「会社を守る就業規則」は要らない~就業規則を作るのは何のため?
【2021年10月19日公開/2021年12月1日更新】
2022年4月から、仕事と育児の両立をはかるために、「育児介護休業法」という法律が改正されることが決まりました。
ただ、一度に改正すると、会社も対応に追われて大変ですので「段階的に」改正されます。
【段階的に改正されるとは?(改正の全体像)】
2022(令和4)年4月1日~
・育児休業を取得しやすい環境の整備すること
・妊娠、出産の申出があった場合、一人ひとり個別に制度等を周知し、意向確認を行うこと
・パートタイマーや契約社員の方の育児休業の取得条件を緩和すること
・マタハラの対象が拡大
2022(令和4)年10月1日~
・産後パパ育休(出生時育休)がスタート
・育児休業(男女とも)を分割取得できるように変更
・マタハラの対象が拡大(産後パパ育休に対する追加)
2023(令和5)年4月1日~【1000人超の企業のみ】
・男性の育児休業取得率等について、公表することに
今回は、上記の改正のうち「2022(令和4)年4月1日から改正される内容」をわかりやすく解説します。
★関連コラム
・2022年10月スタート「産後パパ育休」をわかりやすく解説
・2022年10月に改正される「育休の分割取得」とは?
・育児・介護休業はどんな制度で誰が対象?【法改正を知る前に】
改正その1.育児休業について研修実施や相談窓口を設けましょう
育児休業や産後パパ休暇(2022年10月からスタート)の申出、取得を推進するため、会社は次のうちいずれかを行わなければなりません。
- 育児休業・産後パパ育休に関する研修を行う
- 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制を整備する(相談窓口を設けるなど)
- 自社の社員の育児休業・産後パパ育休取得について、事例を収集し、提供する
- 自社の社員に対し、育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関して、会社の方針を周知する
いずれか1つを行うことが最低限必要で、さらに、複数の取り組みを行う方が望ましいとされています。
また、会社としては休業期間が短期・1か月以上の長期に関わらず、本人が希望する期間の休業を申出し、休むことができるよう配慮することが求められます(指針より)。
【研修について】
育児休業の対象となる方だけではなく、「雇用する社員に対しての研修」とありますので、全社員の方が知り得る形での研修が求められます。
【相談窓口について】
社内に設けるパターン、社外に設けるパターンが考えられます。
一般的には、社内(経営者様や、総務や人事・労務のご担当者様)が多いでしょう。
ちなみに、私どもでは顧問先企業の社員の方から直接、産休や育児休業のご相談をいただくこともあります。
制度面や給付について、外部の社労士に相談していただくということもひとつの選択肢です。
(参考)
厚生労働省が提供する育児休業取得促進に使える研修ツール
育児休業・介護休業の最新を学べる無料の動画(厚生労働省)
改正その2.妊娠、出産の申出時は、制度説明と意向確認をする
「妊娠しました」
「私、出産します」
「妻が、出産します」
そんな報告があったときには、会社は一人ひとりに個別に制度を説明するとともに、育児休業などの意向を確認することが義務付けられます。
実は以前から、社員または社員の配偶者の妊娠・出産を知ったときには、制度等を知らせるという項目がありましたが、「知らせることが望ましい」にとどめられていました。
それが、今回の改正では義務化されることになったというわけです。
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【ポイントその1】女性社員だけではなく男性社員にも
育児休業は「女性だけのもの」ではなく、男性社員も対象です。
また、2022年10月からは、「産後パパ育休」が始まります。
次に説明する制度説明や意向確認は、女性社員に対してだけではなく、男性社員も対象ということになります。
【ポイントその2】制度の説明やお金のことを周知します
社員または、社員の配偶者の妊娠・出産を知ったときに「個別に説明する必要のある内容」とは何かというと次のとおりです。
(1)育児休業・産後パパ育休に関する制度
(2)育児休業・産後パパ育休の申出先
(3)育児休業給付に関すること
(4)労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
(参考)
厚生労働省が出している育児休業に関するリーフレット(改正内容 対応前)
【ポイントその3】意向確認とは、何を、どうやって確認する?
社員または、社員の配偶者の妊娠・出産を知ったとき、制度や申出先を伝えたうえで、「育児休業は取りますか?どのくらいの期間?」と意向を確認する必要があります。
意向の確認方法は次のいずれかとされています。
(1)面談する
(2)資料を渡す
(3)FAXで出してもらう
(4)メール等
※個別に周知・意向確認する例については、厚生労働省からひな形が公開されています。
もちろん、「育休取らないよね?」「こんな不利益があるよ」といった取得を控えるような制度説明・意向確認は認められていません。
あくまでも自由意思で選べるような環境を整える責任が会社にはあるというわけです。
改正その3.パート、契約社員の方の育児休業の取得条件が緩和
【現在】
パートタイマーや契約社員などの有期契約の方について、以下に当てはまる方が「育児休業取得可能」とされています。
・引き続き雇用された期間が1年以上
+
・1歳6か月までの間に契約満了することが明らかではない場合
↓
【改正後(2022年4月1日以降)】
改正後は、「引き続き雇用された期間が1年以上である」という条件がなくなります。
・1歳6か月までの間に契約満了することが明らかではない場合 のみ。
もし、「有期契約の方について、引き続き雇用された期間が1年以上である方のみ認めるようにしたい」という場合は、会社は別途労使協定を結ぶ必要があります。
また、併せて、就業規則(育児介護休業規程)を見直す必要があります。
改正その4.介護休業についてもパート、契約社員の方の条件緩和
介護休業についても、「改正その3」と同様の改正があります。
【現在】
パートタイマーや契約社員などの有期契約の方について、以下に当てはまる方が「介護休業取得可能」とされています。
・引き続き雇用された期間が1年以上
+
・介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月経つまでの間に契約満了することが明らかではない場合
↓
【改正後(2022年4月1日以降)】
改正後は、「引き続き雇用された期間が1年以上である」という条件がなくなります。
・介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月経つまでの間に契約満了することが明らかではない場合 のみ
もし、「有期契約の方について、引き続き雇用された期間が1年以上である方のみ認めるようにしたい」という場合は、会社は別途労使協定を結ぶ必要があります。
また、併せて、就業規則(育児介護休業規程)を見直す必要があります。
改正その5.マタハラ防止に妊娠・出産の申出をしたことが追加
現在すでに、育児休業の取得や短時間勤務などをしたことに対するハラスメント(いやがらせ)は禁止され、就業規則に織り込まれていることと思います。
今回の改正で、新たに、
・妊娠・出産の申出をしたこと
・産後パパ育休の 申出 ・取得
・産後パパ育休期間中の就業を申出・同意しなかったこと
などを理由とする不利益な取り扱いも禁止されます。
(産後パパ育休は2022年10月からスタートのため、それ以降)
会社には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置をとることが義務付けられており、引き続き啓蒙活動や研修等を実施していく必要があります。
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まとめ
今回は、2022年4月1日以降の育児介護休業法改正の中から、2022年4月1日改正の内容をお伝えしました。
まだ詳細になっていないこともありますが、詳細が出ましたら、こちらのサイトまたはメルマガ等でお知らせします。
参考になれば幸いです!
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