社内会議・プロジェクト開始時に共有すべき3つのこと(1)目的
レイアウト(座席配置)を考えるときの3つのポイント
【進行役視点・参加者視点】
みなさんも、様々な会議やミーティング、
セミナーに参加される機会があると思いますが、どのようなレイアウトをご存知でしょうか。
社内での会議は特にレイアウトを固定しがちですが、
配置を変えるだけで雰囲気だけではなく議論の内容まで変わることがあります。
今回は、レイアウトについて深堀していきましょう。
まず、レイアウトを検討するときには、
みなさんがこれから行われる会議・ミーティングの種類や参加者に応じて、
次のポイントを考えてみましょう。
なお、検討するときは進行役・運営者の視点だけでなく、
必ず参加者の視点に立つことが大切ですので、各々3つずつ列挙します。
【進行役の視点から】
1.参加者一人ひとりと目を合わせられるか、死角はないか
(大勢いる場合は目を合わせることは難しいかもしれませんが、
隅々まで視線を配れるようにしましょう)
2.参加者との距離感は適しているか
(顔合わせの時は少し距離を置き、真に迫る話合いの時は距離感を縮めるなど)
3.今回の会議・ミーティングは、進行役主体か、参加者主体か
(一般的に会議やミーティングは参加者主体と考えた方がうまく行きますが、
どうしても進行役(話し手)主体にしたいという場合は
レイアウトを工夫する必要があります)
【参加者の視点から】
1.各座席から進行役やスクリーンが見えるか、視界を遮るものは無いか、
視界から要らぬ情報が入って来ないか
(人は進行役(話し手)が見えないと集中力が途切れてしまいがちです。
また、窓から外の景色が見えるなど、
余計な情報が入ると話に集中できないことがあります)
2.他の参加者との距離感は適切か
(初対面の人同士の場合は適度な距離感を保つ、
心理的距離を縮めるためにあえて普段より物理的な距離を縮めてみるなど)
3.他の参加者の顔、様子が見えた方が良いか、見えない方が良いか
(一般的に、他の参加者の顔が見えた方がよい緊張感が保たれますが、
前の話に集中してもらいたいときは
他の方が気にならないレイアウトにすることも考えられます)
実際に配置してみたら、ぜひ「参加者」の席に座ってみてください。
進行役や運営者目線では気づかない感覚や、視界、雰囲気が感じられることと思います。
座席配置の種類とそれぞれの特徴
研修には色々な座席配置が考えられます。ここでは、座席ごとの特徴をみていきましょう。
1.教室(スクール)型
講義やレクチャーを受ける内容が多い場合によく使われる配置です。
前(講師やホワイトボード、スライドなど)が見えやすいという特徴があります。
また、後ろから人に見られているという緊張感を保つことができます。
しかし一方で、「参加者同士目が合うことは無い」ため、
集中力が途切れてしまうこともあります。
この形式で行う場合は、長くても1時間程度が限度でしょう。
講義やレクチャーを受ける内容が多いけれど
時間が長くなりそうだという場合はV型がオススメです。
2.V型
教室(スクール)型の机を、講師を中心に斜めに移動させた配置です。
前が見えやすいという特徴を活かしつつ、参加者同士顔を見ることができるので、
比較的集中力を保ちやすい配置といえます。
人数が多い場合は、イラストのように1列に収めるのではなく、
その列を2重3重と増やして大学の講義の席のような配置にすることも考えられます。
3.コの字型(ロの字型)
V型に似ている形ですが、
人数が多い場合や参加者同士顔を合わせて話したいときに良く使われるのが、コの字型。
場合によっては、全面(四辺とも)机で囲ってしまう「ロ」の字型にすることもあります。
ホワイトボードやスライドを利用する場合はコの字型、
特にホワイトボードなどは利用せず、
参加者同士の議論を深めたいという場合はロの字型、という使い分けをします。
その他、「もっと距離を縮めたい」という場合は、
向き合っている2つの机をくっ付けることで、「逆Tの字」にすることもあります。
メリットは、参加者同士目が合わせやすい、隣との距離が近いという点。
デメリットは、目の前の人とは目を合わせやすいが、隣や同列の人とは目を合わせづらい点。
また、ホワイトボードやスライドを利用する際、
参加者の中に「真横」を向いて座る人が出てくるため、見えづらいという点です。
ですから、もし講義やレクチャーが長くなるような場合は、
一旦スクール形式にして話し合う際にコの字型に変える、などの工夫が必要です。
