「売れてしまう⁉」 仕組みをつくる、コピーライティングの技術【商人舎magazine7月号・原稿
先日、クライアントの訪問の折、普通の電車しか停まらない駅を降りて、アーケードの無い駅前の商店街を歩きました。
10時過ぎというのに人通りも有りません。周りを見渡すと、ほとんどの店舗がシャッターを下ろしています。
数十メートル歩くと、営業をしている小さなケーキ屋さんを見つけました。
ウインドーにシュークリームのPOPが張って有ります。
私は、何となく気になってお店の中に入っていきました。
中には、一人のお客と対応に当たっているコック帽を被った、白衣姿の二十歳代であろう女性店員さんの二人がいました。
お客の対応を終えた店員さんに、POPに書いてあったシュークリームのことを尋ねると、「1個からでも販売しています」との快い返事です。
私は、「じゃあ、5個ください」とお願いしました。
彼女がシュークリームの包装をしている間に、店内を見渡すとカステラの端材を詰め合わせた袋が目に入り、「これも一つください」と、お願いしました。
ショーケースのケーキを見てみると、とても可愛らしく、センスの良さを感じます。
壁に張られている鏡を透して、少しだけ厨房の中が見えます。
厨房の中では、もう一人女性がいて作業をしているのですが、同じようにコック帽をかぶった白衣姿で、とても清潔感を感じます。
店内の壁面の棚には、焼き菓子とハロウィン・グッズが並べてあります。
それを使ったお菓子の詰め合わせも陳列して有ります。
「これ、手作りですか?」と店員さんに聞いてみたら、「そうなんです~」と、笑顔で答えてくれます。
会計を済ませて、ケーキ屋さんを出ましたが、店内の雰囲気と店員さんの対応に満足して、この日は、朝からとても良い経験をすることが出来ました。
お店に入った理由
なぜ、このお店に入ったかというと、2つの理由が有ります。
一つは、クライアントの店舗とのジョイント・ベンチャーを考えていたからです。
ジリ貧になっているスーパーマーケット。
対応策を検討している店長に、マーケテイング戦略のアドバイスをするためです。
品ぞろえやプロモーション。接客や欠品改善など、やるべきことは、色々あります。
その中でも、ジョイント・ベンチャーは、お互いの強みを利用して、お客の満足(ベネフィット:得)を高めることが出来る、とても有効な戦略です。
地域貢献にも大いに役立ちます。
この場合は、美味しいケーキ屋やお菓子、グッズなどこのケーキ屋さんの商品をスーパーマーケットの中で、販売してもらうことを考えています。
もう一つの理由は、ケーキ屋さんに貼っていた、シュークリームのPOPです。
ほんわかとさせる雰囲気のPOPの表現と、聞いたことのないネーミングのシュークリーム。
事実、「んッ、何これ?」と、お客の目を留め、私を立ち止まらせました。
「伝えたつもり」ではなく、「伝わった」で、初めて変化が起
少し前、ジャパネットたかたの高田会長の動画を見た時のことです。
高田会長:
「こんな立派な焼き物なのに、なぜ佐賀県の有田焼みたいに全国に広く知られていないのですか?」
波佐見焼の関係者:
「作る職人はいたのですが、売る商人が少なかった」
これは、高田社長と波佐見焼(長崎)の関係者との会話です。
波佐見は、有田焼の町から近いところです。
でも、有田焼のように有名ではなく、売上が芳しくなかったのです。
この中で、高田社長は、
「地元に良い物があるのに、それを伝えきれないもどかしさを抱えている」
「そこに生きる人たちの営みを広く知ってもらいたい」
「伝え方ひとつで、世の中に埋もれている商品が輝き出し、働く人が報われる」
とも、仰っておられました。
これが、ジャパネットたかたの『商品の良さを伝え続ける』という行動の原点になっているようです。
地域に埋もれた資産を探す
私のクライアントとケーキ屋さんのジョイント・ベンチャー。成功するかは、まだわかりません。
しかし、成功するとことが出来たら、両者にとって大きな利益を生むことになります。
そして何より、そのことによってスーパーマーケットの売場が活性化することは、地域に住むお客にとって嬉しいことです。
今回のケーキ屋さんのように、自店の周りには、眠っている資産が有るかもしれません。
お互いの強みを出し合う、ジョイント・ベンチャーを考えて、行動してみてはどうでしょうか。
大事なことは、こちらの思が、相手に「伝わる」ことです。
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