未成年の養子が養親を失ったとき ☆遺言・相続vol.9③☆
みなさん、こんにちは。司法書士 佐井惠子です。
前回に続いて、遺言の撤回についてもう少し。
遺言を撤回すると、最初の遺言はなかったことになります。
その2回目の「撤回の遺言」を更に撤回すると、最初の遺言はどうなると思いますか?
例えば、①「この本をあげます。」②というのは「止めた。」③というのは「止めた!」
一般生活では、結局本をあげるということですよね。
民法ではこの場合、「この本をあげます。」という①の遺言の効力は回復しないとされています。つまり、「この本はあげない。」ことに。
でも、③の遺言で、「②の遺言を撤回し、①の遺言を有効とする。」と書いた事案で、
最高裁判所は、民法の規定に関わらず、「この本をあげる」という①の遺言の効力の復活を認めました。
遺言者の真意を尊重して、解釈で助けました。
でも、これから遺言を書くなら、
裁判所で遺言の解釈を争うなんてことのないように、
「②の遺言を撤回し、“この本をAに遺贈します”」と、しましょう。
折角、遺言を残すなら、最高裁判所まで争うことにならないように。
司法書士佐井惠子