。
笑顔で接客応対する(接遇)
笑顔で、自分から挨拶して、『気遣い』『思いやり』のある対応をすることです。
お客は勿論、従業員同士や、取引相手の方などに対しても、同様に行います。
【事例2】
弊社のあるクライアントでは、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離(感染を防ぐ距離))の実現するために、一早く仕組みを導入しました。
レジに並ぶお客同士の距離が近づかないように、床に目印を付けて、そこで待って並んでもらうことを、お客にお願いしています。
また、本来やっているレジの読み上げ登録も、この時期止めることや、入店者が100人を超えると入場制限をするなど、お客の理解を求めています。
【事例3】
弊社のあるクライアントの社長は、従業員の待遇(制度)向上に努めています。
今回は、新型コロナウイルス感染症の影響で、大きく売上を落としている地域の飲食店に向けて、「自店でお店(飲食店)の商品を販売する」ことを申し出ています。
しかも、販売手数料は受け取らず、儲けはゼロです。
勿論、先の見返りを考えてのことではなく、「今の危機を、地域の皆で乗り切ろう」と呼び掛け、素直な気持ちからの行動です。
基本4原則は、ムダな作業を減らして生産性をアップさせることにも繋がります。
そして、その実行レベルは、そのまま『お店のブランド価値』を上げることにもなります。
考えているだけでは、ダメなのです。
日々の実行(改善活動)が重要です。
今こそ、お店の行動の真価が問われているときだと思います。
そして、そのことが、今後解決するであろう、新型コロナウイルス感染症の終息の後の、業績に大きく関わるものになると思います。
最後に、
埼玉のマミーマートの従業員が、新型コロナウイルスに感染した事例とその対応について紹介します。
結果的には、感染が判明しましたが、休まずに営業されています。
日々、企業全体として、「しっかりとした対策を徹底することが大切である」ことを教えてくれる大変参考になる良い事例です。
【事例4】
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お客様へのお知らせ 2020年3月26日
4月2日(木)、北鴻巣店従業員が新型コロナウイルスに感染していたことが 判明しました。
これを受け、鴻巣保健所の指導を仰いだ結果、店舗の営業を継続することと いたしました。
店舗の営業を継続するに至った経緯は、以下の通りです
1.当該従業員の行動履歴
(1)感染発覚までの経緯
2020年3月26日 当店従業員のご家族が発熱
2020年3月30日 当該従業員のご家族、熱が下がらないため病院を受診
PCR検査を実施
2020年3月31日 ご家族の検査結果、陽性
2020年4月1日 当該従業員が発熱、検体採取
2020年4月2日 当該従業員の検査結果、陽性
(2)当該従業員の出勤状況
2020年3月27日 休み
2020年3月28日 休み
2020年3月29日 出勤
2020年3月30日 以降、出勤しておらず
2.濃厚接触者
鴻巣保健所によると、当該従業員が発症した4月1日以降が濃厚接触者の
対象となりますが、
当該従業員は3月30日以降出勤していないことから、濃厚接触者はいないと
判断されました。
なお、当該従業員のみならず全従業員がマスク着用、手洗い、消毒、検温による
管理を徹底しております。
3.消毒作業
新型コロナウイルスは物に付着した状態での生存期間は一般的に72時間と
言われております。
当該従業員は4日間(96時間)以上出勤していないため、消毒作業は必要ない
と考えられますが、当社ではお客様及び従業員の安心を考慮し、4月3日早朝に
消毒作業を自主的に実施いたしました。
以上により、
「お客様が安心してお買い物ができる」「お取引先様が安心して入店できる」
「従業員が安心して働ける」環境が整ったことから、営業を継続することに
いたしました。
今後とも、お客様と従業員の安全と安心を最優先とし、管轄保健所の指導に
則り、 感染拡大の防止に努めてまいります。
北鴻巣店 店長
【当社感染症予防への取組み】
・全従業員の出社前検温と管理表記入
・37.5度以上の発熱。倦怠感、息苦しさなどの症状がある場合の出勤停止
・全従業員のマスク着用、手洗い、うがい、アルコール消毒の徹底
・店舗入口へのアルコール消毒液の設置
・試食提供の中止 ・トングの定時アルコール消毒(12時・15時・18時)
※マミーマート・北鴻巣店、ホームページ記事より引用
■月刊商人舎[電子版]の記事は、こちらからご覧になれます↓
月刊商人舎 新谷千里の「お客と社員に支持される生産性向上策」
新谷 千里(しんがい・ちさと)Profile
スーパーマーケットの業務改善のコンサルタント。20年以上にわたって、100社以上の業績向上を実現している。「営業利益を2倍にする」ことを念頭に、生産性アップのためのオペレーションと仕組みの改善を指導する。また「売れる」「売れてしまう」、実践的マーケティング戦略と売場づくりを、現場起点で総合的にコンサルティングする。とくに高い鮮度と味を実現して、お客さまに提供するための作業と仕組みづくりは、科学的で高い実績を上げている。