自筆証書遺言を使いやすくする改正 ☆遺言・相続vol.10③☆
みなさん、こんにちは。司法書士 佐井惠子です。
相続が発生してから、相続人が弁済して抵当権を抹消するには、
所有権について相続登記を済ませる必要があります。
遺産分割協議が終わらなくても、銀行から返却された書類を使って、
抵当権を抹消しておきたいお気持ちは良くわかりますが、
抵当権の抹消だけを先に済ませることはできません。
ですので、普通のご相談では、遺産分割が整うまでは、抹消関係書類を
大事に保管しておいて下さいというお返事となります。
今日のご相談は、相続人甲からのもので、他には乙・丙の二人が相続人のケース。
特殊なのは、相続人丙の行方がわからないため、遺産分割協議をすぐにはできず、
不動産の所有権移転登記をするには、時間がかかりそう。
でも、共同相続人乙の債務を担保する抵当権が設定してあって、
しかも、他にも借金がある模様。乙が支払えなくて、不動産が差押えられても困る。
そこで、相続人甲が乙の債務を肩代わりするかわりに、乙の持分を取得しておきたい。
と、いったものでした。
そこで、私の提案は以下のとおりでした。
まず、遺産分割協議は今の状態ではできないので、
法定相続分に従って、甲が代表して相続による所有権移転登記をする。
全員の委任がなくても、保存行為として、相続人の1人から相続登記ができます。
持分は、甲・乙・丙各三分の一の法定相続分。
次に、乙の相続分を甲に譲渡します。乙の共有持分全部移転登記。
原因は、年月日売買としましょうか。
同時に、甲が代表して抵当権を抹消します。原因は、年月日弁済。
甲が支払った売買代金で、乙が銀行に支払います。
これで、乙の借金の心配はしなくてよくなりましたので、
丙を見つけ出して、甲と丙が遺産分割協議をし、最終的に甲の単独に・・・!
という、絵が描けました。
今回は、乙の借金問題があったため、特殊ですが、
抵当権の抹消は、相続による所有権移転登記が終わってからでないと
できないということをご理解下さい。
司法書士佐井惠子
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