50代からの暮らし安心塾 クレオ大阪南 第1回報告 ☆遺言・相続vol.9⑲☆
みなさん、こんにちは。司法書士 佐井惠子です。
前回、相続税を心配しないといけない人は、ほんの一握りだけれど、
裁判所にまで相続争いが持ち込まれているうち、1円以上5000万円以下の資産についての争いが、
解決した調停事件のおよそ4分の3を占めるというお話をいたしました。
「預貯金が少しある程度だから・・・。」とか、
「自分の財産はマイホームだけで、あとは特に財産らしいものはない・・・。」というケースが、
裁判所のお世話にならないですむ理由にはならないということですね。
また、ここでいう資産の金額には住宅ローンなどマイナスの財産は加味されていません。
不動産の時価プラス預貯金など合計3000万円あれば、いくら住宅ローン残が2800万円あっても、
3000万円の遺産分割事件として統計には分類されています。
では、裁判所に持ち込めば、どのような解決方法を示してくれるのでしょうか。
他に分けるべき財産がなければ、「代償分割、代償金を支払う解決」これしかありません。
つまり、資産の中で大きな割合を占める不動産を相続するAさんがいたとして、
それ以外の相続人Bさんに、相続分に相当するお金をAさんのポケットマネーから払うか、
あるいは、そのポケットマネーがなければ、当該不動産を売却してAさん、Bさんでお金を分けるという方法です。
代償で払うものがなければ、Aさんはマイホームに住み続けることができなくなる場合があるということです。
決して、Bさんに0円で我慢しなさいとは言ってくれません。
平成20年の司法統計(成立した調停等の資産別内訳)によれば、
資産1000万円以下の事件1991件中、1050件(52.7%)
資産5000万円以下の事件3400件中、2077件(61%)が、
ポケットマネーなり、売却換価するという内容の調停等で解決がなされているという現実があります。
このような解決って、解決というよりは顛末という方が相応しいですね。
やはり、できることを全てしておくことが大切です。
司法書士佐井惠子