自筆証書遺言を使いやすくする改正 ☆遺言・相続vol.10③☆
平成25年9月4日最高裁判所大法廷において、
摘出でない子(婚外子)の相続分が摘出子の1/2とする民法第900条第4号ただし書の規定が、
憲法第14条第1項の法の下の平等に違反するという決定がでました。
それを受けて、平成13年7月1日以降の相続について、宙ぶらりんな状況となっています。
平成13年7月1日以降というのは、この判決で対象となった相続開始の日です。
その当時の、社会状況や家族観の変化、世界の状況等など検討した結果、
民法の規定が、憲法が求める法の下の平等の例外と許される範囲の
合理的な差別といえるかどうかの判断をしたわけです。
そこで、「平成13年7月1日以降の相続」という範囲を設定しているわけです。
今、実際に、依頼いただいている事件がある訳ではありませんが、
司法書士会を通じて、法務省からの当面の取り扱いについての事務連絡を見て、弊所でも、影響が出てくるのではないかと思っています。
遺言や遺産分割協議によって、確定した相続は問題がありません。
ただ、遺産分割協議ができていない場合の、法定相続分でする登記。
あるいは、そもそも遺産分割協議の有無はわからない、
差押え等のために債権者からする相続の代位登記においては、法定相続分で登記をしますので、
その相続分をどうするのかは悩ましいところです。
子どもの相続分を均等とするには、未だ民法の改正もできていないし、
従来通りの1/2で登記を申請すれば、登記は受けざるを得ないのではないかと思いますが。
先ほどの、事務連絡によれば、そういう登記申請があったこと、その処理をどうするかを、
法務局限りで判断するのでなく、本省に照会することになるようです。
で、どうなるのでしょう?
最高裁判所決定によって、速やかに、民法改正に進むかと思っていましたが、
自民党内の反対意見もあって、いつになるのか心配しています。
法律改正は立法府に任せるしかありませんが、
私にできることは、違憲判決を受けて、早晩改正される相続分規定を説明し、
それを踏まえた遺産分割協議をお薦めすること。
もちろん、その結果が100%お一人のものにという内容であっても、
全員の合意さえあれば問題ないのは、他の相続と変わりありません。
更に言えば、均等とか半分とかではなく、
遺言を書くことの大切さをお伝えしていかないと。
自分自身の相続を一般論で処理して欲しくない。
そんな風に思っています。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755