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コラム

高齢者の遺言能力 ☆遺言・相続vol.9⑰☆ 

2014年8月14日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
遺言作成にあたって重要なことは、どんな遺言をしたいのか、遺言の内容と、
その遺言をしようとした事情、経緯を、ご本人から直接お話しを伺うことです。
中でも、高齢者の遺言については、丁寧な聞き取りが大切です。

高齢者の遺言の有効性を争う際に、一番主張しやすいものは、遺言者の遺言能力、精神状態でしょう。
遺言に求められる意思能力は、事物に対する一応の判断力とされています。
遺言の内容にもよりますが、実は、そう高いものではありません。

それだけに、遺言書を作成したいというご相談を受けるときには、
打合せの間に、沢山、お話をしていただく中で、
筋道が通っているかどうか、何故、こういう遺言をしたいと思ったか、
場合によっては、若い頃から今日に至るまでの人生の歩みについて、
私自身が、得心がいく、腑に落ちるまで伺うようにしています。

折角、ご本人が望んでおられる遺言です。
ご本人にとっては、最期のチャンスかもしれません。
何でも、とにかく作成しましょうという訳にはいきません。

裁判においては、遺言者の認知症の程度、病状の変化についての
医師の診断を、客観的な判断材料としていますが、これとても、絶対的なものではありません。
他に、遺言作成の動機や経緯、遺言作成時の状況、遺言内容の複雑さの程度など
総合的に勘案して遺言の有効無効を決するのが一般です。

ですので、ご本人の能力によっては、
あまり複雑な内容では作成できないと説明する場合もあります。

「誰に、全てを相続させる。」といった、至ってシンプルな遺言であれば、
一般的には、認知症が進んでいてもできるのではないかと思っています。

ところが、遺言自体は至ってシンプル。
例えば「以前の遺言は取消し、相続人平等に」といったものの作成依頼であったとしても、
「介護をしてくれている同居の子どもに自宅を相続させる」といった遺言を以前に作成していた場合は、
新しい遺言によって、同居の子どもが、自宅に住み続けることができなくなることを
理解されているのかどうか、気になります。
相続人全員で平等に相続させようと考えた事情や理由を、私としては知りたい。得心したいのです。

また、私と、打合せをしているところや、公証人の遺言作成場面を
動画に撮って記録を残すといった工夫をしています。

そんなことで、遺言書作成のご相談には、
時間をかけて丁寧にお話しを伺うことが大切と考えています。

私たちは、笑顔の和を広げます。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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