複数成年後見人が選任されるとき ☆成年後見vol.9⑦☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:成年後見と資格制限



こんにちは、司法書士佐井惠子です。
最近は、親族の方と第三者後見人とが、複数選任されるケースが増えているように思います。
色々な場合をご紹介しましょう。

成年後見人は、家庭裁判所が必要と認める場合は、複数名選任できます。

離れて住む親族の方と私が、同じ後見人に選任されたケースがあります。
この時は、全く同じ権限を二人がそれぞれ有していて、各自単独で行使できることになっています。
二人の後見人の間では、財産管理を私がして、施設を探したりするところは親族後見人と、
概ね、分担しています。もっとも、私も、ご本人との面会を、毎月行っています。

私が財産管理を業務分掌し、親族後見人がそれ以外の一切を分掌するというケースがあります。
もともと、親族の方と私の二名を、同じ権限の後見人候補者として申し立てをしていました。
具体的に何という訳ではありませんが、
とかく財産が多いと、将来、親族後見人とご本人の利害が対立する可能性があります。
親族後見人だけが候補者であれば、後見監督人を選任される可能性がありました。
それよりは、私が事務の多い財産管理部分を担当した方が、
後見監督人が付くよりも、親族後見人のご負担も軽いと思い、
初めから、候補者を2名立てたのは、良い判断であったと思います。

また、同居の親族(配偶者)に身上監護を、
第三者後見人が財産管理を業務分掌するというケースがあります。
申立人は、他の親族を候補者とたてていたにも関わらず、でした。
裁判所は、申立人の意向には縛られずに後見人を選任しています。

他に、共同権限行使の定めのある成年後見人というケースもあるようです。
私自身には、この経験はありません。
この場合には、常に、二人の意思決定、二人の印鑑がいることになります。
日常業務が煩雑になり、かなり面倒ですね。

複数後見人がいる場合に、債権者としては、誰を相手にしたらいいか、お尋ねいただきます。
就任のご挨拶をさせていただいた先では、事前に、財産管理については私にお願いしますとお答えしています。
成年後見の登記事項証明書を見ればわかるのですが、
誰でも勝手に入手できるものではないですし、
債権者の方は、後見人の一人に意思表示をされたら、それで十分です。
どちらでもいいと定められていますので、ご安心下さい。

裁判所が、ご本人の状況や、今後求められる業務の範囲や複雑さ、
利益が相対するケースが想定されるかどうかなどを総合判断して、自由に決定しています。
申立人の指定する候補者に、必ずしも縛られません。

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親族後見人や市民後見人をなさっている方。
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