4.扇(劇場・シアター)型
Vの字型から机を取り除き、講師(前)を中心に扇形に広がって座る形式。
場所によっては、椅子もなくして地べたに座るという場合もあります。
参加人数が増えること、
参加者同士移動もしやすく距離も縮まりますので、動きのある研修に最適です。
ただし、机が無い分書くことが難しいですので、
書く作業が発生する場合は例えば次の2つを検討する必要があります。
①参加者にクリップボード(下敷き)を配布する
②講義やレクチャーが長い場合は教室(スクール)型で講義をした後、扇形にする
5.島(アイランド)型
4~6名程度で1つのテーブルにつく形式。
グループ討論が多い場合に良く使われます。
1つの島に座る人数は、多くて6名が限度です。
7名以上になると、「傍観者」が出てきてしまう恐れがありますので、
その場合は島を増やした方が賢明でしょう。
討議しやすい、模造紙の作成がしやすいなどのメリットがありますので、
情報交換・意思決定の場に適しています。
なお、座る位置によっては前(ホワイトボードやスライド)が見えづらい
ということが発生しますので、机の角度を調整するなど工夫をするとよいでしょう。
6.バズ型
机を取り除き、2~3名の小グループを作った形式。
扇形と組み合わせて使われることもあります。
距離が近く、移動がしやすいというメリットがありますので、
グループを固定せず、色々な参加者との接点を持たせることが可能です。
バズというのは、ハチがぶんぶん飛ぶ様子を表現する言葉。
ハチがあちこちぶんぶんと飛びまわるように、
色々な人とあちこちで「ぶんぶん」と話すため、非常に場が盛り上がります。
7.サークル(キャンプファイヤー)型
いわゆる円形です。
イラストでは講師が立っていますが、講師も共に座ることもあります。
一番の特徴は、「円」という形であることと机が無いことで、
心理的な壁(距離)が取り除かれるということ。
落ち着いて話しあいたいときや考えたいとき、
参加者同士に距離を感じるなというとき、
場の一体感を出したいとき、
動きが多い研修で後にバズ型などに変更する予定のある場合のスタート時
などにオススメです。
座席配置の種類はたくさんありますので、
会場の広さ、研修内容、場の雰囲気にあわせて組み合わせて使ってみてください。
レイアウトひとつで劇的に変わった事例紹介
普段はロの字型で話し合うことの多かったA社のプロジェクトミーティング。
人数は7名だったため、全員の顔を見ながら話し合うには一番良いスタイルでした。
また、模造紙を広げるときには机を並べて利用していました。
しかし、ミーティングを3回ほど重ねたあるとき。
レイアウトをサークル型(円形)にしました。
理由は、「もっと距離感を縮めていきたい」という狙いがあったから。
一見、仲の良さそうな雰囲気のA社でしたので、
互いの距離感(心理的な距離も含めて)は問題ないと思っていましたが、
回を重ねるごとに、少しずつ「部門間の溝」また「経営者との溝」を感じたのです。
そこで、机を取っ払い、椅子だけを円形に並べ座ってもらいました。
私たちも、その変化ぶりに驚いたのですが、
レイアウトを変えたその回に出た話が何だったと思いますか?
「会社に対する要望・不安・不満」です。
プロジェクトの目的は「会社を良くするための人事プロジェクト」ですが、
当日取り上げていたテーマはその目的に直結する内容とは全く違いました。
しかし、議論の中で「このプロジェクトの意味はなんだ」という話し合いに発展し、
そこからそれまで全く出ることのなかった意見が溢れるように出てきたのです。
ここで言いたいのは、「要望・不安・不満を吐き出すことが良い」というわけではありません。
しかし、心の中に溜まっているものがあったままでは、
腹を割って話し合うことはできないのも事実です。
時と場合に応じて、レイアウトを変更することで
(参加者は)無意識に心理的な距離を縮めることができる、というわけです。
なお、A社はその後、さらに深い議論が出来たのは言うまでもありません。
■まとめ
今回は、レイアウトから見る組織活性ということで、様々な配置例を見てきました。
たかがレイアウト。されどレイアウトです。
皆様がされようとしている会議・ミーティングでは、
どんな空間で、どんな空気が流れていますか?
ぜひ、どのような会議、どのようなメンバーかをよく見極め、
レイアウトを工夫してみてください。
空気の流れが変わることがありますよ!