人手不足が小売業を変える!小売業が取り組むべき改善策【ダイヤモンド・チェーンストア215原稿】
小手先のテクニックや目先の売上を追っていると、コンセプトや戦略を忘れてしまいます。
また、コンセプトや戦術を理解していないと、小手先のテクニックや目先の売上を追ってしまいます。
お客目線でコンセプトを設定して、戦略を立てて正しく行動すれば、目先の売上や、小手先のテクニックに惑わされることが無くなります。
「競合店の価格が、気にならなくなりました」
これは、私がコンサルティングを行っているクライアントの青果部門のバイヤーの口から出てきた、素晴らしい言葉です。
目先の売り上げを追い続け、競合店の価格調査に明け暮れていた日々。
彼は、仕事に面白さを感じることなく日々を過ごし、会社を辞めることも考えていました。
ところが、業務改善に取り掛かり、コンセプトと戦略を少しずつ理解してきて、行動を変えた結果、業績は大きく改善してきました。
彼の眼差しは、数か月前と全く違ってきたのです。
原理原則を正しく理解する
「なくてはならない…」
「あったら良いな…」
「こんなもの(使い方)があったんだ…」
という様に、ターゲット(お客)と、そのニーズのことを理解することが出来れば、
こちらが、
「何をしたらいいのか…」が解り、商売はとてもやり易く簡単に思えてきます。
ところが、お客のことを解ろうとせず、こちらの都合で商売をしていると、『お客が感じる価値』に目がいかなくなります。
当然良い結果を出すことは、難しくなります。
結果的に、お客ではなく、競合店の売価に目が向き、それに対抗するようになります。
これは、戦略ではなく、戦術レベルの行動です。
結果的に、競合店の後追いになり、粗利益も低下する方向に向かいます。
ターゲットやポジショニングなど、マーケティングの原理原則を理解していれば、こういう無駄な消耗戦的な行動はとらなくて済みます。
また、作業や仕組み、在庫管理などのオペレーションにおいても、原理原則を理解していれば、無駄な時間とコストを削減出来て、その分競争力も確実にアップすることになります。
人生が変わる瞬間
先述のバイヤーは、現在働く時間の多くを、マーチャンダイジングや実践的マーケティング、作業改善などに振り向ける時間が多くなっています。
そして何より、目先の売上ではなく、部門の営業利益の拡大を目標にしています。
そしてそれは、確実に拡大傾向を辿ってくれています。
守秘義務の都合上、詳しくは申し上げられませんが、全店の青果部門の1日の売上高に相当する営業利益高です。
そして、更に拡大する予想です。
数か月前の自信なさげのチーム表情とは、全く違う表情になっています。
考え方が変わり、それによって行動が変わり、結果が変わりました。
彼とそのチームは、真に、お客のことを理解して行動できるようになって来たのです。
自信が付き、彼のこれからの人生にも、良い影響が出て来るものと思います。
そしてそれが、お客にも良い影響を与えることになり、業績も良い結果を生むことになるでしょう。
これらのことは、『正しい業務改善』の行動を取った成果なのです。
しかし、今回紹介した事例のチームは、高度な知識や経験を持っていたから、結果が出せたということでは決してありません。
重要なことは、遣るべきことを理解して、謙虚に素直に行動したからです。
ほぼ誰にでも、出来ることです。