公正証書遺言ができるまでの自筆証書遺言 ☆遺言・相続 VOL.10⑩☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
遺言作成にあたって重要なことは、どんな遺言をしたいのか、遺言の内容と、
その遺言をしようとした事情、経緯を、ご本人から直接お話しを伺うことです。
中でも、高齢者の遺言については、丁寧な聞き取りが大切です。
高齢者の遺言の有効性を争う際に、一番主張しやすいものは、遺言者の遺言能力、精神状態でしょう。
遺言に求められる意思能力は、事物に対する一応の判断力とされています。
遺言の内容にもよりますが、実は、そう高いものではありません。
それだけに、遺言書を作成したいというご相談を受けるときには、
打合せの間に、沢山、お話をしていただく中で、
筋道が通っているかどうか、何故、こういう遺言をしたいと思ったか、
場合によっては、若い頃から今日に至るまでの人生の歩みについて、
私自身が、得心がいく、腑に落ちるまで伺うようにしています。
折角、ご本人が望んでおられる遺言です。
ご本人にとっては、最期のチャンスかもしれません。
何でも、とにかく作成しましょうという訳にはいきません。
裁判においては、遺言者の認知症の程度、病状の変化についての
医師の診断を、客観的な判断材料としていますが、これとても、絶対的なものではありません。
他に、遺言作成の動機や経緯、遺言作成時の状況、遺言内容の複雑さの程度など
総合的に勘案して遺言の有効無効を決するのが一般です。
ですので、ご本人の能力によっては、
あまり複雑な内容では作成できないと説明する場合もあります。
「誰に、全てを相続させる。」といった、至ってシンプルな遺言であれば、
一般的には、認知症が進んでいてもできるのではないかと思っています。
ところが、遺言自体は至ってシンプル。
例えば「以前の遺言は取消し、相続人平等に」といったものの作成依頼であったとしても、
「介護をしてくれている同居の子どもに自宅を相続させる」といった遺言を以前に作成していた場合は、
新しい遺言によって、同居の子どもが、自宅に住み続けることができなくなることを
理解されているのかどうか、気になります。
相続人全員で平等に相続させようと考えた事情や理由を、私としては知りたい。得心したいのです。
また、私と、打合せをしているところや、公証人の遺言作成場面を
動画に撮って記録を残すといった工夫をしています。
そんなことで、遺言書作成のご相談には、
時間をかけて丁寧にお話しを伺うことが大切と考えています。
私たちは、笑顔の和を広げます。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755