公正証書遺言ができるまでの自筆証書遺言 ☆遺言・相続 VOL.10⑩☆
みなさん、こんにちは。司法書士 佐井惠子です。
長びく遺産分割協議を見越して、相続人の一人に信用不安のある場合、
先ずは、その相続分を譲り受けておき、それから遺産分割の協議に入る。
そういう方法があります。
今回のご相談は、亡くなった父親が複数回結婚をして、母親の違う子どもが3人いるというケース。
兄弟同士といっても普段の付き合いもなく、暮らしぶりもわかりません。
遺産分割協議に、どれくらい時間がかかることになるか、見当も付かないというなかで、
随分前より、経済的な支援を繰り返している兄弟がいて、金融機関への返済も滞りがちな様子。
何か、方法はないですか?とのお尋ねでした。
相続分の譲渡は、実務ではあまり使われていないのですが、
こういった場合には、検討なさって下さい。
積極財産も消極財産も、その相続分の割合で移転します。
今回のケースでは、同じ両親の兄弟A・B。母親が同じ兄弟C。
BからAへの譲渡をし、相続分の譲渡書類を作成します。
Aの相続分は1/3+1/3=2/3 Cの相続分は1/3となります。
例えば、兄弟は3人。同じ両親の兄弟A・B。片親が同じ兄弟Cといったとき。
BからCへの譲渡をした場合。相続分の譲渡書類を作成するのは同じですが、
登記は、直接A・Cの相続登記ではなく、一旦法定相続分A・B・C各1/3の登記をし、
改めて、相続分の譲渡によるBの持分をCへ移転する登記をします。
今回は、今までの支援の一部を返すという意味で、「相続分の代物弁済」という原因になります。
調停申立前のご相談でした。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com